三菱自動車とデロイト トーマツ コンサルティングが二人三脚で創る、新しい自動車サービスのカタチ

» 2023年06月13日 10時00分 公開
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 1970年に設立された自動車メーカー、三菱自動車工業株式会社(以下、三菱自動車)。1917年に他社に先んじて量産乗用車「三菱A型」を発売するなど日本の自動車市場の発展に大きく寄与してきた。近年はアウトランダー(PHEVモデル)やekクロスEVといったコネクティッドカーの開発に注力し、収集した車両データをさまざまなサービスへ活用しようとしている。

 そのデータ基盤を構築、運用するにあたって三菱自動車を全面的にバックアップしたのがデロイト トーマツ コンサルティング合同会社(以下、DTC)である。両社は膨大かつ多種多様なデータを管理、活用できるデータ基盤を、パブリッククラウドを活用しながら短期間で構築した。

 三菱自動車が目指す次世代の自動車およびサービスとは? そしてコンサルティング企業として知られるDTCに、システムの構築や運用のサポートを依頼するメリットは? 両社に話を聞いた。

コネクティッド技術で実現する「安心安全で快適」な自動車サービス

※以下、敬称略

――三菱自動車のコネクティッド技術でどのようなサービスが実現するのでしょうか。

photo 三菱自動車工業株式会社 モビリティビジネス本部 コネクティッド部 部長 井上英昭氏

井上(三菱自動車): 現在、さまざまな自動車メーカーがコネクティッドカーの開発を進めています。自動車がIoT化されることで、例えば自家用車ではスマートフォンから遠隔でドアを開閉したり、エアコンを始動したりと多くのメリットを享受できるようになっています。また事故の際に車両の状態を検知してコールセンターに自動で通知する、盗難の際にGPSで車両を追跡するなど、安心安全で快適な自動車サービスの提供が始まっています。商用車でも、配送事業者が車両の使用状況をリアルタイムに管理するような仕組みを設けることができるでしょう。

 特に三菱自動車では、最近注目されている電気自動車(EV)とコネクティッド技術の連携に注力しています。再エネによる発電が余剰になっているタイミングで、自動で充電することによりCO2の発生を抑止し、お客さまにとっては充電コストの削減につながるほか、カーボンニュートラルやエネルギー安定供給など社会課題の解決にも貢献できます。すでに配送事業者との協業で、EV車両の運用の最適化や充電の最適化を行うための実証実験や導入が進んでいます。

 もちろんこうした社会問題は、当社のみでは解決できません。そこでポイントとなるのがデータ活用です。お客さまの同意が前提となりますが、車両から得られるデータをオープンにしていき、各企業とアイデアを出しあえば新しいサービスを創ることが可能になります。こうしたデータの活用により、自動車業界の枠を超えて幅広い領域に取り組んでいきたいと考えています。

――そうした中で新しいデータ活用基盤を必要としたのはなぜですか。

photo 三菱自動車工業株式会社 モビリティビジネス本部 コネクティッド部 担当部長 石黒稚加恵氏

石黒(三菱自動車): 当社のコネクティッドカーの開発は2017年ごろから始まっており、すでに車両データを取得する仕組みは確立していました。しかし、まだフェーズ1でコネクティッド機能を使ったB2Cのサービスのみに注力している段階であり、膨大な車両データは1〜2カ月で廃棄されていました。車両データをどうやって蓄積、活用するかが大きな課題でした。

 そもそもどのようなデータが車両から得られて、どのようなデータ基盤が必要なのか、どのようなビジネスニーズにマッチするのかといった精査や検討、社内の関係各所との調整に時間をかけて取り組んできました。そうした取り組みを全般的にサポートしてくれたのがDTCです。

 もともと同社には、コネクティッドカーの開発当初からプロジェクトに参画してもらっていました。松山さんをはじめ、DTCのスタッフは当社の車両開発担当者と積極的に連携しデータ設計まで踏み込んで、三菱自動車の車両データを深く理解した上でIT基盤を開発してくれていました。そうした背景から、データ活用基盤の取り組みにも協力いただいています。

大量かつ多様な車両データを活用 DTCが持つ基盤構築や運用ノウハウとは

――どのように車両データを活用したいと考え、どのようなデータ基盤を必要としていたのですか。

石黒(三菱自動車): まずリアルタイム性です。損害保険会社は自動車事故が発生したときの状況を知ることが重要ですし、エネルギー事業者は時間単位でのエネルギー消費量を把握して供給量を細かく調整したいと考えます。車両データをリアルタイムに取得、蓄積し、かつリアルタイムに活用できることが目標です。

 また、データの収集から活用まで一連のフローを容易に実現できる点も重要です。三菱自動車社内でも、車両データを車両開発やマーケティングに活用していきたいという意向があります。リアルタイムなデータを、社内外から素早く簡単に連携して活用できるオープンな仕組み、データ活用プラットフォームになることを重視したいと考えていました。

photo デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 Cloud & Engineering シニアマネジャー 松山敬之氏

松山(DTC): 車両データとひとくちに言っても、非常に大量でバリエーションが豊富です。スピードやエンジン回転数、シフトポジション、タイヤ、ライト、ドアの状態、充電状況といった分類も多様で、それぞれに細かな情報が含まれます。しかも乗員が操作するタイミングによってデータが発生し、それらがデータ基盤側へ一気に送られてきます。そうした多種多様なデータをビジネスで活用するためには、事前に整理しておかなければなりません。

 データ管理の視点からすると、自動車はやはり特殊だと感じます。それらのデータを活用するには、IT技術と自動車、双方の知見が必要です。当社がコネクティッドカーの開発初期から参画してきたからこそ、そのデータ活用まで支援できていると考えています。

