社内に眠っていたデータを活用して業務の効率化につなげたり、新たなインサイトを発見したりする取り組みが多くの企業や組織で広がっている。そうしたデータ活用の必要性や有効性は、行政機関においても同様だ。
「各部署がバラバラに持っているデータを統合して活用できれば、業務の効率化やより高度な意思決定が可能になります。補助金の不正受給を防いだり、本来支援すべき人に支援が届いていない状況を解決できたりします」――こう話すのは、SAS Institute Japanの竹村尚大氏(シニア ビジネスデベロップメント スペシャリスト カスタマーアドバイザリー本部 公共ソリューショングループ)だ。
SASは世界134カ国、1600以上の行政機関にアナリティクスソリューションを提供している。竹村氏によれば、海外の行政機関でもデータ活用が進んでいるという。
「例えば年金なら年金の部署、生活保護なら生活保護の部署というように1つの部署に閉じるのではなく、部署間のデータを集約することで1人の市民を多面的に見られます。さらに、アナリティクスの活用により調査を効率化したり市民サービスを効果的に提供したりすることが可能です。人だけでなく、道路や橋などの管理や整備、渋滞の予測、公共交通機関の効率的な運行にもデータは活用できます」(竹村氏)
日本でもこうした取り組みが一部で進んでいるものの、データを活用できる余地はまだ大きい。具体的な活用イメージとして竹村氏は海外の事例を挙げる。
事例の一つが、米国のとある州の児童虐待防止プログラムだ。同州では児童虐待で保護監督下にあった家庭の児童が年間で50人以上死亡していた。こうした状況を引き起こした原因の一つがケースワーカーの負荷の大きさだった。
ケースワーカーは児童虐待リスクが高い家庭の現状や、子どもの強制的保護が必要かどうかなどを調査、判断する。当然、緊急性の高い家庭から優先的に対応する必要があるが、大量の案件を抱えていたり情報の集約が難しかったりするために優先順位付けが難しく、対応が遅れて死亡事故につながっていた。
「そこで社会福祉課や保健福祉省、公安省など複数の機関がバラバラに持っていた、児童福祉データベースや補助金の需給実績、事件や相談の記録、居住地や教育状況などのデータを集約・統合しました。予測モデルを使って虐待リスクを分析し、スコアの高い事案については優先的にサポートすることで、迅速で精度の高い対応が可能になりました」(竹村氏)
別の州の児童福祉局でも、データ活用によって業務効率化を実現した事例がある。その州では子どもや家庭に関する情報が、さまざまなファイルやシステムに散在していた。そのため調査の際に関連情報をひも付けるのが難しく、虐待の可能性がある子どもを親から保護すべきかどうかなどの判断に時間がかかっていた。
ここでも関係各所のデータを連携して活用することで必要な情報を一元化し、ケースワーカーや職員が情報収集にかける作業工数を短縮できた。さらに適切な案件管理によって虐待による子どもの死亡やけがの件数も削減できた他、ケースワーカーによる不要な家庭訪問の回数も減らせたという。
日本もデータ活用によってこうした事例のような効果が期待できると竹村氏は言う。
「海外と比較して日本の行政機関のサービスが後れを取っているとは思っていません。しかしデータの活用で現状の業務のやり方を少し変えることで、紹介した事例のような意思決定の効率化や高度化、作業工数の削減につながります」(竹村氏)
SASは、行政機関のさまざまなシステムに散らばっているデータを分析しやすい形に整備する部分から、分析結果をダッシュボードで閲覧できるようにするところまで、データ活用に関する一連のサイクルを一気通貫で提供する。
「行政機関においては、人材不足や予算削減などによりリソースが限られていることが課題のひとつと理解しています。データの有効活用により、従来は人手で対応していた情報の照合や計算などを効率化し、職員はデータに基づく判断に時間を使うことができます。
不要な業務負担を削減し、守るべき子どもを守ったり支援を受けるべき人に適切に届けたりといった業務により多くの時間をお使いいただけるよう、行政機関のお客様への支援を継続してまいります」と、同社の纐纈賢氏(営業統括本部 第二営業統括部 公共営業部 部長)は説明する。
データ活用によって業務効率化や高度化を図りたい行政機関は、SASに相談してみてはいかがだろうか。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2023年12月13日