マーケターが成長を描くために何が必要か? フィールドを限定せず、「個」の可能性を広げるリクルート マーケティング室スタイルとは数百にも上るプロダクト施策を担う

短いサイクルでトレンドや常識が激変し、求められるスキルが変わるマーケティング職。複雑化するデジタル情報を駆使してプロダクトを魅力的にアピールし、市場にインパクトを与えるなどの成果を目指す、やりがいのある職種だが、「マーケティングのフィールドが限られている」などもどかしい思いをするマーケターも少なくない。先進的かつ多様なプロダクトを数々打ち立て続けるリクルート。そのマーケティング戦略を一手に担うマーケティング室のカルチャーから、今求められるマーケター成長戦略を学ぶ。

» 2022年09月27日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
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 今もっともエキサイティングといえるフィールドの一つ、マーケティング業界。技術革新と旧来技術の陳腐化が同時並行してすさまじいスピードで進み、提供するサービス、プロダクトの変化も激しい。そんな背景を理解した上で真に価値あるマーケティング戦略を描き出していくことは、マーケターにとって刺激的な挑戦となる。

 「マーケティング業界は技術の進歩が早く、昨日まであった価値が今日なくなることも珍しくありません。そのため、変わりゆく流れを受け止めながら活用すべき技術を選び取ることが求められるわけですが、それこそが戦略の一部であり、同時にマーケター自身の人材価値を高めることにもつながっていきます。つまりは世の中のマーケティング構造を俯瞰して『チャレンジのしどころ』を見いだし、自己とともに事業の成長につなげていくことこそ、マーケターの醍醐味です」

 そう話すのは、リクルートのマーケターとして活躍する石井智之氏だ。1企業としては他に類を見ない数百にも上るプロダクトを有するリクルートでは、同社に所属するほぼ全てのマーケターが、石井氏がユニット長を務める「リクルート マーケティング室」に集結している。オンライン、オフライン含め、大規模なマーケティング戦略の策定から実行まで、一気通貫して各自担当しているという同社。そこにはマーケターとしてどのような成長があり、企業の躍進に結びついているのか。

個と組織とを伸長させるための環境作りに従事

 大学卒業時にはコンサルタントを目指し、大手コンサルティング会社から内定を得ていたという石井氏。しかし彼は、ふとした折に参加したリクルートの就職説明会で、その道を大きく変えた。

 そこで出会ったのは、“採用する側、される側”という境界線を感じさせない、良い意味で学生的な目線も兼ね備えた社員たち。そんな彼らがまとう空気に面白みを感じてリクルートへの入社を決意し、それ以降は一貫してマーケティング業に従事しているという。

photo リクルートのプロダクト統括本部 マーケティング室 販促領域マーケティング1ユニット(住まい)で、ユニット長を務める石井智之氏

 現在、SaaSマーケティング領域および販促マーケティング1(住まい)領域のユニット長として担っているのは、主として環境作りだ。組織としてのパフォーマンスを上げるために、その下支えとなる個人のパフォーマンスアップを実現させようと、各々の成長機会が最大化する組織を作るために動いているという。

 「個人のパフォーマンスを最大化するためには、チームメンバーに一定の権限を委譲することも必要になります。例えばあるポジションに対して、上位の決裁を必要とせず自走できる権限と責任を渡す。これをギリギリまでやる。それによって各メンバーが今以上に『伸びる』、その可能性を重要視しています。加えて、これまで接触のなかった社内他部署であっても、必要であれば積極的にアプローチし、新しい風穴を開けにいくのも私に課せられた役割です。マーケティングのフィールドはとても広いですから、まだまだ私たちが貢献できる、あるいは貢献すべき分野はある。ある種の未知とも手を組みながら、マーケティングの進化を促進させていこうとしています」

 「マーケティングのフィールドは『思い込み』で仕切られがち」(石井氏)だ。そう考えると、このような形でマーケティングの可能性を積極的に切り開く姿勢はなかなか珍しいかもしれない。「次の世界、これからのマーケティングはどうあるべきか、常に考え続けている」という石井氏は、リクルート入社から14年間、日々マーケターが実力を発揮できる場を開拓していった。

 その動きをバックアップするかのように、マーケティング室という組織自体もまた機能している。過去の実績にとらわれず、垣根なく多様な部署と交流することを実現化し、「協働が必要」と感じればフラットにつながることができる。そこに厳密なルールはなく、社内風土としてもそれを歓迎する向きがある。

成長機会を確実に捉えるポジティブさを歓迎

 ユーザーから支持されるサービス、プロダクトを生み出し、それを使い続けてもらうための活動全てがマーケティングである。そう考える石井氏は、サービスができあがってからそれをどう売り、広めるかといったよくある限定的なマーケティングに疑問を抱く。守備範囲の広いマーケティングにおいては、そもそもそのサービスの企画段階から絡み、戦略なども踏まえた上で主要担当部署とともに動きを進めていくべきというのが彼の考えだ。こういった手法は日本企業ではあまり見られないようだが、「リクルートでは以前よりそれが実働化していた」と石井氏は話す。

 2021年、同社はグループの中核事業会社・機能会社7社を統合し、その延長線上に現在のマーケティング室が誕生した。それによって混乱が起きることはなく、「むしろ人材の流動性が向上した」と石井氏は振り返る。同じマーケティング職でも、異なる領域間で人材を異動させる動きは、ミスマッチが起きないかなど管理職には不安もある。しかし、マーケティング全体を統合するひとつの「室」が生まれたことで、多くのプロダクトの動きを明瞭に知ることができるようになったため、共通言語を持ってもらった上で人の流動が可能になったという。これはメンバーにとって、自身の成長、将来の選択肢を広げることにも寄与する。

