“オフィス回帰”がホントに正解? 「ハイブリッド会議」という新常態 公平に会話できる環境が企業を強くする

» 2023年12月07日 10時00分 公開
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 新型コロナウイルスの影響で、私たちの働き方は大きく変化した。柔軟な働き方に対応できるリモートワークのメリットを認識するとともに仲間の顔を見ながら働けるオフィスワークの重要性も再確認でき、両者の利点を生かしたハイブリッドワークを選ぶ企業も増えている。

 企業の中にはリモートワークを廃止する動きもみられるが、注意したいのは、いずれの働き方を選んだとしてもこれからの会議スタイルは会議室と遠方をオンラインでつなぐ「ハイブリッド会議」が中心になるという点だ。そして、ハイブリッド会議の品質がビジネスの成否や従業員の生産性や満足度に直結することを忘れてはならない。まともに会話できない環境はデメリットしかないためだ。経営者は、ハイブリッド会議に適したオフィスや会議室の在り方を考えなければならない。

 世界的な音響機器メーカーのShureと調査会社のIDCは、6カ国(米国、英国、フランス、ドイツ、中国、日本)を対象としたハイブリッドワークに関する調査レポートを公開している。日本企業がハイブリッドワークやハイブリッド会議をどのように捉えているのか、各国との違いをIDC Japanでアナリストを務める石田英次氏に聞いた。

(左から)シュア・ジャパン 下村光生氏(マーケット・デベロップメント マネージャー)、IDC Japan石田英次氏(プログラムディレクター Data&Analytics)

新常態の働き方、“ハイブリッド会議”は当たり前

 コロナ禍で、リモートワークを余儀なくされた読者も多いだろう。そのメリットもデメリットも正しく認識できたはずだ。コロナ禍が落ち着いた現在、オフィスワークとリモートワークを上手に使い分ける「ハイブリッドワーク」を選ぶ企業も増えている。

 いずれにしても、オンライン会議はなくならないようだ。チームの誰かが常にリモートワークをしている企業も多いだろう。完全なオフィス回帰を果たしても、顧客や取引先はオンライン会議を求めるかもしれない。つまり、ハイブリッド会議が私たちの新しいコミュニケーションの姿だろう。

 そこでポイントになるのが、ハイブリッド会議の品質だ。現在も、コロナ禍でしつらえた“その場しのぎ”の音声設備で会議をしている企業も多いはずだ。果たしてその設備は、会議室の発言が全てはっきり聞き取れるという当たり前の環境を提供しているだろうか。そしてこれが技術の限界だと、勝手に思い込んでいないだろうか。

 会話さえ困難な環境では、十分な議論も商談も行えない。会話、つまり「音」の問題がハイブリッド会議の課題そのものと言える。

 各国の経営者はこのような課題をどう捉え、対策しているのだろうか。ShureとIDCは6カ国の経営者を対象としたハイブリッドワークに関する調査を実施。2023年10月に「ハイブリッド会議テクノロジーの盲点」と題した調査結果を発表している。

 IDC Japanでアナリストを務める石田英次氏は、「コロナ禍が落ち着いてリモートワークの頻度も減少しているかもしれません。しかし、ハイブリッドワークが定着したという回答は99%に達し、回答者の98%がハイブリッド会議の重要性を認識しているという結果が得られました。もはやハイブリッド化したコミュニケーションは当たり前の存在なのです」と述べる。

多くの企業でハイブリッド会議が定着しつつある(出典:IDC InfoBrief

 しかし石田氏によれば、特に日本企業の経営層には「オンライン会議はコミュニケーション不足になるからリアルに戻したい」との声も多いと話す。ただし「リアルに戻すことが解決策にならないはずだ」と指摘する。

 「小さなお子さんや要介護者がいる家庭では、リモートワークが非常に役立ったと推測されます。そうした従業員を無視してリアルに戻すのは短絡的ではないでしょうか。企業の人材不足や生産性についての課題を鑑みれば、ハイブリッドワークがなくなることはないでしょう。重要なのは、オンラインであっても出勤者と同じような環境で会議に参加できること、ハイブリッド会議で誰でも公平にコミュニケーションできる環境をつくることです」(石田氏)

会議室オーディオへの投資が企業を強化する

 IDCの調査では、ハイブリッド会議の議論や会話に対する課題が浮き彫りになった。ハイブリッド会議では自然な議論の流れを把握するのが難しく(60%)、リモート参加者は注意が散漫になる/議論の輪から外れやすい(48%)。リモート参加者は、オフィスの参加者と同じように会話に参加し、対話をリードすることが難しい(60%)という意見も多かった。IDCの報告では、“低い音質”が直接あるいは間接的にハイブリッド会議の問題になっているとしている。

ハイブリッド会議の問題点には低い音質が関与している(出典:IDC InfoBrief

 こうした問題に対して、経営者はハイブリッド会議の音質を改善する投資をするのが普通だが、残念なことに日本企業ではその傾向が低い。調査対象の6カ国中、会議室のオーディオ品質を重要な要素と見なす回答者はわずか32%で最低(米国93%、英国84%)だったのだ。質の悪いオーディオ体験がフラストレーションにつながるという回答もわずか24%(米国66%、英国59%)、生産性の低下につながると答えた回答者も33%(米国69%、英国60%)に過ぎなかった。

