越境ECだけにあらず キャッシュレス決済「ペイパル」の利用者が続々増えているワケ「都会の男性」にとどまらないユーザー層

一昔前までは越境ECで利用されるイメージも強かった「PayPal」。コロナ禍によるキャッシュレス決済ブームもあり、今ではシーンや性別を問わず、さまざまなケースで活用されているようだ。その背景には、個人ユーザーだけでなく、加盟店にとってもうれしい豊富なメリットがあるそうで――。

» 2022年05月31日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
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 グローバルにキャッシュレス決済サービス「PayPal(ペイパル)」を展開するペイパル社は2021年4月、日本部門のトップである事業統括責任者にピーター・ケネバン氏が就任した。同年には後払い(BNPL=Buy Now, Pay Later)サービスの「ペイディ」を買収するなど、さまざまなトピックが話題となった。

 従来ペイパルは、越境ECに強い決済手段として主に男性層の利用が多かったが、近年は女性ユーザーが増えているという。日本国内の加盟店も続々と増えるなど、非常に勢いがあるサービスとなっている。

 続々と増える新たなユーザー層や加盟店は、ペイパルのどこに魅力を感じているのだろうか。今回は、同社の大津陽子氏(ヘッドオブ エンタープライズセールス)に話を聞いた。

ペイパルの大津陽子氏

コロナ禍でキャッシュレス決済が広まりペイパルも急速に拡大した

 ペイパルは1998年に米国で創業し、現在では世界200以上の国と地域でサービスを展開しているグローバル企業となっている。取り扱い通貨数は100以上、アクティブユーザー数は4億人以上。年間の決済件数は193億件(21年実績)にも上り、世界中で決済手段の一つとして活用されている。

 コロナ禍において、ECの利用が拡大したが、それに伴いペイパルの利用も増えた。19年のアクティブアカウント数はグローバルで3.05億人、導入店舗は2400万店舗だったが、21年には4.26億人、3400万店舗となった。

 同社のビジョンについて、大津氏は次のように話す。

 「われわれは『金融サービスの民主化』を掲げています。具体的には、誰もが金融サービスを享受でき、そして安心・安全な資金の移動やお金の管理ができる仕組みの提供を目標としてサービスを展開しています」

 ペイパルは送金だけでなく、国によっては国外からの送金を受け取ることもできる。最近では、従来送金でしか利用できなかったウクライナでのサービスについて、寄付や義援金などのニーズが高まったことを背景に、国外からの送金も受け取れるような措置を取った。大津氏が同社のビジョンとして話した「金融サービスの民主化」がよく表れているエピソードだといえるだろう。

 日本でのサービスは10年ごろから本格的に展開しており、主に越境ECに興味を持つユーザーが利用していた。しかし、時代が進む中、日本市場も変化が起き、キャッシュレス決済が根付き始めている。

 経済産業省は19年に、キャッシュレスの決済比率を25年までに40%へ引き上げるという目標を掲げた。目標を発表した当時はまだ現金が強い市場だったといえる。その分、市場に成長の余地があったという見方もでき、コロナ禍の影響もあるが、近年ではキャッシュレス決済をよく目にするようにもなっているのは多くの読者がうなずくところだろう。

 こうしたことを背景に、ペイパルにとっても日本が重要な戦略市場となっている。さらに日本市場へ注力するに当たり、21年4月に日本事業統括責任者としてピーター・ケネバン氏が就任した形だ。

 これまで日本で「事業統括責任者」という役職はなかったが、日本市場の重要性が高まる中で、セールスも含めた幅広い部門を包括的にマネジメントするために、新たな役職をつくった。

 「ピーター・ケネバンはマッキンゼー・アンド・カンパニーで25年以上にわたるキャリアがあり、日本の経営者層にも広いネットワークを持っています。そのネットワークに直接ペイパルを紹介することで、いろいろな取り組みができるようになりました」(大津氏)

 その中でも大きなニュースとなったのが、21年9月に発表したペイディの買収だろう。ペイディは「今買いたい!」というユーザーのニーズに応えるBNPLサービスで、携帯電話の番号とメールアドレスだけで使い始められるのが特徴。翌月一括もしくは分割手数料無料の「3回あと払い」で購入できる。

※利用にはペイディアプリで本人確認が必要。また銀行振込、口座振替のみ分割手数料無料

日本におけるアクティブユーザーの推移。なお、21年の数値はペイディのアクティブアカウント数を含んでいる(出所:ペイパル資料)

 ペイディの買収額は3000億円とペイパルにとっても大きな投資で、日本での事業展開に力を入れていることが分かる。ちなみに、ペイパルの日本のユーザー数は20年にコロナ禍で巣ごもり需要などが拡大したことにより大きく伸び、19年の330万人から430万人へと成長したが、ペイディの買収効果もあって、21年には840万人へとさらに増えている。

ペイパルによってユーザーが得られるメリット

 個人がECで決済する際、ペイパルを利用すると売り手にクレジットカード番号や銀行口座といった情報を渡す必要はない。ペイパルを介して決済するので、ユーザーはペイパルのサービスにログインするだけでいい。初めて利用する海外のECサイトにクレジットカード番号を入力するのは怖い、といった理由でペイパルを活用している人も多いだろう。

ペイパル加盟店の一例。さまざまな場面で使えるようになっている(出所:ペイパル公式Webサイトよりキャプチャー)

