インボイス制度、消費税の仕組みから実務への影響まで超解説! 残り1年半で“押さえておきたい”要点は?売り手、買い手双方の立場から知る

いよいよ、施行まで1年半を切った「インボイス制度」。今年1月に施行されたばかりの改正電子帳簿保存法への対応と並行し、今まさに準備を進めているという人も少なくないだろう。仕入税額控除に関わるインボイス制度は、買い手と売り手双方に大きなインパクトがあるが、具体的に何がどう変わるのか――理解が進んでいない領域でもある。ここでは、ITmedia ビジネスオンライン主催のインボイス制度セミナーから、マネーフォワードのセッションをピックアップし、基本から要点までじっくり解説する。

» 2022年07月25日 10時00分 公開
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 昨今、経理担当者に大きなインパクトを与えた法制度といえば、2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法(以下、電帳法)、そして23年10月に施行を控えているインボイス制度だろう。インボイス制度導入については、18年4月に国税庁からリーフレットが公表されるなど以前よりアナウンスはされていたが、昨年より電帳法とセットで対応することを推奨する声が大きくなり、今まさに情報収集をしているという企業も多いのではないだろうか。

photo セッションで登壇した、マネーフォワード マネーフォワードビジネスカンパニー クラウド横断本部に所属する野永裕希氏

インボイス制度は施行までにまだ時間があるように思えるが、同年3月までには事前に「登録番号」の申請を終えておく必要があるため、そろそろ準備を始めておきたい。しかし、インボイス制度によって実際の業務がどう変わるのか、どのように準備するべきなのか、いまいち理解できていない事業者がいまだ多いのが実情だ。

 そこでITmediaビジネスオンラインでは、「ゼロから学ぶインボイス制度 変わる経理業務と“デジタル対応”のポイント」と題し、ライブ配信セミナーを実施。ここからは、クラウド会計ソフトを展開するマネーフォワードで、電帳法やインボイス制度への対応を担当する野永裕希氏(マネーフォワードビジネスカンパニー クラウド横断本部)によるセッション「はじめてのインボイス制度」を基に、本制度の基本から要点までを解説する。

インボイス制度で、日々の実務はこう変わる!

 そもそもインボイス制度とは何か? 端的に「請求書の新しいフォーマット」であると理解すると分かりやすい。その新しいフォーマットこそがインボイス=適格請求書と呼ばれるものであり、23年10月以降は適格請求書がなければ、仕入税額控除ができなくなる。ここがインボイス制度最大の要点だ。

※事業者が納付する消費税から仕入れ時に支払った消費税を控除できる仕組みのこと

 適格請求書は、現在の請求書(区分記載請求書等保存方式と呼ぶ)とは記載する項目が変わる。それが、「登録番号」と、税率ごとに区分した消費税額である。「登録番号」は、23年3月31日までに「適格請求書発行事業者」として税務署に申請しなければ発番できない。そして、申請できるのは課税事業者のみとなる。つまり、免税事業者は適格請求書を発行することができないということだ。

photo インボイス制度のポイントを3つにまとめた図。まず今までの請求書にはなかった記載項目が追加された「適格請求書(インボイス)」が新たに登場する。そして、仕入税額控除を受けるためには、適格請求書が必須となる。さらに、適格請求書を発行するためには、発行事業者の登録が必要であり、登録できるのは課税事業者のみだ

インボイス制度が変える、買い手、売り手それぞれの業務とは?

 商品が売られる過程においては、消費者に商品を売る販売店と、販売店が商品を仕入れる仕入先が存在する。販売店は仕入先から商品(素材)を買って自社で販売しているので「買い手」、仕入先は「売り手」であり、商品を仕入れる際には売り手→買い手へ請求書を発行することになる。このとき、売り手が課税事業者だった場合、買い手は適格請求書の発行を売り手に求め、交付してもらえれば従来通り仕入税額控除を受けられる。逆に売り手が免税事業者だった場合は、適格請求書を発行してもらうことができないため、仕入税額控除は受けられない。

 また、適格請求書が発行できる場合は「今まで、発行した請求書の控え保存は売り手側の義務として課されていなかった。しかしインボイス制度導入後は、売り手と買い手双方が、同じ内容の適格請求書を保存する義務が発生する」(野永氏)という。紙での保存も可能だが、請求書控えを電子で作成し電子で保存する方が紛失のリスクが少なく保管も容易だ。

 適格請求書を受領した買い手側は、3万円未満の課税仕入れにおいても必ず受領保管しなければならない。さらに、「軽減税率の対象品目である旨」や「税率ごとに区分して合計した税込対価の額」の記載があるかの確認、課税事業者からの適格請求書と、免税事業者からの請求書の仕分けも求められる。加えて、受領した適格請求書の登録番号が税務署に本当に登録されているものかどうか、記載されている企業名と合致しているかといった、今までになかった確認作業も必要になる。

photo 従来の請求書と、適格請求書の記載項目比較表

 このように、実務において新たな業務が複数発生するため、紙をベースにした旧来の会計処理では追いつかない可能性が出てくる。そのため企業には、電帳法やインボイス制度への適応を目指し、業務フローの整理やシステム選定を進める姿勢が求められているのである。

 インボイス制度は電子インボイスなどの続報待ちの部分があるため、現状はインボイス制度に完全対応する会計サービスもまだ出ていない(セミナーを開催した22年6月20日時点)。とはいえ、日常の経理業務と並行して、電帳法やインボイス制度に対応するのは困難を伴うため、「まずは情報が出そろっている電帳法への対応を検討、適応しつつ、インボイス制度の情報収集を行うことがベター」と同社は推奨している。

インボイス制度に対応する会計サービスの導入を

 「マネーフォワード クラウド請求書」では、インボイス制度に沿った適格請求書が電子もしくは紙で発行できるよう対応を予定している。請求書発行控えもシステム内で保管が可能だ。請求書の受領側が、「マネーフォワード クラウド債務支払」で会計システムに連携するための必要情報となる項目の設置も予定しているという。

 また、同社サービスは電帳法のうち、スキャナ保存および電子取引には既に対応済みでJIIMA認証も取得している。マネーフォワードのようなクラウド会計ソフトを活用し、来るインボイス制度導入に向けてしっかりと準備を始めておきたい。

 なお、冒頭で野永氏は、国税庁サイト「特集 インボイス制度」のブックマークを推奨している。サイトには税務相談チャットボットがあり、インボイス制度について気になる点をAIが教えてくれるほか、インボイス制度向けのコールセンターもあるという。加えて、セッションの終わりには広く財務経理に役立つバックオフィス情報を発信する同社のYouTube「5分でわかるバックオフィス by マネーフォワード クラウド」も紹介された。インボイス制度の基本知識や、適格簡易請求書(領収書、レシート)の情報等が複数の5分動画で簡潔にまとめられている。ぜひこれらサイトを参考に、今のうちから積極的に情報収集を始めておこう。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2022年7月31日