「レベニューOps」はデータ活用だけでは成らず 第一人者が語る収益最大化の条件

» 2023年09月19日 10時00分 公開
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 営業やマーケティングといった組織を横断して売り上げと利益(レベニュー)の最大化を目指す取り組み「レベニューOps」に注目が集まっている。ツールの提供やイベント「Theレベニュー会議」の開催を通してレベニューOpsの発信に取り組んでいるのがウイングアーク1stだ。

 今回は同社の取り組みを先導する久我温紀氏(執行役員 マーケティング本部 本部長)に、レベニューOpsにおけるポイントを聞いた。

営業に“ウルトラC”はない 必要なのは地道な「変数」の改善

 Theレベニュー会議の発起人である久我氏は、かつて同社のアカウントセールスとして5期連続でMVPを受賞。アカウントセールス時代は、上半期の時点で年度予算を達成できる見込みが立てられるほど計画的な業務遂行を心掛けていたという。そのために意識していたのが、データを基にパイプラインを多く作ることだった。

 自身で顧客データベースを構築することで、商談の「量」とともに「質」の向上に注力。その他、顧客へのサポートや何かトラブルがあった際には必ず足を運ぶなど、信頼関係の構築にも注力した。どれも営業にとっては「当たり前」にも映るが、久我氏は次のように話す。

ウイングアーク1st久我温紀氏(執行役員 マーケティング本部 本部長)。創業時から事業に参画。法人向けソフトウェアのアカウントセールスとして5期連続トップセールスを達成し、マネジャーに最年少で就任。成績不振の営業部門の再建に関わり全部門予算達成を実現し、過去最大の事業成長をけん引する。2016年に営業統括責任者に就任。17年に経営戦略担当を兼任し、18年からマーケティング統括責任者。19年9月より現職。セールス&レベニューエヴァンジェリストとして、メディアへの寄稿や講演などを行う。

 「営業には“ウルトラC”がないと考えています。小さな努力の地味な積み重ねが成果につながるものです。改善のための『変数』がとても多いです。たくさんある変数を日々、いかに改善できるかがポイントだと考えています」

営業の「型」と「テクノロジー」 両者あってこそのレベニュー最大化

 久我氏がTheレベニュー会議を始めたのは、2022年10月。背景には、上述した「営業にはウルトラCがない」という考えが大きく影響している。

 「Theレベニュー会議は、営業の『型』を発信して、日本企業のビジネスをアップデートしたいという思いで始めました。昨今は、営業やマーケティング領域でもデジタルツールを使ってデータを活用していこうという機運が高まっています。一方で、型がない状態でデジタルツールを導入しても効果を最大限に発揮できず、もったいないと考えています」(久我氏)

 どういうことか。久我氏が強調するのは、デジタルツールはあくまで目的ではなく手段であるというポイントだ。例えば、営業領域で商談のデータ化が進んでいる。しかし、データ化の先に活用するビジョンがなければ意味がない。

 「商談の件数を正確に把握することで予算達成状況を予想し、早期に対策を打つ」「売り上げにつながった過去の商談をデータ化して教育期間の短縮化や教育の質の向上に活用する」「コンバージョンが高いコミュニケーションを再現するためにはどういった対話方法が望ましいのか」――このように営業組織を強化し、収益性を高めるための変数を改善するツールとして使ってこそ、データは効果を発揮する。

 「先ほどお話しした通り、営業には非常にたくさんの変数があります。営業メンバーが顧客にどれくらい時間を割けているか、活動量や販促費といった『量』で測れるものに加えて、営業プロセスなどの活動の『質』を見るもの。この、量と質の2軸における変数を知ることを目的にしているのがTheレベニュー会議です。その手段としてテクノロジーの導入効果が見込めるのであれば、テクノロジーを活用すべきと考えています。(久我氏)

 初回のテーマは「DX時代の営業組織を考える」として、セレブリックスの今井晶也氏、kipplesの日比谷尚武氏、祖谷考克氏を招いた。売り上げと利益の最大化をテーマにしたところ、イベント参加者の満足率が97%を記録するという盛況ぶりでシリーズ化を決定。その後も参加者数は拡大している。参加者から寄せられるコメントも多く、熱量が非常に高いイベントに久我氏も手応えを感じている。それほど今、日本企業がレベニューに関心を寄せているということだろう。

人員3割減でも、4月には「予算達成宣言」できる組織に

 では今、レベニューの最大化に向けて各社が取り組むべきポイントはどこか。久我氏は自社での経験を基に、まずは「状況把握」が重要だと指摘する。

 「改善すべき変数が分からないことには、行動を始められません。そもそも変数が見つからなければ、これ以上改善する余地がない、ということもあり得ます」(久我氏)

 実はウイングアーク1stも、以前は営業組織にさまざまな課題を抱えていた。そこで久我氏が取り組んだのは、徹底的なデータ分析だった。さまざまなデータに当たる中で久我氏がボトルネックの一つとして特定したのが、営業組織における時間の使い方だ。顧客のために割く時間である「ピュアなセールスタイム」(久我氏)が非常に少なく、移動時間や事務、会議などに時間を割いてしまっていることが分かった。

