マイナビの“脱サイロ化”を追う! 約30事業部のデータを統合 500人体制で挑む「全社最適化」への改革

» 2023年09月29日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
PR

 企業と人材のマッチングを中心に50以上のサービスを展開しているマイナビは2023年8月に創業50周年を迎えた。同社のパーパスである「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。」に基づき、変化が激しい世の中で今までの生き方に囚われず、新しい挑戦をする人を応援し続けている。

 そんなマイナビでは、22年10月に「デジタルテクノロジー戦略本部」を立ち上げた。これまで事業部ごとに存在していたITとWebマーケティングの担当部署を1つに統合。データやシステム、人材などアセットの“全社最適”を図り、イノベーションをより大きなスケールで前に進めていく「Drive Digital Innovation(デジタル・イノベーションの推進)」をミッションに掲げている。発足から約1年がたった現在、メンバーは500人を超えており、すでに多くの改革を進めている。

 長年にわたって知名度のあるサービスを数多く運営してきた同社が、ここまで抜本的な改革に踏み切るのは簡単なことではない。そこまでしてIT/Webマーケティング部門を統合した理由は何なのか、どのようなビジョンを描いているのか。

 デジタルテクノロジー戦略本部の活動を取材すると、マイナビの狙いが浮かび上がってきた。今回は、同戦略本部の坂本一弘氏(執行役員 デジタルテクノロジー戦略本部 本部長)と、石合美夕貴氏(デジタルテクノロジー戦略本部 IT企画推進統括部 IT企画推進部 IT企画推進課 課長)に話を聞いた。

photo マイナビ 執行役員 デジタルテクノロジー戦略本部 本部長の坂本一弘氏(右)と、デジタルテクノロジー戦略本部 IT企画推進統括部 IT企画推進部 IT企画推進課 課長の石合美夕貴氏

IT/Webマーケのサイロ化を解消 新たなイノベーションの創出へ

 デジタルテクノロジー戦略本部は、テクノロジーとマーケティングを融合することでマイナビのサービスを利用するユーザーのCX(顧客体験)を向上させることを目標としている。そのために今取り組んでいるのが、これまで社内に散逸していたデータやシステム、人材などのアセットの最適化だ。

 マイナビは就職情報サービスからニュースサイトまで数多くの事業を手掛けており、各サービスで会員やユーザー、企業に関する膨大なデータや情報を有している。例えば就職情報サイト「マイナビ2024」には約82万人以上の学生が登録し、掲載社数は約2万8000社(23年3月時点)にのぼる。

 しかしこれまで、各事業のデータ管理やサービスの開発・運用は部門ごとに縦割りで展開しており、部門横断的に活用できるプラットフォームや仕組みが整っていなかった。さらにITやWebマーケティングの担当部署も事業部ごとに置いていたため、人材やコストの面でも多くの無駄が生じていた。

 「マイナビのサービスは50以上あり、運営する事業部は約30あります。そして、これまでは事業部ごとにヒト・モノ・カネが閉じた状態でした。例えば就職情報事業で持っているアセットを転職情報事業で活用できなかったり、転職情報事業で持つビジネスパーソンのデータを活用し、ニュースメディアで新たな仕掛けをしたりすることができませんでした。つまりイノベーションが生まれにくい環境になっていたのです。

 社会が目まぐるしく変化する昨今、お客さまのニーズは多様化、複雑化しています。マイナビとしても時代とお客さまの変化に合わせて、これまでにない新たなサービスや体験を提供していく必要があります。お客さまのインサイトを見抜き、新たなビジネスを迅速かつ柔軟に展開するためには、データ連携が最優先事項だと思いました。

 そこで各事業部に散逸していたIT/Webマーケティングのアセットと、人材のサイロ化を解消し、全社最適なシステムやデータ活用の仕組みを構築するため、デジタルテクノロジー戦略本部を設立しました」(坂本氏)

photo デジタルテクノロジー戦略本部の坂本一弘氏(執行役員 デジタルテクノロジー戦略本部 本部長)

全社データの統合を目指す AIサービスを社外向け施策にも活用

 発足から約1年たった今、デジタルテクノロジー戦略本部には社内システムを開発するエンジニアやB2Cサービスを開発するエンジニア、データサイエンティスト、Webディレクター、デザイナー、マーケターなど21職種・約500人が在籍。従来の案件を引き続き手掛けつつ、新たなプロジェクトを数多く推進している。

 「メイン業務はもともと所属していた事業部の案件ですが、それにプラスしてサイロ解消のためのプロジェクトを進めています。

 例えば事業部ごとに管理していたCDP(カスタマーデータプラットフォーム)を一つに統合したプラットフォームやBIツールの開発を進めています。マイナビ全社で持つデータをB2B、B2C問わずまとめていこうという大規模なプロジェクトです。それを支えるシステムについても、オンプレミスからクラウドに移行する作業が進行中です。

 何十もある事業部のデータなので膨大な量ですし、BIツールはマイナビの社員数千人が使うので高い品質が求められます。プロジェクトは途中ですが、大枠のグランドデザインや方向性を会社に理解してもらったうえで、こうした取り組みが着実に進んでいるのは大きな進歩ですね」(坂本氏)

 社内システムの内製開発チームは100人ほどいる。もともと社内システムは外注することが多かったというが、今はメンバーがアジャイル(機敏)に意見を言い合って開発を進めようとしている。事業部から来たオーダーをそのまま処理するのではなく、「もっとこうした方がよくなる」と自発的に提案できる社員の育成を図っていきたいと考えている。

