ZOZOがテクノロジーにこだわる理由――技術力でファッション業界のインフラを目指す エンジニア組織戦略とは

» 2023年03月31日 10時00分 公開
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 ファッションEC「ZOZOTOWN」を運営するZOZOは、2023年5月に創業25周年を迎える。ZOZOTOWNやファッションコーディネートアプリ「WEAR」の運営だけでなく、経営戦略に「MORE FASHION × FASHION TECH」を掲げ、「ZOZOSUIT」や「ZOZOMAT」「ZOZOGLASS」といった計測テクノロジーの開発・活用など、ファッションとテクノロジーをかけ合わせた事業を展開している。

 なぜZOZOはテクノロジーにこだわるのか――FASHION TECHを加速させるエンジニア組織戦略や、求める人材像について技術部門のトップを担う役職・VPoE(Vice President of Engineering)の瀬尾直利氏に聞いた。

ZOZO 瀬尾直利氏(技術本部本部長 兼 VPoE)ディー・エヌ・エーなどを経て、19年1月ZOZOテクノロジーズ(現ZOZO)に入社。MLOpsチーム立ち上げ、ZOZOTOWNリプレイスプロジェクト責任者などを担当

ファッション×テックでZOZOならではの取り組みを進めたい

――経営戦略の「MORE FASHION × FASHION TECH」について詳しく教えてください。

瀬尾氏(以下、敬称略): 当社は創業当初からテクノロジーの力を活用し、ファッションとテクノロジーをかけ合わせたサービスを軸に成長してきました。19年に澤田が社長に就任してから、自社の強みをより強固なものにしようと、経営戦略として「MORE FASHION × FASHION TECH」を掲げました。

 FASHION TECHとは、テクノロジーの力を駆使した新しい購買体験の提供や業務効率化、データ分析などにより、ファッション業界を活性化させる技術を指します。当社の強みであるファッションとテクノロジーの力をかけ合わせ、ZOZOならではの取り組みをしていこうという考えです。

 その一例がZOZOSUITです。オンライン上で服を購入する際の課題の一つに、購入前に試着できないということがあります。そのため、お客さまのサイズにフィットしたものを提供できる採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(以下、旧ZOZOSUIT)」を17年にローンチしました。

 20年に発表した3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT」は、デザインと計測結果を用いた3Dモデル生成のアルゴリズムを大幅に改善し、より精緻な身体の3Dモデル生成を可能としました。現在は、新たなサービスを共創するパートナー企業を募集している他、米国で展開中の3Dボディースキャンサービス「ZOZOFIT」に活用しています。

 旧ZOZOSUITの技術を活用したプライベートブランド事業などで得られた知見は、アパレルブランド向けの生産支援事業「Made by ZOZO」にも活用しています。これはアパレル業界の抱える大量生産・大量廃棄の課題解決を目指す取り組みでもあります。

 このように、テクノロジーの力をかけ合わせることで、お客さまがより便利に安心してファッションを楽しめるサービス体験の提供のみならず、コスト削減や効率化、業界課題の解決などに貢献できます。

 22年5月には経営戦略に「ワクワクできる『似合う』を届ける」を追加し、各事業を推進しています。その中で私が担う役割は「ファッションを愛するスタッフの情熱を、技術の力で具現化していくこと」です。例えば、「こういうサービスを提供したい」というアイデアが出てきた場合、現状の技術では難しくても、どうすれば実現できるのかを考えるようにしています。実現するために最新テクノロジーの活用を検討することもあります。ファッション業界に最新テクノロジーを導入する余地は多くあり、それを売り上げにつなげるのも私の役割の一つですね。

ZOZO 22年5月21日より、経営戦略として「ワクワクできる『似合う』を届ける」を追加(出所:ZOZO)

――21年10月の組織再編で、ZOZOテクノロジーズの研究開発部門以外の全事業部門がZOZOに集約されました。組織力・技術力強化のために推進する施策やその狙いを教えてください。

瀬尾: ZOZOテクノロジーズはもともと、当グループのサービス運用や技術開発を担うテックカンパニーとして分社化した企業でした。次なるステージを目指すためZOZOの企画部門とZOZOテクノロジーズの開発部門の連携をより強固にする必要があると判断しました。

 そのタイミングで、サービスレベルを高めグループ全体の価値を向上させるため、全社に向けて「BizDevOps」というキーワードを掲げました。ビジネスと開発、運用の3部門がスピーディーに連携できる、機動力の高い組織を目指しています。

――集約により、エンジニアのマインドはどのように変わりましたか。

瀬尾: もともとビジネス部門と開発部門が同じ目線でサービス設計について議論し進める事例も、もちろんありました。しかし、以前は部門間のコミュニケーションが限定的になりがちで、互いの理解が不足する場面もありました。

 組織再編により会話がさらに増え、スピードもクオリティーも向上しています。エンジニアが考えていることがカタチになりやすくなり、お客さまへお届けできる価値をより大きくすることに貢献しています。

テックリード陣がコードレビュー 技術力強化に向けた取り組みを推進

――技術力強化に向けた施策について教えてください。

ZOZO

瀬尾: 外部の技術顧問を積極的に登用しています。業界内の知見のある方を技術顧問として招き、ライブコーディング会などを通じて若手がアドバイスを受けられる環境を作っています。また、社内勉強会を開催しているほか、テックリード陣が横断的にコードレビューをしたり、私自身も全ての案件のアーキテクチャレビューをしたりと、技術力を全体的に上げる取り組みを進めています。

 しかし、これらはZOZOテクノロジーズ時代から続けていることで、真の意味で技術力の強化につながるのは「BizDevOps」推進のための組織づくりにあると思っています。

