令和5年度税制改正大綱で変わる、電帳法とインボイス 費用対効果が高い対応方法とは

» 2023年01月20日 10時00分 公開
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 電子帳簿保存法(以下、電帳法)の風向きがまた変わった。2022年12月16日に公表された、令和5年度税制改正大綱が原因だ。大綱には「電子帳簿等保存制度の見直し」と題して次のような内容※1が盛り込まれた。ここで抜粋して要約する。

※1:改正内容は24年1月1日以後に行う電子取引について適用される

令和5年度税制改正大綱で電帳法はどうなった?

改正内容1 電子取引における「検索機能」について

電子取引の保存要件について、税務調査の際、電子で受け取った国税関係書類(請求書など)データをダウンロード、提出できるようにしている場合には全ての検索機能を不要とする。対象者は以下。

  • 売上高が5000万円以下である
  • 該当データを出力書面で提示または提出できるようにしている

 売上高が5000万円以下の事業者を対象に、電子取引における検索機能が実質、廃止された。検索機能とは、電子取引の対象となる電子で届いた国税関係書類の保存要件の1つ。「取引年月日」「取引金額」「取引先」をデータの検索条件に設定することなどいくつか条件※2があった。

 そもそも電帳法には「電子帳簿保存」「スキャナ保存」「電子取引」と3種の区分がある。このうち、対応が義務とされているのが電子取引だ。しかし想像以上に企業の対応が間に合っていない現実がある。検索機能は、システム導入を前提とした内容※3であるため遅れの要因にもなっていた。

※2:電子取引の保存要件には、検索機能のほか訂正・削除の防止措置がある/※3:ファイル名の付け方やExcelで書類リストを管理するといった方法を使えばシステム導入は回避できる

改正内容2 電子取引への対応期限について

電子取引において、相当の理由(システム対応が間に合わなかったなど)があると所轄税務署から認められた場合は、猶予措置として“保存要件にかかわらず”電子で受け取った国税関係書類を保存できるとする。ただし、以下を満たしている場合に限る。

  • 税務調査の際、該当データを提出できるようにしている
  • 該当データを出力書面で提示または提出できるようにしている

 やむを得ない事情があり、かつそれが認められた場合は保存要件を満たさずデータ保存できる猶予措置が設けられた。前述した「改正内容1」と同様に条件はあるが、対象となる事業規模などは指定されていない。

改正内容3 現在の「宥恕(ゆうじょ)措置」について

現在の宥恕措置は、適用期限の到来をもって廃止。

 宥恕措置とは、令和4年(22年)度税制改正大綱に盛り込まれた「23年12月31日まで電子取引への対応義務を宥恕する」との内容を指すと考えられる。つまり、現行の宥恕措置は予定通り23年12月31日で適用終了。しかし翌日24年1月1日からは令和5年度の大綱が新たに適用されるため、実質、電子取引の義務化について明確な対応期限は設けない――と受け取ることができる。

 誤解したくないのは、電子取引への義務化、それ自体が廃止されたわけではないということ。改正電帳法は22年1月に施行済みである。対応できていない場合は「事情を考慮する」というだけであり、特に売上高が5000万円以下に該当しない企業は保存要件も満たした形で対応準備を継続しなければならない。とはいえ、今回の大綱で企業のペーパーレス化、帳簿書類のデータ活用推進が停滞することは間違いない。企業は、この事実をどのように受け止めるべきだろうか。

対応要件は緩くなったが、それに甘えられないワケ

 国税関係書類のデジタルシフト、その歴史をさかのぼると古くは1970年代に登場したEDIが始まりになる。EDIは受発注業務の効率化を図ることを目的とし、製造業を中心に今日まで広がってきた。なおEDIでやりとりするデータも、電帳法でいう「電磁的記録」に該当するため電子取引の対象だ。

photo 大興電子通信の野田隆志氏(ビジネスクエスト本部 ICTソリューション推進部 部長 兼 ペーパレスソリューション課 課長)