 石田氏は日本企業の回答結果について、「音響に関する専門的な知識を持った担当者がいないという問題も、調査から明らかになっています。もちろん欧米企業も同様の課題を抱えていますが、日本企業は特に顕著です」と指摘する。「そのためハイブリッド会議の進行に支障があっても、“そんなものだ”“仕方がない”と諦めてしまうのでしょう。結果として、出社に戻したいという短絡的な考えになっていると想定されます」(石田氏)

 ハイブリッド会議はすでに当たり前の存在であり、その改善にしっかり取り組む企業も増えている。リモート参加者に会議室側の発言がしっかり届くことがビジネスの成果を左右するのであれば、会議室の音響設備に対して適切な投資をするのは必須だ。それを怠れば、競争力の低下につながる可能性も否めない。

公平なハイブリッド会議のための音響ソリューション

 では、ハイブリッド会議の品質を向上させるWeb会議用オーディオとはどのようなものだろうか。シュア・ジャパンの下村光生氏(マーケット・デベロップメント マネージャー)が、同社の会議室向けオーディオソリューション「Shure Microflex Ecosystem」についてデモンストレーションを交えて解説した。

 Microflex Ecosystemの中で特筆すべきは、天井に設置する「MXA920 シーリングアレイ・マイクロホン」だ。60センチ四方の薄い形状はグリッド天井パネルの標準規格に準じており、天井に埋め込むことで会議室のデザインとマッチする。

 「平たい形状でありながら筒状のショットガンマイクと同等の指向性を持っており、1台当たり最大8つの収音範囲を設定できます。また発言者の位置をリアルタイムに補足し、自動的に収音範囲を追尾させることも可能です。複数台を組み合わせれば収音の範囲と数を拡大できますし、高性能な内蔵オーディオプロセッサによって話者がどこに座っていてもクリアな声を相手に届けられるのです」(下村氏)

 Shureのマイクの収音性は極めて高く、MXA920は室内の小声さえ拾う。2部屋に分かれてMXA920の機能・性能を試したところ、筆者がふと漏らした感想が別室の相手に伝わっていたほどだ。マスク越しの声さえクリアに届いていた。

天井に設置する「MXA920 シーリングアレイ・マイクロホン」。埋め込むことで会議室のデザインとマッチする

 しかし、収音性が優れているということはキーボードの打鍵音や紙の資料をめくる音、空調の音も拾ってしまう。会議室から参加する場合はささいな音と感じるかもしれないが、イヤフォンやヘッドセットを通して音を聞くリモート参加者からすればとても気になるもの。リモートから満足に会議に参加できないという不公平が生まれる恐れもある。

 「Shureのオーディオプロセッサに搭載されたノイズリデューサー機能は非常に優秀で、エアコンやプロジェクターなどの環境音を極めて自然に排除します。また、オーディオプロセッシングソフトウェア『IntelliMix Room』に搭載のAIデノイザー機能を組み合わせることで、ランダムに発生する打鍵音や紙擦り音なども的確に排除します」(下村氏)

 下村氏のデモでは、PC操作や資料めくりに加えて、固いビニール袋をくしゃくしゃと丸める音も試されたが、こちら側にはまったく届かず声だけが伝わってきた。試しに2つの機能を切ると、そうした音に加えて「ゴゴゴゴゴ」といったエアコンの風の音もすさまじく、そのままでは会話しにくいという印象を受けた。

 MXA920で設定可能な最大8つの収音範囲は、カメラトラッキングとも相性が良い。画像認識技術をベースとしたカメラトラッキングシステムでは、カメラの撮影範囲に対象者が入っていなければ人を追うことができない。一方ShureのMXA920は、複数の収音範囲を発言者ごとに固定し、それぞれの範囲の収音状況をコマンドとして外部に出力できるため、外部のカメラコントロールシステムと連携させることで、そのコマンドをトリガーとしてあらかじめプリセットしたカメラの画角を呼び出せる。つまりレンズが違う場所を映していたとしても、誰かが話し始めると同時に話者にパン・チルト・ズームしてくれる。

 こうした天井マイクとカメラの連動は制御プログラムを組めば会議用カメラの機種を選ばず可能だが、AVer社製品のように、Shure製品と連携することでプログラミングを行うことなく簡単にセッティングできるカメラトラッキングソリューションも登場している。大勢いる会議室の中で発話者が明確になれば、より効果的なハイブリッド会議を実現できるだろう。

ビジネスリスクを減らすためにも会議環境の見直しを

 会議室の発言が聞き取れないことによるコミュニケーションのズレは、ビジネスリスクを増大させたり業務のコストを肥大化させたりする可能性が高い。一方で、リモートワーカーがオフィスワーカーと同じレベルで会議に参加できるという“公平”な環境は、「多様性が重視される社会において非常に重要である」と石田氏は結論付ける。

 「誰でも公平に会議に参加できることが、従業員満足度や業務生産性、そしてビジネスの質の向上につながることは、オーディオ技術に不慣れであっても容易に想像できます。ハイブリッドワークを継続することで多様な人材を確保できるという点を考えても、会議室へWeb会議用オーディオを導入することは経営者にとってメリットの大きな投資であるはずです。経営者は、自社に適した会議環境を改めて考えていただきたいと思います」(石田氏)

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2023年12月25日