――データ基盤の構築にクラウドサービスを活用した背景について教えてください。

石黒(三菱自動車): 当社ではコネクティッドカーの開発当初から、クラウドサービスを活用しています。リーズナブルで拡張性が高く、スピーディーに利用できるITです。また将来的にさまざまなパートナーと協業していこうという状況で、ネットワーク連携がしやすいクラウド技術を活用するのは自然の流れでした。

photo デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 Cloud Division リーダー 執行役員 根岸弘光氏

根岸(DTC): 日本の製造業全体が、モノづくりだけではなくサービスも提供しよう、お客さまへよりよい体験を届けようという方向へ舵(かじ)を切っています。もちろん自動車メーカーにおいても、お客さまや車両の状況をしっかり捉え、どのようなサービスを提供しているのか、どれほど迅速に対応しているのかという視点が重要です。激しく変化する環境において、新しい企画が完成するのが3年後では遅いのです。

 DTCにおいても、そうした変化する時代に合わせて、そのスピード感とそれを実現するクラウドに着目していきたいという思いがありました。もともと当社はアドバイザリーや戦略立案を得意としており、実装はシステムインテグレーターへ引き継ぐことが主でした。しかしそれでは、目標と実装のズレが発生することもある。そこで構築や運用も社内で手掛ける、企画から実装、実行までシームレスにサポートすることを目指して改革してきました。

 当社にとっては新しい取り組みですが、もともとDTCはグローバルでシステム開発の実績を多数有しており、構築や運用ノウハウを蓄積していました。現在もそうした実績や経験を共有しながら、ナレッジをお客さまへ提供するように努めています。基幹系システムや情報系システム、今はモビリティのような新しい価値を提供するサービスまで幅広く支援しています。そうした当社の取り組みを三菱自動車にも高く評価していただき、コネクティッドカーからデータ基盤の開発、運用までEnd-to-Endで密に連携していこうとなったのです。

井上(三菱自動車): 三菱自動車が自動車メーカーとして変わろうとしている状況で、DTCも上流工程だけでなく下流工程のビジネスにも視野を広げた変革に取り組んでいました。そうした共感も、私たちの協業のきっかけになったのではないかと感じています。

4カ月でデータ連携基盤を構築 スピーディーな開発をどう実現?

――DTCはどのようなデータ連携基盤を構築し、どのように支援しましたか。

photo デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 Cloud & Engineering シニアマネジャー 宮越弘樹氏

宮越(DTC): 車両データを蓄積するデータレイクですが、車両データの内容と構造を理解し、ビジネスでどのように活用するのか、どう蓄積すると利用しやすくなるのかを常に意識しながら構築に臨みました。また、大量のデータを高速に処理することが求められるため、クラウドサービスの拡張性という強みを生かして実現しました。クラウドは手軽に使える一方、サービスの一つ一つの特性を理解しなければうまく動作しないこともあります。私たちはデロイトグローバルでクラウド活用の実績、ノウハウを蓄積しているので、それらの知見を活用しながら本プロジェクトに最適な構成を実現しました。

 また、短期間で構築できた点も三菱自動車には評価していただいています。私たちがフェーズ1から参画し、車両データの設計まで深く関わることができていたからこそ、データ活用基盤の開発をスムーズに進められたと思います。

石黒(三菱自動車): 開発そのものは4カ月ほどでしたね。従来のデータベース構築には1年かかるのが普通ですから、かなりスピーディーに取り組むことができました。事前に細かな調査を進めていたため、大きな手戻りが少なかったという点も大きいですね。

井上(三菱自動車): 車両から発せられるデータは非常に特殊です。DTCがプロジェクト当初から深く関わり、サードパーティーと密に連携し幅広く活躍してくれました。

――両社は今後どのような取り組みを行っていく計画ですか。

石黒(三菱自動車): DTCは、上流から下流まで一気通貫でスピーディーに支援してくれるのが一番の特長です。まずはそのスピード感をもって、私たちのサービスを仕上げていくのが目標です。その上で、DTCのノウハウをできるだけ吸収し、当社の知見として醸成していきたいと考えています。システム開発を丸投げせず、一緒に作り上げていくというスタンスなので、私たちも成長しなければと強く感じています。

井上(三菱自動車): DTCはこれまで二人三脚で支援してくれたパートナーで、強固な信頼関係を築けており、耳の痛いアドバイスもいただけることがあって、共に成長できている実感があります。

 三菱自動車は、車両データを積極的にオープン化して、さまざまなプレイヤーと連携しサービスを創出する世界を目指しています。このビジネスを拡大していくためには、どのようなデータ連携を図り、他社とどのような結び付きを構築していくのかが重要です。車両データをオープン化した先に生まれるサービスまでの具体像を描いていく上で、DTCには車両データに関する知見を生かした支援に期待します。

根岸(DTC): ありがとうございます。近年は、さまざまな業界の垣根を越えたビジネスエコシステムを構築し、新たな価値を創造することが求められています。その上で、井上さんがおっしゃっている「他社とどのような結び付きを構築していくか」については当社のコンサルティングが活躍できるという自負がありますし、もっといえばDTCはそんなエコシステムをより強力に推進する中核的存在になることを目指しています。

 日本企業全体をどう強化していくか――この点もDTCに求められている使命の一つです。まず三菱自動車とDTCが共に成長し、コネクティッドカーとデータ活用のビジネスを盛り上げ日本市場に貢献していきたいですね。

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提供:デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2023年6月28日