 データを基に「顧客に割く時間を増やせば、商談を数千件単位で増やせる」という仮説を立て、営業のタイムマネジメントに取り組んだ。かつて自身が営業のプレイヤーだったときと同じように、無駄な移動を減らし成果につながるための時間を増やす。成果をさらに出すために活動の質を高めるといった“筋肉質な時間”の使い方にシフトしていった。

 SFA(営業支援システム)にもテコ入れをした。導入したものの、入力項目が非常に多いことから活用が進んでいないという課題を抱えていた。そこで入力項目を10分の1程度にまで減らし、1週間当たり420分もかかっていた事務作業を3分の1程度に削減することに成功した。

 「現場がデータをしっかり入力する習慣を作らなければいけないという危機感を持っていました。本当はどのデータも変数を改善していくには重要ですが、必須ではありません。そこで、提案先の企業名や商談名、商談フェーズ、金額といった必要不可欠なものに絞ることで、まずは習慣化を促しました」(久我氏)

 データを基にした業務改善と、現場がデータを習慣的に入力する仕組みづくり。この取り組みが功を奏し、営業組織の活動状況が見える化され、結果予算計画を前倒しで達成できる組織に進化していった。

 「ピーク時と比較して人員が3割程度に減少しても成果を出せるようになり、期が始まり2カ月目になる4月の時点で『今年度の予算、達成できます!』と宣言できるようになりました。もちろん内心ではドキドキしていましたが(笑)、データが集まってきたことで確度の高い見通しができるようになりました。早めに予算を達成できる見込みが立てば、より長期的な視野に立った投資ができます。そこで次は、当時まだ部署として存在していなかったインサイドセールスに手を付けていきました」(久我氏)

 ウイングアーク1stには、インサイドセールスの部隊がなかったことで、当時マーケティングリードからフィールドセールスまでの中間地点が空白になっていた。社内の2〜3人を中心に外注先と協力してマーケティングリードに眠る販売機会有無の検証に注力したところ、2億円規模のパイプラインを創出することに成功。組織として大きな伸びしろであると分かり、インサイドセールス部門を立ち上げるに至る。

 その後、マーケティングリード、商談創出からフィールドセールスまでを一気通貫に分析できる体制ができたことで、さまざまな変数の改善をタイムリーに実現することにつながっていった。

 「取り組みを始めて以降、マーケティングリードは5年で200%増えました。ただ、マーケティングリードを増やすだけでは意味がありません。より重要な商談移行数でも、220%成長という数値が出ており、マーケティングリードからの受注金額も450%伸びています。リードの伸び率よりも商談や受注貢献の伸び率の方が大きくなり効率の面で見ても良い結果が出ています」(久我氏)

データを活用できている人は半数未満 悩みを解消するには?

 データを集めるだけでなく、定期的にモニタリングして重要指標の改善につなげる――「言うは易く行うは難し」という言葉の通り、分かっていてもなかなか実現できていない企業も多いはずだ。

 同社が定期的に実施している「営業組織の予算達成に関する実態調査」でも各社の課題が明らかになっている。23年の調査で、予算達成に当たってデータ活用が重要であると回答した人が90%近くに達したが、「データを活用できている」と回答した人は半数未満にとどまった。

予算達成にデータ活用が重要であると約9割が回答したが、データを活用できているという回答は半数未満にとどまった(出典:営業組織の予算達成に関する実態調査2023

 「インターネットやスマートフォンの普及によるデジタル社会の到来により営業・購買プロセスが大きく変わる中で、分析すべき変数は多岐にわたります。営業やマーケティングといった各部署の業務が先鋭化する中で、部門間の情報の非対称性も強まっています。だからこそ今、部署を横断して収益の最大化に取り組むレベニューOpsが必要なのです」(久我氏)

 部署を横断してデータを分析し、レベニューを最大化するために活用したいのが、ウイングアーク1stのBIダッシュボード「MotionBoard」だ。基幹システムや事業部のSaaS、市場データといった点在する情報を統合して一元管理できる。

 「扱う情報が増えるほど、作業負荷も高まるものです。MotionBoardを使えば、分断されがちなExcelとSFAのデータをひも付けて分析することも可能ですし、必要に応じてビジュアライズもできます。Slackなどのチャットツールと連携して、毎朝の日報的に各種のデータをメンバーや経営陣に配信できるのも魅力です。収集から分析、現場への共有や業務改善まで、レベニューOpsに必要なデータ活用をワンストップに集約できるはずです」(久我氏)

MotionBoardのダッシュボードイメージ

 レベニューOpsに求められるデータ活用に使えるBIツールのMotionBoard、さらに営業の型を伝授するTheレベニュー会議で各社の収益力向上に努めるウイングアーク1st。その先頭に立つ久我氏は、次のように話す。

 「今、デジタルツールの導入ハードルはとても下がっています。それに伴って、データを活用できるシチュエーションも増えました。当社は、これまでの知見と事例を豊富に有しています。レベニューの最大化に取り組みたい方は、ぜひお声掛けください」(久我氏)

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