 さらに同本部では、社内システムからAIを活用した社外向けサービス開発など約30案件が稼働しているという。

 「社外向けにもさまざまなサービスを開発しています。最近ではAIを活用した新サービスもリリースしました。

 例えば、転職希望者に向けて希望やスキルとマッチした求人を機械学習の技術を用い、いち早く届けることが出来るサービスです。従来のキャリアアドバイザーが行う転職サポートだけでなく、AIを用いることでより+αの情報提供が行え、適材適所の雇用を生み出せる可能性が広がります。

 こうした取り組みが社内外で知られ、デジタルテクノロジー戦略本部のプレゼンスが向上すれば今後新しい取り組みがさらに増えてくると思います。実際、すでに新しいリクエストを受けることが増えてきました」(坂本氏)

「オフィス移転」「高性能PCを惜しみなく提供」 メンバーへの手厚い支援

 デジタルテクノロジー戦略本部では多様な職種が部門を横断してコミュニケーションを取り、スピーディーにプロジェクトを進めていく。こうした仕事を、やりがいを持って快適に進めるために、柔軟な働き方や中長期的なキャリア形成を支援する制度を整備するなどメンバーへの支援は手厚い。

 「デジタルテクノロジーを活用するといっても、それを作るのは人です。メンバーが自分の仕事にプライドと前向きな展望を持って働けるように、人を大事にしています」と坂本氏は強調する。

 働く環境については、ハイブリッドワークを実施しており、オフィス環境にもこだわっている。広くて快適なオフィスには集中スペースとコラボレーションエリア、打ち合わせスペースなどを用意している。

photo コラボレーションや休憩に利用できるスペースの一角。他にも休憩用の個人席や、打ち合わせ用のモニターとコンセントを備えたテーブル席なども用意している。

 仕事内容に合わせて、働く場所を自由に選べるABW(Activity Based Working)を採用しているため、固定席は設けていない。メンバーはその日の業務に合わせて担当プロジェクトのメンバーの近くに座ったり、個室の集中スペースを活用したりしている。現在40%ほどがリモートワークをしているが、出社した方が集中できるというメンバーも増えており座席の多くが埋まる日もあるという。

photo 執務エリアの一部。右手窓側には、ベンチ席や集中しやすい個室ブースを備える

 社員からの要望にも可能な限り応えている。

「特に高性能なPCやキーボード、デュアルモニター、追加のメモリーカードなど、IT環境やツール類は惜しみなく提供しています。また、快適なオフィス環境で力を発揮していただくためにオフィスの移転や意見を取り入れながら増改築を行っています。エンジニア、マーケター、デザイナーなどの様々な職種が働きやすい環境を整えています」(石合氏)

 こうした社員が働きやすい環境を整えたことで、同本部の退職率は4%まで低下し、社員エンゲージメントのスコアも20ポイント以上上昇した。

社員教育に投資 自身の目標に合ったキャリア形成をサポート

 メンバーのキャリア形成やスキルアップに向けた制度も整備している。同本部では情報セキュリティスペシャリストやデータサイエンティスト、Webデザイナーなど21の職種を定義している。

 「もともと新卒の研修には半年かけるほど手厚くしています。今は中途採用や既存の社員向けのキャリアパスや育成プランを細かく整備しているところです。職能要件やそれぞれの職種で求められるスキルの定義はできているので、今後はそのスキルをレベルアップさせるために必要な行動や技術を明示していきます。組織や会社が求める人材をしっかり育て、それが自身の目標とも合致するような育成プランを立てていきたいですね」(石合氏)

photo 石合美夕貴氏(デジタルテクノロジー戦略本部 IT企画推進統括部 IT企画推進部 IT企画推進課 課長)

 現時点でもオンライン学習サービスを導入している他、希望に合わせて研修を受けられるような費用も確保している。

 「教育訓練、育成には数千万円単位で投資をしています。来期からはさらに細分化して職種ごとの研修プランを作ったり、教育制度を充実させたりしていきます」(石合氏)

 また、メンバーの希望があれば新しい挑戦ができる環境でもあるという。

 「戦略本部内で『このプロジェクトをやってみたい』とメンバーが自発的に手を挙げたり、SE職のメンバーから『開発にチャレンジしてみたい』という希望を聞いたりする機会も出てきました。さまざまなプロジェクトが進んでいるので、そうした希望も実現しやすい環境です」(石合氏)

デジタルと事業の“掛け算”で「競争優位を保つ」

 このようにデジタルテクノロジー戦略本部では、多様な職種がコラボレーションしながらマイナビの全社最適化を進めている。

photo

 「今後も、エンドユーザーや企業の顧客体験を向上させるというマイナビの目標は変わりません。そのためにデジタルとマーケティングをどれだけうまく掛け合わせられるのかが重要だと考えています。最近ではマーケティングもデジタル化や自動化が進み、ITに限りなく近い領域になっています。いかにITを活用して早く動けるかが競争優位性を保つカギになっているのです。顧客体験を向上させるために、デジタルテクノロジー戦略本部がこの両輪をうまく、スピード感を持ち前進させていきたいと考えています」(坂本氏)

 今後もデジタルテクノロジー戦略本部がマイナビの変革をけん引していくことだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:株式会社マイナビ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2023年10月24日