国連サミットで採択されたSDGsをきっかけに、サステナビリティ(持続可能性)への意識が高まっている。近年は個人の消費活動だけでなく、企業活動においても気候変動への対処、廃棄物の削減など、循環型経営に取り組む姿勢が求められている。
その一方で、実際に環境問題や社会問題にコミットメントし、十分なESG(環境・社会・ガバナンス)投資に注力できている日本企業はそれほど多くない。サステナビリティ経営を意識するだけでなく、具体的にどのように経営プロセスに落とし込んでいくかが今後の課題となっている。
そこで注目したいのが、企業のサステナビリティ経営を支援し、自身もその取り組みを拡大しているオラクルだ。オラクルが米国の有識者と共同で実施したグローバル調査「No Planet B」の結果と、サステナビリティ経営を支援する同社のSaaSソリューションについて、日本オラクル常務執行役員クラウド・アプリケーション事業統括の善浪広行氏と、同理事クラウド・アプリケーション事業統括ERP/HCMソリューション・エンジニアリング本部長の三谷英介氏が語った。
企業のサステナビリティ意識の変化やテクノロジーの活用に関する調査「No Planet B」は、2022年2月25日〜3月14日の期間、世界15カ国約1万1000人の消費者およびビジネスリーダーを対象に実施された。日本では500人が回答した。
「これまで以上にサステナビリティと社会的な要素が重要になってきている」と考える割合は、日本が89%、グローバルでは93%に達した。しかし、「こうした問題に対し企業が十分な取り組みを示せていない」との回答も、95%(日本)/94%(グローバル)に及んだ。
企業活動においても、「サステナビリティとESG関連の取り組みは自社の成功に不可欠である」と89%(日本)/92%(グローバル)が回答。その一方で、ビジネスリーダーは取り組みを発展させていく上で課題を抱えていることも浮き彫りとなった。
また、日本では66%の人が、サステナビリティや社会問題に対して真剣に取り組まない企業からは離職し、それらをより重視する企業に転職しようと考えている。さらに、93%が「ビジネスリーダーはサステナビリティおよび社会問題への取り組みの重要性と緊急性を理解しており、それらを今後のビジネス指標に組み込む必要がある」と回答している。
グローバルと日本で回答に大きな差が出たのは、サステナビリティに消極的な企業に対する姿勢だ。「真剣なアクションを起こそうとしない企業を見放す」と考えるのは、グローバルが70%に対し日本は53%にとどまった。また、「サステナビリティ領域への投資を増やす」との回答はグローバルで91%だが、日本は83%と差がついた。
「実際にサステナビリティへ投資を増やす割合は、グローバルの方が高いことが分かりました。しかし、EVをはじめグローバルでビジネスルールは変わってきています。今後は日本もそういった変化に敏感になり、コミットメントしていかなければなりません」(善浪氏)
調査では、企業がサステナビリティおよび社会課題の重視や、テクノロジーを活用した社会貢献に真剣に取り組まない場合、深刻な結果に直面するリスクがあると指摘。サステナビリティ意識の高まりは今後も加速すると予想されるが、意識だけでなく実際の取り組みが重要であることを示唆した。
では、オラクルのサステナビリティ活動はどうか。同社は「“地球上の全て”がステークホルダー」をモットーに、テクノロジーを駆使した取り組みへの投資を続けている。例えば、同社全世界のうち51のオフィスが100%再生可能エネルギーを使用。2015年以降に削減された二酸化炭素は9万3973トンに及んだ。ハードウェア製品においては、エネルギー効率などを考慮し、環境に配慮した循環デザインで設計・開発している。
「サステナビリティを実現するには、戦略設計から実行、データ収集、レポーティングの全ての経営プロセスに対する取り組みが必要」と三谷氏は説明する。
まず、各部門がサステナビリティ目標と具体的な取り組み方針を決め、調達、生産、物流、廃棄物管理部門がその方針に基づく運用と改善活動を行う。活動はデータで収集し、データの統合や連携を経て利活用につなげる。各指標は適切な方法で管理・モニタリングし、レポーティングすることで、次の目標設定や方針の修正につなげていく。
このプロセスをカバーし、サステナビリティ推進のための活動をサポートするのが同社のSaaSソリューションだ。例えば、オラクルも自らエネルギー効率の高いクラウドへシステムを移行。「Oracle Cloud Applications」のさまざまなアプリケーションを活用し、全世界で業務効率化や環境負荷低減に取り組んでいる。収集されたデータは効率的に管理し、開示基準に合わせたサステナビリティ情報を開示している。
また、多くのビジネスリーダーが抱えるサステナビリティへの取り組みに関する課題に、「進捗状況の把握が困難」「進捗を確認するためのデータの不足」「パートナーなど第三者からESG指標を入手するのが困難」「指標についてレポートする際の工数」などがある。
そこで、ファストフードチェーン「Chipotle」では、「Oracle Cloud ERP」「Oracle Cloud EPM」によりESGのKPIを一元的に集計。目標に対するパフォーマンスをプランニングし追跡を可能とした。
ユニリーバは「Oracle Cloud SCM」の輸送管理ソリューションである「Oracle Transportation Management Cloud」を活用し、ジャストインタイム配送のサポート、必要なトラック数や二酸化炭素排出量の削減、必要な在庫数の削減を実現した。
サステナビリティの観点は環境問題だけにとどまらない。組織のダイバーシティーやインクルージョンの向上も、持続可能な社会においては不可欠な要素となる。消費者生活協同組合の「Co-op」は、機械学習で人材の雇用や定着度、満足度を最大化できる「Oracle Cloud HCM」を用いて、全ての職種において採用候補者の男女比を半々に配置。女性の管理職を3割増やし、黒人、アジア系といったマイノリティーの採用も3割増加させた。
調査結果にもあるように、現在の日本においてサステナビリティに消極的な企業に対する視線は、世界に比べて厳しくはない。しかし、長期的な観点のサステナビリティよりも、短期的な利益の方を重視する企業は、新時代においては淘汰される存在となりつつある。善浪氏は「世の中の流れが変わる潮目を感じています」と語る。
「ビジネス自体のゲームが変わる可能性があることは、非常に大きなポイントです。実際に、大手企業を中心に、サステナビリティおよびESGの取り組みに投資することは、いまだかつてないほど重要になっています。自分たちがサステナビリティへの意識や展望を語る間に、世界から取り残される可能性があります。今後は自分たちのポートフォリオをどう変えていくかを考え、ESG投資に取り組んでいくことになるでしょう」(善浪氏)
ビジネスリーダーは多くの場合、利益とサステナビリティのどちらかを優先し、どちらかを諦める必要があるという誤った思い込みをしている。しかし、これはゼロサム・ゲームではない。ESGへの取り組みでテクノロジーを適切に活用すれば、収益増やコスト削減とサステナビリティは両立する。
その実現を支援するのがオラクルのソリューションだ。変化する世界のビジネスルールに取り残されないよう、ESG投資の第一歩をオラクルのソリューションとともに始めたい。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2022年5月27日