 長年「EdiGate/POST」をはじめとするEDI事業を展開してきた大興電子通信の野田隆志氏に話を聞くと、「21年に改正電帳法が公表された当時は『最低限の法対応を満たすにはどうすればいいか』という問い合わせが多かった」と振り返る。

 「電帳法は、対象となる帳票の範囲が非常に広い。そのため主管部門が決まっていないケースが多く、対応準備に時間がかかりやすい。例えば、請求書一つをとっても発注側なら購買、受注側なら営業といったように点在しているので、まずは自部門のテリトリーの帳票をどうするかを考える傾向にある。特に、トップダウンでルールを決めにくい中小企業はこの現象が顕著だ」(野田氏)

 野田氏は「EDIでは『7割を電子に置き換えられること』が成功のボーダーライン」と話す。それより電子保存が少なくなると電子と紙が混在することで業務が煩雑になり、EDI導入がむしろ逆効果になる可能性がある。電帳法も同じことがいえるのではないか。今回の大綱を見ると、条件付きとはいえ紙保存が容認されたように受け取れるが、同氏は「そこに甘えることなく帳票の電子化は強い意志をもって推進していくべきだ」と強調する。

 電帳法は古くからある法律だが、野田氏が話すように21年に大幅な改正が行われた。電子取引対応が義務化されたのもこのときだ。背景には、日本企業のペーパーレス化、ひいてはDXを推進したいという国の思惑が見える。企業の状況を鑑みて見直し案が講じられたのは堅実な判断かもしれないが、ペーパーレス化を促す法律であるにもかかわらず「データを出力書面で提示または提出できるように」とは、もはや骨抜き状態と言わざるを得ない。これ幸いと最低限の法対応だけを目指してしまうと、企業のDXは前進しないだろう。

EDIとの連携により、企業内の帳票を隅々まで電子保存

 大興電子通信では21年10月、改正電帳法を受け「EdiGate for INVOICE」をリリースした。名称からも分かる通り、23年10月に施行を控えるインボイス制度への対応も視野に入れた製品だ。電帳法とインボイス制度に対応した電子文書保管サービスという位置付けになり、請求書だけではなく契約書、領収書、納品書、そして見積書、注文書、検収書などさまざまな帳票を電子保存・管理できる点が特徴となる。

 最大の魅力は、同社のEDIサービスであるEdiGate/POSTとの連携だ。見積書、注文書、検収書などをEDIでやりとりしている場合、これらをどう電帳法対応させて保存すればいいのか迷う企業が多い。EDIは、一般的に「送るか受けるか」だけの機能しか持たず、やりとりしたデータは一定期間しか保存できない。野田氏は「EdiGate/POSTとEdiGate for INVOICEはAPIで連携でき、EDIでやりとりしている帳票データを電帳法対応の上、自動保存可能となる。いずれはEDI上でのやりとりもEdiGate for INVOICE上で行える、そのような機能強化を考えている」と話す。

photo EdiGate for INVOICEが提供する主な機能(提供:大興電子通信)

 上がEdiGate for INVOICEの標準機能。この中のタイムスタンプ機能は任意で選べるようになっているが、これは21年の改正電帳法でタイムスタンプの付与が必須ではなくなったためだ。「タイムスタンプはデータそのものに真実性を持たせる上で非常に有用であり、希望する声もある。そのため、EdiGate for INVOICEではタイムスタンプ機能の有無をお選びいただけるような柔軟性を持たせている」(野田氏)のだという。

AI OCR、BPOで法制度対応時の作業負荷を大幅減

 同社の目標は、ペーパーレス化を推進する企業を強力にサポートすること、DX推進を後押しすることにある。そのため、EdiGate for INVOICEはAI OCRサービス「DAiKO OCR」や「DAiKO RPA」など同社の他製品と組み合わせて活用できるほか、23年春にはBPOサービスの提供も予定する。