 「人間ですから、ずっと同じ仕事を続けているといつか飽きることはある。その意味でも別の舞台で活躍してみたい、自らの進化のためにチャレンジしたいという希望を通すことができる環境は有意義なのではないでしょうか」

 それはある種、「社内転職」にも通じると石井氏。「実際、担当領域を大きく変えるメンバーは定期的に出てきています。そういったポジティブさは会社側としても強く歓迎しますね」と同社ならではの風土を説き、笑顔を見せた。

与えられたチャンスを手に、マーケターとしてそれぞれのキャリアを積む

 いまやマーケターは、自身のキャリアを自ら選択していく時代にある。キャリアデザインにおいてそのルートは千差万別であって当然で、いわゆる「失敗」となるものはないと石井氏は考えている。

 「人を動かす、人に知らせるといった部分におけるマーケティング技術は大変なスピードで発展しています。その分、過去と比べ、現在のマーケターには膨大な『やるべきこと』『できるべきこと』が課せられている。ただ、個人的な見解としては、その全てをひとりが網羅するのはかなり難しいと感じています。そのためキャリアを積み上げていく際には、必ず何かしらの『選択』を行うことになりますが、そこに強く影響するのが個性ではないでしょうか。

 これまで携わっていた領域と近い領域に進出し、スキルやノウハウを向上させるか、あるいはまったく別の領域に飛び込んで新たな武器を得て、人材としての希少価値を高めるか。それを決めるのはやはり個人の志向であり、そこにハードルや制限を設けず、その人の可能性を信じ、広げるのがリクルートのスタイルです」

複数のプロダクトを横串で束ねる、ML制度とは?

 同社では、マーケターにもスペシャリストまたはジェネラリストになる道が用意されている。いずれの道を選ぶかは半年ごとのキャリア見直し時などに確認されるが、途中で志向が変わっても受け入れられるという。

 何かを突き詰めていくスペシャリストを目指す人に向け、近年用意されたのがマーケティングリード(ML)制度だ。これは組織長ではなく、メンバーに裁量権を委譲するというものだが、社内ではMLという役職になる=スペシャリストであることを意味する。

 会社からの評価を鑑みつつ経験を積んで自己のレベルを上げ、その役職に就いたMLは、得意領域における複数のプロダクトを横串で束ね、そこから得た知見の共有を図る役割を担う。同時に、随所で的確なアドバイス、指摘、確認を実施し、高レベルのマーケティングの実現につなげている。

 一方のジェネラリストについてはどうか。石井氏は詳細について、「弊社では、あるプロダクトのマーケティング全体を統括する人間、チームリーダーあるいはマネージャーと呼ばれる人がそれに当たります。一定の普遍的マーケティングスキルを持ち、なおかつ自身の理解度の低い部分についてはメンバーを通じて学ぶことができる人。その上で、チームのマネジメント力に長けていることが求められますね」と話す。

 キャリアルートとしてほぼジェネラリストしか存在しなかった過去には、「ジェネラリストが持つ、ある種『限られた知見』が、かえって新規施策の実践を阻むフタになっていた」(石井氏)こともあるという。しかしML制度ができたことにより、そのフタは取り除かれた形だ。

 現在では、スペシャリストとジェネラリストは互いを補い合いながら、最良の施策を実践している。これはつまり、従来よりも広く、深くなってきたマーケティングのさらなる進化を促進させるために、環境が最適化されたことを意味している。

自分の得意を生かしつつ、それだけにこだわらない伸びしろを武器に

 リクルートの「今の仕事」「これからの仕事」を支えていくマーケティング室に所属するメンバーは、それぞれのバックグラウンドも多岐にわたる。

 「最初からマーケティングに携わってきたというメンバーも多いですが、元は違う組織にいて、マーケティングに挑戦したいと異動してきたメンバーも少なくありません。彼らの出身は開発系、デザイン系、営業などいろいろ。そのためマーケティングの『王道』に縛られず、自由な発想があると感じますね」

 さまざまなカラーを包括し、機能しているリクルート マーケティング室。そこで求められるのは、自らの限界を設けずチャレンジし続けていける人材だ。

 小さくまとまることを良しとせず、自身の意見を持ち、リクルートにある「自由」を楽しめるのであれば、その活躍の場はどこまでも広がっていくだろう。マーケターにとっては、これ以上ない環境が用意されているリクルート。個としてさらなる成長を求める人は、ぜひ門をたたいてみてはいかがだろうか。

インタビュイー情報

石井智之(いしい・ともゆき)

2008年4月、リクルート入社。グーグル株式会社を経て、13年にリクルートライフスタイルへ入社し、アドテクのチームリーダーからデジタルマーケ部門のマネージャーへ。その後、16年「ホットペッパービューティー」「じゃらん」など日常消費領域サービスのデジタルマーケティング部門長に着任。21年4月、販促領域(日常消費)とSaaS領域のマーケティングディビジョンオフィサーを務めたのち、22年4月よりSaaS領域と販促領域(日常消費)から住まい領域のマーケティングディビジョンオフィサーへ。マーケティング組織が事業貢献価値を最大化するための組織づくりなどを得意とし、イベント登壇実績も多数。

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提供:株式会社リクルート
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2022年10月19日