データ活用の第一歩 見落としがちな「成功のカギ」とは? セゾン情報システムズの抜本的改革を追う

» 2023年08月15日 10時00分 公開
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 DX推進において重要なことは社内に蓄積されたデータをまとめ、現場の社員が正しく活用することだ。企業側は社内のデータ連携を進めるだけでなく、全社員が活用方法を学び、データに触れる機会を提供する必要がある。

 その好例が、データエンジニアリングカンパニーであるセゾン情報システムズの取り組みだ。自社でデータ活用基盤を構築し、社員の自発的な業務改善を目指す「データドリブンプラットフォーム(以下、DDP)」プロジェクトを進め、2022年4月から全社利用を開始している。DDPの開発から運用まで、同社が一貫して心掛けていることは「社員が親しみを持ってデータに触れる環境をつくること」だとか。

 その真意とは一体何か――DDPプロジェクトを主導した、セゾン情報システムズ IT推進部の佐々木勝氏と白鳥詩織氏、マーケティング部の細見征司氏に話を聞いた。

データ活用 (左から)IT推進部 佐々木勝氏、白鳥詩織氏、マーケティング部 細見征司氏

セゾン情報システムズが目指す姿と推進するDDPプロジェクト

――セゾン情報システムズが掲げるミッションと、DDPプロジェクトの概要を教えてください。

細見氏(以下、敬称略): 当社では、データを活用することで理想の社会が作れると信じ「世界中のデータをつなぎ、誰もがデータを活用できる社会を作る」というミッションを掲げています。

 デジタル技術は急速に進歩し、多くの領域にデジタル化の波が押し寄せてきました。しかしデジタル化を進めるだけでは、仕事の効率は良くなりません。紙の仕事がモニターを使った作業に置き換わるだけだからです。デジタル化によって生まれたデータをつなげ、活用する必要があると考えています。

佐々木氏(以下、敬称略): このミッションをどう具現化していくかが重要ですよね。現場の課題を解決するには、その根拠をデータで立証しながら仮説検証をしていく必要があります。そのため、データをシステム部門の手から離して全社員に解放すべきだと考えました。“こうなったらいいのに”と考える社員自らデータに触れることが重要です。それが、DDPプロジェクトの真髄(しんずい)だと思います。

データ活用 DDPのアーリーアダプター(早期導入者)として活動する細見氏。利用者の立場から社内での普及や活用方法の開発を進めている

細見: DDPプロジェクトについて簡単に言えば、散在しているデータを集め、自由に仮説検証や分析ができ、業務効率化につながる仕組みを作るプロジェクトです。

 これまでは、部署ごとに最適なシステムを選んできましたが、それでは蓄積されるデータも散在してしまいます。また、ガバナンスを理由にアクセス制限を課しすぎると、データ活用の意欲が阻まれますよね。そのため、社内のあらゆるデータを集め、ここを見れば必要なデータが全て分かるプラットフォームを構築する必要がありました。

佐々木: DDPプロジェクトは、私たちシステム部門の発案からスタートしました。完全に新しい仕組みを構築するため、最初にユーザーがDDPを使ってどのような体験をしていくのか、入り口から出口までのシナリオを想定してプロダクト企画をまとめ、システム機能に落とし込んでいきました。

 そして何よりもDDPが「真に使える」データを提供するため業務担当者に細かくヒアリングを行い、必要かつ十分なデータを抽出していきました。

「誰でも」データを活用できるようにするために必要だったこと

――プロジェクトを進めるうえで苦労したポイントはどこですか。

細見: “誰でも閲覧できる”といえども、フルオープンではいけません。個人情報や契約上公開できないデータをどう守るか。そこの設計はだいぶ苦労していましたよね。

データ活用 リーダーとしてDDPプロジェクトを推進した佐々木氏。細かい作業を進め、誰もがデータを活用できる環境の構築を目指す

佐々木: そうですね。閲覧者を限定する箇所をコントロールし、どう定義付けするかを考える必要がありました。そのために社内にあるシステム内の情報を全て出し、オーナーを決めて、データの利用者は誰かというマトリクスを作成しました。ユーザーが使いたいと望んでいるデータを整理し、関連性の高いデータを統合するなど、細かい調整が必要で、関係者と話しながら地道に決めていきました。

白鳥氏(以下、敬称略): 地道といえば、DDPを使ってもらう仕掛け作りにも苦労しました。ユーザーが迷子にならないようにポータルサイトを作り、そこにDDPのコンセプト説明や利用開始までの手続き、ツールのチュートリアルなども集約しています。はじめの一歩を踏み出しやすいようにしたつもりです。

佐々木: ユーザーが離脱しないために、UI(ユーザーインタフェース)やUX(ユーザー体験)はとても大事です。この領域が得意な白鳥さんが、全ての情報を容易に閲覧できる画面を構成するなど、さまざまな工夫をしてくれましたね。

データ活用 DDPプロジェクトのポータルサイト。離脱せずデータを活用してもらうための工夫を施した(出典:セゾン情報システムズ)

 全ての取り組みで意識したのは「データを社員の共有財産と捉え、価値を分かち合えるようにする」ことです。技術面で悩んでいる社員には教育や支援を施し、やりたいことの手助けをしています。この取り組みが、データを使ってみようと思えるモチベーション向上にもつながっていると感じます。

――貴社のようなIT企業では、全社員が簡単に使えるようなイメージがありますが?

