金融業界のDX阻む“体質”にメス 現場主導の改革をローコードで後押し IBM×マイクロソフトがかなえる業務効率化

» 2023年04月19日 10時00分 公開
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 およそ60年前、1964年の東京オリンピックで「東洋の魔女」こと女子バレーボール日本代表が“金”メダルを獲得して世界を驚かせていたころ、“金”融業界でも驚きの変革が起きていた。同大会の競技結果集計システムを手掛けていたIBMが、銀行の勘定系システムをオンライン化したのだ。当時としては革新的なことだった。

 その後も金融業界は他業界に比べて先進的な取り組みを行い、業務のシステム化やオンライン化、データ活用などへの対応などを進めてきた。しかし、かつての先進的なシステムはいまや大規模かつ複雑化した“レガシーシステム”に姿を変え、新たな変化の波に対応しづらいジレンマに直面している。

 そんな金融業界はいま、生き残り競争の真っ只中だ。段階的な規制緩和に伴って非金融系のIT大手が続々に参入し、インターネットバンキングやスマートフォンアプリを活用したFinTech(金融×テクノロジー)が主流になった。過去の方法論が通用しない状況で、業界の進化は待ったなしだ。

 さらに日本企業のさまざまな課題が顕在化するという「2025年の崖」が迫るなど、変革の時代にある中で金融各社が世の中に追随するにはテクノロジーを活用してDXを一層進めていくことが重要だ。

 「業務データの作成にローカル環境の『Microsoft Excel』を多用している金融業界では、『事務業務をより効率化したい』という声が上がり始めています。その選択肢の一つが、ローコードソリューションを活用した改革の内製化です」――こう話すのは、金融業界で実績を挙げてきた日本IBMの田村恵一氏だ。

 金融業界がこれから歩むDXやIT活用について、幅広い知見を持つ日本IBMと日本マイクロソフトの両社に聞いた。

photo 日本IBMの田村恵一氏(IBMコンサルティング事業本部 金融サービス事業部 ストラテジックパートナーズ 金融担当)

DXはフロントエンドから 金融業界の変わり方

 金融業界の規制緩和は他業種からの新規参入を加速させた一方で、金融各社が新たなチャレンジをする追い風にもなった。本業とは別にコンサルティングやビジネスマッチング、システム販売、人材派遣など従来とは異なる領域への参入が認められたことで、新たな領域でビジネスの価値を生み出そうと模索している。ところが、旧態依然としたシステムや業務スキームが残っている状態では、コストやビジネス速度などに影響する。そこでDXが効果を発揮するわけだ。

 金融業におけるDXは2種類に分けられる。バックエンドと呼ばれる勘定系/基幹系システムの変革も必要だがすぐには難しい。そこで支店業務や営業など顧客に向き合うフロントエンドに注目したい。

 日本マイクロソフトの中邨(なかむら)信貴氏は「フロントエンドには日々の業務で生まれたデータやナレッジが蓄積しているもののIT化が進まず属人化しており、全社の共有資産として活用されているとは言い難い状況です。ここを改革することでDXに欠かせないIT化やデータ活用に取り組み、最終的にはフロントエンドからバックエンドまで隙間ないDXにつなげられます」と解説する。

photo 日本マイクロソフトの中邨信貴氏(クラウドソリューション事業本部 ビジネスアプリケーション統括本部 ビジネスソリューション事業本部 本部長)

DXを阻む“金融業界の体質”の正体

 中邨氏の言う「データやナレッジの属人化」とはどのような状態だろうか。日本IBMの田村氏は、実際の業務シーンを挙げて問題点を指摘する。例えば、法人向けの融資や投資信託のような案件を扱う際、担当者は Excel で収益見込みや成果などを算出する。そのデータは一時的に社内共有されるが、永続的に共有されることはほとんどない。「個々の案件情報を個人で管理してきた “業界体質”が共有を阻む要因となっています」(田村氏)

 地方銀行で営業と勘定系システムのエンジニアの両方を経験した日本IBMの大森政宏氏は、実体験を交えながら切迫感を持って語る。

 「多くの金融機関では、顧客に対応する営業店へのIT導入が進んでいるもののデータ活用はまだ途上かと思います。また営業店の業務負担を下げるために事務処理をバックオフィスに任せるものの、データ連携が不十分なうえに紙文化も残っています。これらの課題を解決し、営業現場とバックオフィス、基幹系システムが連携してダイナミックにデータを生かせる仕組みを構築すれば、営業力のさらなる強化と組織全体のコスト削減を両立でき、ROI(費用対効果)の向上に寄与するでしょう」(大森氏)

photo 日本IBMの大森政宏氏(IBMコンサルティング事業本部 金融ビジネスソリューションズ マネージング・コンサルタント)

現場で高まる変革の機運 隙間業務の効率化にローコードツールを

 こうした課題がある一方で、現場では「変わりたい」という機運が高まっていると田村氏と大森氏は口をそろえる。対顧客システムではスピード感のある改革を進めているのに、現場業務は人頼みという状況に限界を感じているのだ。 Excel ファイルを担当者に回していくバケツリレーなどに代表される、金融業務以外の「隙間業務」の効率化やシステム化や自動化が求められている。

 そこでキーワードになるのが「ローコード/ノーコードツール」だ。高度な知識は必要なく、現場の人たちが自らの手で業務に役立つシステムやアプリケーションを作れるため、改革の速度を上げられる。これまでシステム開発はIT部門のエンジニアらが担っていたが、事業部門の従業員が業務課題を解決する「市民開発」が進展するのだ。