 前述の通り越境ECに強いイメージもあるペイパルだが、昨今では国内企業が加盟店になるケースも多く、ペイパルのアカウントさえあれば、さまざまなところで決済できるようになっている。

 ユーザー層も以前はデジタルコンテンツを利用する「都会の男性」といった層がコアだったが、現在は例えば出産祝いギフトを扱うECサイト「ミルポッシェ」や、コスメブランド「SHIRO」、K-POPアイドルグループのチケットやグッズなどもペイパルで購入できるため、女性の利用率も増えている。

 決済手段は国によって異なるが、日本ではクレジットカードや銀行口座、または「ペイディカード」を通じたペイディによるBNPLなどが選べる。ポイントやマイレージをためたいときにはクレジットカードを利用し、毎月のサブスクは銀行口座からの引き落としにできる。あるいは商品を見てから買いたいならBNPLを選ぶなど、ユーザーに決済方法の多彩な選択権があるのが便利なポイントだ。若年層には「クレジットカードを持ちたくない」「クレジットカードは使い過ぎが怖い」と考える人も一定数おり、そうした人も手間なくECを利用できるメリットもある。

「膨大なユーザー数」「充実の補償」「迅速な入金サイクル」もポイント

 一方、加盟店側がペイパルを利用する大きなメリットは、日本だけでも840万人、グローバルでは4億人以上もいるアクティブユーザーにリーチできる点だ。ユーザーに多様な決済手段を提供することで、コンバージョン率の向上に寄与できるという。加盟店側に設定費用や月額費用などは発生せず、決済金額に応じた手数料設定となっており、とてもシンプルだ。

加盟店がペイパルを利用するメリットの一例(出所:ペイパル資料)

 ECではトラブルが発生することもあるが、ペイパルはしっかりとユーザーと加盟店の両方をサポートしているのも強みだろう。その一つである「買い手保護制度」ではペイパルで決済して購入した商品やサービスが届かなかったとか、内容に不備があったという際、適用条件を満たせば補償してくれる。

 「売り手保護制度」では、商品を発送したりサービスを提供したりしたのに、「届いていない」と買い手からクレームが来た際に補償するプログラム。通常、ユーザーからクレームがあった際は、チャージバックや支払いの取り消しが行われるが、適用条件を満たせばその代金をペイパルが補償する。

 「われわれは20年以上にわたって、オンライン決済を手掛けてきました。その経験から、セキュリティも当社の強みの一つです。『どういう取引が不正をしているのか』『どういう兆候があれば不正の疑いがあるのか』といったデータを蓄積しており、そのシグナルを早期に察知して不正取引を防いでいます」(大津氏)

 さらに、ペイパルでは加盟店向けに、ペイパルのウォレット決済とは別に一般のクレジットカード決済も提供している。ペイパルが持つグローバルのネットワークを活用し、優位性のある経済条件での提供が可能なことから、ぜひ活用したいところだ。

 中小企業であれば、入金サイクルが迅速な点もメリットとなる。銀行口座からの支払いでも、クレジットカード決済でも、ペイパルなら即時にアカウントに入金されるのだ。キャッシュフローが改善されれば助かる、という経営者も多いのではないだろうか。

新規ビジネスやマーケティング支援にも注力 加盟店との関係構築をさらに強化

 ペイパルでは、新たなビジネスとして越境ECを始めたいと考える企業のサポートも行っている。

 同社の調査によると、コロナ禍で中小企業の64%がマイナスの影響を受けたが、78%はビジネスを成長させる方法を積極的に模索したという。「越境ECをすでに行っている」、もしくは「行う予定のある」企業は45%にもなり、すでに行っている企業のうち39%はコロナ禍を受けて開始した。

 越境ECを計画していない企業の理由としては、「コストの高さ」や「人手不足」が挙げられる。こうした点に悩む企業もペイパルを活用することで、グローバルな決済システムや代理購入サービスを導入しやすくなる。

 例えば、もともと国内でC2Cの売買プラットフォームサービスを提供しているA社のケースが話に挙がった。海外でのビジネス展開を検討していたA社は、サービスのローンチに当たりペイパルを導入。まだ日は浅いが、目に見えてペイパルの取引額が増加中だという。ペイパルが世界中に抱えるアクティブユーザーへのリーチを足掛かりに、海外進出を成功させた好例だといえるだろう。

 他にも、D2C系企業のB社では、国内で行うプロモーションのテストに当たり、ペイパルと協力した。

 「こちらのケースでは、マーケティング活動の支援をさせていただきました。例えば、当社からユーザーへ月に1回送る請求のメールの中で『こういう企業にペイパルを導入していただきました』と紹介することや、当社のオウンドメディアを通じて導入企業さまをPRすることが可能です」(大津氏)

 今後、ペイディとの連携もさらに進め、ペイパルとのツーサイドネットワークで生まれるシナジーにも期待しているという。

 最後に今後について聞くと、大津氏は次のように締めくくった。

 「コロナ禍によるデジタルシフトもあり、ありがたいことにユーザーだけでなく加盟店も増えていますが、これまではオンラインでのやりとりがほとんどでした。今後は、増えた加盟店の皆さまのエンゲージメントを深めたいと考えており、いろいろなイベントに出るなど、接点を増やしていきたいですね。

 先進的な金融サービスを目指しつつ、ECやサブスクなど、ユーザー数が増えている領域での利用が広がるような活動をしていきたいと考えています」

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提供:PayPal Pte. Ltd.
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2022年6月17日