細見: そんなことはありません。エンジニアや技術的な知見のある社員は約5割で、営業やバックオフィスなど非IT職の社員が大半を占めている点は他社と変わりません。そのため、データを扱うレベルを6段階に分け、個人の理解度に合わせた学習教材も用意しました。

――しかし、教材を用意しても、全員が必ず受講するとは限らないですよね。

佐々木: もちろんそこも考慮しています。業務に必要な知識の情報だけを提供しても、離脱してしまう可能性は大いにあります。そこで一緒に勉強する場を設けた他、ちょっとした空き時間に学習できるツールも用意しています。

 また、欲しいデータに手間なくたどり着く仕組みの構築もこだわりました。それが「データカタログ」です。データカタログ上でキーワードを検索すると関連したデータが表示されるようにしています。もちろん部署が違えば同じデータでも利用目的やデータの表現方法が異なります。そのため、データのオーナーや各部門の利用者に話を聞いて誰でもデータの意味を直感的に理解できるよう表現を工夫しました。

 語る相手によってデータの見方や説明方法が変わることのないよう、徹底して標準化を図りました。これは本当に泥臭い作業ですがとても重要なことだと思っています。

データ活用 データカタログを作成し、社内データを横断的に検索できるようにした(出典:セゾン情報システムズ)

細見: データを活用する業務部門の立場だと「今あるデータをどのように役立てるか」よりも「業務上の仮説に役立つデータは何か」が大事になります。そのため、関連キーワードを入れて検索し、表示された一覧から必要なデータを探すことが多いはずです。

 その面でデータカタログは本当に役立っています。社内には魅力的なデータがあることを知り、そこから新たな発想や着想が得られました。やはりデータを活用するための一歩は、データに触れることだと思います。自分の業務における分析をDDPで行い、他のメンバーに提示することで、今まで手作業でやるしかないと思っていた人たちが「これもデータで解決できるのでは?」と相談してくれるようになりました。

データ活用 DDPプロジェクトの立ち上げ時から携わり、外部セミナーなどでの情報発信に努めている白鳥氏。「親しみやすいシステム基盤になることを意識した」と強調する

白鳥: 私の立場で工夫していたのは、DDPを「柔らかくて温かい存在にしたい」ということです。システム部門が提供するものは全社インフラになることが多いので、少し難くて、かしこまった存在です。でも、DDPはもう少し“気さく”な立ち位置に置きたいと考えていました。

 そのために、発信するときの言葉選びも使用を強制するような口調にならないように意識しています。

 思想やコンセプト、私たちの思いを語りながら「こんなこともできちゃうんですよ」「サンプルをここに置いてきましたよ」というような感じで伝えるようにしています。「触ってみよう」と思うタイミングは人それぞれなはずなので、私たちも一度伝えて終わりとせずに何度も発信していく。そうするうちにデータ活用の波が少しずつでも広がっていくと信じています。

自社の取り組みから見えたメリット

――DDPを開始して約1年、成果や手応えはいかがですか?

細見: 社員が自主的にDDPを使い始めた感覚はあります。手作業で集計する手間が自動化できているのはもちろん、それぞれの部門の中に囲い込まれていたデータが見えるようになり、新しい発想も生まれていると実感しています。

佐々木: 細見さんのようなアーリーアダプターが活用方法を積極的に発信してくれるので、着々とユーザーが広がってきています。データを見るだけ、あるいは分析をする人などレベル感の差はありますが、23年7月時点で、DDPの利用者は全社員の3割を超えています。

白鳥: うれしかったことは、議論の中心にデータを据えることが増えたと話す社員がいたことです。それぞれの経験や知見を基にした議論から、「データはこうです」と示すだけで建設的な話になり結論をまとめやすくなります。

 どの社員も以前からデータを活用したかったはずです。しかし、会議直前にデータを集めて整えるといった手間が大変で、疎遠になっていたのではないでしょうか。それがDDPによって手軽にできるようになったと感じています。

細見: 業務を改善したいと考える人はどの部門にも必ずいます。まずはその人たちに使ってもらうことで、データ活用がさらに広がるはずです。当社ではこれまで、製品の特徴や使いやすさを前面に出してお客さまと会話してきました。DDPプロジェクトを通して、新たに“データ活用の体験談”という武器が加わったと感じています。機能面と体験価値をあわせてお客さまに提供することで、私たちが掲げるビジョンに一歩近づけたと思います。

――本日はありがとうございました!

 DDPは社員が自ら取り組んだもので、強制されたわけではない――と3人は口をそろえる。非ITの社員が大半を占めている中、自らの意思でデータを活用できるようになったのは、確かな支援体制と悩みを相談しあえる環境があったからこそ。データ活用に悩みを抱えている企業は、ぜひ一度セゾン情報システムズに相談してみてはいかがだろうか。

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提供:株式会社セゾン情報システムズ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2023年9月10日