 すなわちエンジニアが、自分たちがやっていることの目的や意味を理解し、能力を最大限発揮できる環境こそが重要ということです。そのような環境を整備することでエンジニアのマインドが変わり、技術力が高まります。“何のために”を認識することが何よりも大切です。

――組織カルチャーについて教えてください。どのような雰囲気の職場なのでしょうか。

瀬尾: プロダクトへの貢献意欲が高いエンジニアが多く集まっています。もともとファッションが好きでZOZOTOWNを利用している人も多いですし、ファッションに詳しくなくとも、自分の技術をどう生かしたいかと考えている社員が多いと感じます。「新しい技術を使ってみたい」ではなく、技術をどうプロダクトに生かせるかを考える、プロダクト志向のある社員が多いですね。

 また、協力して作り上げる感覚を大切にする人を積極的に採用しています。メンバーが困っていたら手を差し伸べアドバイスするなど助け合いの精神があるため、着実にチームで成果をあげています。要するに「個人レベルではなく、チームで成果を出すところまでつなげられる人」が活躍しています。

――それは瀬尾さんが目指す組織像に合致しているのですね。

瀬尾: 私が目指すのは「プロダクトへの貢献意欲があり、みんなで助け合う組織」です。IQよりもEQ(Emotional Intelligence Quotient、心の知能指数)を重視している会社で、共感能力の高い人が集まっています。ある論文によれば、IQが高い人より、共感レベルの高い人を集めた方が成果が上がるそうです。まさにZOZOはそこを目指している会社だといえます。共感能力の高い人が集まれば自然と全体的な生産性向上につながるはずです。

ファッション業界のインフラになりたい

――今後、ZOZOが目指したい将来像を教えてください。

瀬尾: 社長の澤田は、テクノロジーを活用し「ファッション業界のインフラ」になりたいと話しています。目指すべき世界観を「ファッションを『買う』ならZOZO」から「ファッションの『こと』ならZOZO」へと、アップデートしています。

 業界のインフラの定義は大きく2つあります。一つは、各ブランドさまにZOZOのサービスや技術を活用していただくことです。例えば、出店先としてのZOZOTOWNに加え、ブランドの在庫リスクゼロを目指す生産支援プラットフォームMade by ZOZOや、ブランドと実店舗をつなぐOMOプラットフォーム「ZOZOMO」などが例ですね。

 もう一つは、生活者が「ファッションのことを知りたい」と思った時に最初に想起してもらえるサービスを目指すことです。そのためにもAI活用によるパーソナライズや利便性向上はもちろん、見るだけでワクワクしてもらえる、遊び心のあるサービスづくりにこだわっています。

 「『似合う』を届ける」の具現化も進めています。22年12月には、東京・表参道に「niaulab by ZOZO」(以下、似合うラボ)をオープンしました。当社独自のAIとプロのスタイリストによる知見をかけ合わせた超パーソナルスタイリングサービスを提供する当社初のリアル店舗です。

ZOZO 「『似合う』で、人は笑顔になる」というコンセプトのもと、「似合うラボ」を22年12月にオープン(出所:ZOZO)

 ここで得た情報をデータ化し、実際にユーザーは何を似合うと感じるのか、どのスタイリングが支持されるのかを解析し、「似合う」のセオリーを解き明かしていきます。

 今後は似合うラボで得られた知見を既存サービスに応用し、一人ひとりに「似合う」スタイリングをレコメンドするなど、サービスの利便性向上につなげていきます。例えば、お客さまのクローゼットにあるアイテムからコーディネートするサービスなど、毎日ZOZOに訪れる世界を作れたら理想的ですよね。将来的にはバーチャルな世界での新たなファッションの楽しみ方を提案する他、海外での事業展開など、大きな可能性があると考えます。

 以上のような「ファッションの『こと』なら」を実現するため、やるべきことはたくさんあります。今は夢を形にしていくワクワク感があるフェーズで、それを実現する素養が私たちにはあると確信しています。

――ますます瀬尾さんとエンジニアの活躍が期待されますね。

瀬尾: 今後の成長の鍵は、25年間磨いてきた技術力とプロダクト成長に加え、社員自身も成長し続けられる「高速前進」するエンジニア組織です。VPoEとして、ZOZOのエンジニア組織のプレゼンスをよりいっそう向上させながら、組織力をさらに強化したいと思っています。

 当社の強みは、独自技術とアイデアにより生まれたプロダクトがそろっていることです。ZOZOTOWNは年間購入者が1100万人を超えるサービスです。多くのデータがそろい、ユーザーの購買データやトレンドなどを分析できる特別な環境にあります。アナリストやマーケターといったプロフェッショナルと共に議論しながら新しい開発を進められるのも刺激的です。

 経験を重ねたエンジニアだけでなく、若手にも期待を寄せています。実際に大型プロジェクトのリーダーを若手に任せるなど、年齢や入社年次に関わらず、自ら手を挙げる人が積極的に参加し活躍できる環境を作っています。ZOZOのカルチャーに共感する方にぜひジョインしていただきたいですね。

――ありがとうございました。

 以上が瀬尾氏へのインタビュー内容だ。創業時からテクノロジーにこだわりファッション業界に新しい風を吹かせてきたZOZO。理系出身でもある澤田社長の下、テクノロジーへの投資をさらに強く進め、骨太なエンジニア組織となるため、日々組織力を強化している姿があった。計測テクノロジーの研究開発など、他にはないプロダクトの開発を担える環境はエンジニアの好奇心を満たしてくれる職場ではないか。ZOZOのこれからの姿に期待したい。

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提供:株式会社ZOZO
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2023年4月22日