 「電子取引は、あくまで電子でやりとりしている帳票を紙に出力せず電子のまま保存しなさいという法律だ。一方、紙で届いた帳票に関しては『スキャナ保存』の要件に従うことで電子保存を可能としているが、これの対応は任意となっている。しかし先に述べた通り、電子と紙が混在する環境は好ましくない。当社では、AI OCRにより紙の電帳法保存をも支援するほか、そのリソースを割けない企業にはBPOサービスを提供する」(野田氏)

 スキャナ保存は、スキャンする手間が発生する上、スキャンした帳票データから検索項目を抜き出しシステムに入力する必要がある(=検索機能への対応)。これを人手で行うのは大きな負担だ。そこで役立つのが、大興電子通信が用意するAI OCR、RPA、BPOである。

 一般的に、AI OCRは「読み込んだ帳票データの、どこをOCRにかけテキスト化するか」を決める帳票設計が必要になる。しかしBPOを利用すればそういった手間が省け、スキャンした帳票データをEdiGate for INVOICEにアップロードするだけで、検索項目の入力からEdiGate for INVOICEへの登録を自動化できる。紙で届く帳票の郵送受け取りやスキャン作業自体も、要望があれば個別で対応可能だといい、個社の事情に合わせた導入支援に力を入れる。

インボイス制度対応も効率化 法制度対応+αの価値とは

 インボイス制度への対応機能についてはどうか。インボイス制度は、仕入税額控除にかかわる新しい請求書フォーマット「適格請求書」が導入されるというもの。「登録番号」「適用税率」「消費税額等」の記載が義務付けられており、23年10月以降、発注側は受注側から適格請求書をもらわなければ、従来通り仕入税額控除を受けることができなくなる。請求書は国税関係書類なので、当然、電帳法にのっとった保存が必要だ。

 ちなみに登録番号は、適格請求書発行事業者として申請しなければ発番できない。そして、適格請求書発行事業者になれるのは課税事業者のみだ。しかし、インボイス制度スタート直後は、免税事業者であるにもかかわらず誤って登録番号を記載してしまう、もしくは番号を間違えるなどの混乱が生じると考えられる。

 「インボイス制度が導入され、最も課題となるのは『記載されている登録番号が正しいか』といった、今までにない確認作業が発生することだ。EdiGate for INVOICEでは、適格請求書を受領したあとの確認作業を軽減する。具体的には、登録番号が間違っている場合はアラートを出すなどの機能を今後実装していく予定だ。

 EDI、WebやPDFなどの電子、紙問わず授受した国税関係書類を一元管理でき、インボイス制度による業務負担も軽減できる。そして蓄積した帳票データをビジネスに役立てられるよう管理する――EdiGate for INVOICEなら、法制度対応+αの価値を提供できるはずだ」(野田氏)

 野田氏は最後に「EdiGate for INVOICEは当初、最低限の電帳法対応に焦点を合わせて開発を検討していた」と打ち明ける。なぜ「法対応+αの価値を提供」に方向転換したのか。

 「できるだけ安く法制度対応を済ませたいと考えているお客さまの声は、実際多く届いている。そのため当初は、極力コストを抑え導入・運用していただけるシステムを用意し要望に応えようとしていた。しかし、よく考えれば『義務化になるから、仕方なく安いシステムを入れる』ことはニーズではなく、費用対効果を生み出す取り組みではない。

 当社には、パートナーである富士通とともに長年培ってきたEDIの知見とノウハウがある。帳票データの扱いにおいては、高い優位性を持っている自負もある。もともと持っていた価値と、電帳法やインボイス制度に必要となる『データ保存、管理』機能という新たな価値を組み合わせることで、お客さまに高い費用対効果を提供できる。そのように考え、現在のEdiGate for INVOICEをリリースした。今後はインボイス制度のPeppol対応も視野に入れつつ、EdiGate for INVOICEをより価値あるソリューションに磨き上げることで企業のペーパーレス化、DX支援を継続的に支援したい」(野田氏)

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