 「“ Excel の達人”と呼ばれる担当者が大勢います。現場業務の表裏を知り尽くし、 Excel などのツールで高度な処理を行っている人々がローコード/ノーコードでアプリケーションを内製すれば、現場に特化したシステムを作れます。共通プラットフォーム上で動かせば、データの属人化も防げるので現場主導によるDXを実現できるわけです」(田村氏)

現場に浸透した Microsoft 製品を活用 ローコードでDX推進

 そこで日本IBMは、「Microsoft 365」など金融機関が使う業務ツールを提供する日本マイクロソフトとタッグを組んだ。ローコードプラットフォーム「Microsoft Power Platform」を活用してもらうことで、DXを強力に後押しするのが狙いだ。

 Power Platform は、アプリ開発ツール「Power Apps」や処理の自動化ツールである「Power Automate」などのアプリケーションで構成されており、業務効率化やペーパーレス化、業務の自動化、ランニングコストの圧縮を実現可能だ。現場に浸透した Microsoft 365 と組み合わせることで、全社横断的にデータやナレッジの共有を実現する業務アプリケーションを作成できる。こうした手軽さと効果の高さから、従業員のリスキリングを目的に活用している企業もある。

 「Power Platform なら、担当者自身が手元にあるデータをさまざまな角度から分析して活用できる実践的なアプリを構築できます。従来の Excel とは異なり、その情報を全社展開できるのが強みです。すでに金融機関の業務に課題を持ちのお客さまから多数のご相談をいただいています」(中邨氏)

 いまは金融機関もROIを厳しく考える時代だ。他業種参入や日本銀行の「地域金融強化のための特別当座預金制度」などをきっかけに、経営基盤の強化に対して厳しい目が向けられている。「ROI向上のために、目立った経費項目である人件費やシステム費の圧縮を考えるのであれば、かつてExcelで処理していたような小規模なサブシステムをPower Platformのプラットフォームに集約することで、システムの導入・運用コストや更改時の経営判断の負担など全般的に大幅なコスト圧縮につながる可能性があります」(大森氏)

金融業界のDXを「かえやすい」「つなぎやすい」「わかりやすい」で実現

 ローコード/ノーコードで現場業務を変えた後、さらなるDXを進める際に不可欠なのが勘定系/基幹系システムやバックオフィス関連のサブシステムとの連携や、外部の事業者とのシステム接続だ。フロントエンドのスピード感を鈍らせないバックエンドのシステム対応が必要になる。

 そこで日本IBMでは、金融機関のDXをサポートする「デジタルサービス・プラットフォーム(DSP)」を提唱している。各種業務システムや基幹系システム、外部システムを1つの基盤上で連携できるクラウドベースのサービスだ。

 同社は、金融業のDXを3要素「かえやすい」「つなぎやすい」「わかりやすい」で説明している。従来は真反対の「かえにくい」「つなぎにくい」「わかりにくい」状況にあったと田村氏は振り返る。ローコード/ノーコードツールを使うことで現場を変えやすくし、DSP で多様なシステムを接続しやすくする。それらは分かりやすさにつながる。

 「DSP はこの3要素を推進する土台であり、 Power Platform と連携することでさらなる改革の起爆剤になります」(田村氏)

 日本IBMが掲げる3要素は、日本マイクロソフトが提唱する概念「デジタルフィードバックループ」にもつながる。同概念は企業を形作る4領域「人・顧客・業務・製品」からデータを収集/分析/活用することで新たな知見を発見し、それを各領域に還元するサイクルを循環させて企業のデジタル変革を促すものだ。

photo DSPの概要。今後、Microsoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」でも展開する予定だ

AIとの連携も 「イメージをアプリ化できる世界に」

 今後は、DSP と Power Platform で業務を支援するため、どちらもAIとの連携を強化していくという。最近は金融機関と会話するAIの話題が頻出するなど期待感が高まっていると田村氏は話す。

 すでにMicrosoftはチャットbot「ChatGPT」を開発した米OpenAIに投資して、検索ツール「Bing」やMicrosoft 365など自社製品にAIを導入している。他にも17種類以上のAIモデルを基にビジネスプロセスの改革に向けたAIを作成できる「AI Builder」や、大規模言語モデル「GPT-3」と連携してメール送信や議事録作成を自動化できる「Viva Sales」など、多数の製品にAIを導入している。

 「イメージを伝えたらアプリができる世界を実現したいですね。ITやプログラミングの知識がなくても市民開発できれば、業務をどんどん効率化できます」(中邨氏)

「両社で1+1を3にする化学反応を起こす」 金融機関のDXを支援

 日本IBMと日本マイクロソフトは協業を通して金融業界のDXを強く後押ししていく。日本IBMには金融業界に携わってきた長い歴史の中で蓄えた経験とノウハウがあり、勘定系/基幹系システムなどバックエンドを知り尽くしている。一方でマイクロソフトはMicrosoft 365 などフロントエンドに関する知見と技術が豊富にある。

 「ITの業界では『レガシー』という言葉はネガティブな印象を与えます。しかし私たちはその言葉に誇りと自信を持っています。レガシーがあるから、金融機関の要望や適した仕組みをしっかり捉えられます。日本マイクロソフトと組むことで、1+1が2ではなく、3にも4にもなる化学反応を起こせます」(田村氏)

 金融業界にとって、知見と技術力に定評がある両社のパートナーシップはとても心強いといえる。これからの現場を変える鍵になる市民開発、ローコード開発を実現する Power Platform と、それを包含するサポートを提供できる日本IBMに声を掛ければ、DXをスムーズに進められるだろう。まずは第一歩として、両社への相談から始めてはいかがだろうか。

photo 左から日本IBMの大森氏と田村氏、日本マイクロソフトの中邨氏

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