せっかく契約した「Microsoft 365」 機能をフル活用できている? リコーと資生堂が明かす、現場DXへの活用アイデア

» 2023年12月18日 10時00分 公開
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 WordやExcel、Microsoft Teams、SharePointなど、いまやビジネスツールの代名詞になりつつある「Microsoft 365」。すでに導入済みの企業も多いだろう。読者の皆さんはどのように活用しているだろうか。

 売り上げを計算する、ワープロとして資料を作る、TeamsでWeb会議をするなどの使い方では、Microsoft 365のポテンシャルを半分も引き出せていない。ライセンス内で使える機能やサービスをフル活用すればDXにつなげられる。さらに生成AIを組み込んだサービス「Copilot」も登場し、ビジネス変革の期待が高まっている。

 特に、製造業や小売業など現場で働く非デスクワーカーの業務を一変させる可能性がある。Microsoft 365はビジネスをどのように変えるのか――その答えを提示するために日本マイクロソフトが開催したのが、「現場DX」「AI活用」をテーマにしたイベント「〜Microsoft 365&AI活用による現場従業員の活性化〜Microsoft 365ユーザー会」だ。イベントに登壇したリコーと資生堂の事例から、Microsoft 365の“賢い使い方”を見ていこう。

リコーの工場DX 「現場目線の改革」を進めた理由

 「いま皆さんがやっているさまざまなDXは、全部正解なんです。各社のどんな課題に対処しているかが違うだけです」――こう話を切り出したのは、リコーの中島崇氏だ。

photo リコーの中島崇氏(RGC 商品事業統括本部 技術開発センター DX推進グループ エキスパート) 

 「デジタルトランスフォーメーション」という言葉の起源をたどると、デジタル技術が浸透することで人々の生活があらゆる面で良くなる方向に変化することだとされている。DXは企業のビジネスにとっても重要な意味を持ち、いつしかデジタル技術を活用したビジネスプロセスの最適化や組織文化の変革などを含む言葉になった。

 リコーでは、企業の変革を支援できるデジタルサービスの提供や、自社内での抜本的な業務改革、現場の担当者が主体的にデジタル技術による改革を進める「市民開発」などに取り組んでいる。こうしたDXの本質を、中島氏は「デジタル技術を活用した変化の前に戻れない、想像できないような変化を与えること」だと解釈する。そうした変化を提供することで、利用者も提供者もどちらも「ワクワク」するのが肝心だと中島氏は語る。

工場の“ホウ・レン・ソウ”を電子化 3M(面倒・マンネリ・ミスできない)を解消へ

 リコーの取り組みの中でも、中島氏は現場目線のDXとして市民開発にフォーカスして講演した。

 「『面倒』『マンネリ』『ミスできない』という3つの頭文字を取って『3M』と呼べる仕事から、従業員を解放しなくてはいけません。そのとき、現場の困り事を一番よく分かっている現場が解決するのが一番です。誰かの仕事を楽にするという思いが形になれば、結果として生産性の向上につながっていきます」(中島氏)

 では、現場の課題はどこにあるのか。挙がったのが「工場内のコミュニケーション」だった。これまで、製品の出荷検査で問題が見つかると部材調達から製造ライン、技術部門に至る関連各所の担当者が電話やメールで連絡し合うアナログな“ホウ・レン・ソウ” (報連相)の体制だった。

photo 複雑なコミュニケーションの大部分が電話連絡という課題があった(中島氏の講演資料より)

 そこで「コミュニケーションの電子化」に全力を傾けた。メールの反応がない、電話リレーでは報告会議に間に合わないなどの課題を洗い出した上で、それらのホウ・レン・ソウをTeams上に集約。チャットや各種アプリを統合したコラボレーションプラットフォームであるTeamsを使うことで、検査員がチェックした異常をアプリに入力し、上長への連絡や調査員のアサイン、調査データの蓄積を1つのプラットフォーム上でスムーズに行えるようにした。

 Teamsに連携した業務アプリを作るにあたり、ローコード開発が可能なアプリ作成ツール「Microsoft Power Apps」を生かしてUI(ユーザーインタフェース)やBIツールを現場の人が作ることで使いやすさを追求した。紙をデータに変えるだけでなく、コミュニケーションというプロセスに潜むアナログ要素を電子化することで現場DXを実現したのだ。

 「TeamsをWeb会議やチャットに使っている企業は多いかもしれませんが、それだけで終わるツールではありません。業務アプリと連携して、Teamsを業務のフロントエンドにすることが業務改革の鍵です」(中島氏)

資生堂の店舗DX システム化によりITの力で事業を変革

 リコーの工場DXに続いて、資生堂の店舗DXの取り組みが紹介された。美容業界で国内トップクラスの売り上げを誇る同社を支えているのが、百貨店やドラッグストアで顧客に対応する美容部員「パーソナルビューティーパートナー」(PBP)だ。パーソナルカラー診断など肌の状態を見極めてケアを提案することで、顧客との信頼関係を構築してきた。

 PBPが業務で使うのがタブレット端末「ビューティー・タブレット」だ。肌診断から業務連絡まで全てを1台で行う。しかし、PBPと一般の従業員とでは使うツールが全く異なり、PBP同士でも役職によっては違うツールを使っていたためコミュニケーションの分断が課題だった。

 同社は課題の解決策としてMicrosoft 365の導入を決定。しかし、PBPにはITツールに苦手意識を持つメンバーが多数いたため抵抗も予想されたと、資生堂のDXを担う資生堂インタラクティブビューティーの高橋鉄平氏(高ははしごだか)は振り返る。

 「画期的なことはやっていませんが、それなりの規模なので泥臭く粘ってきました。化粧品のようなキレイなイメージとは違うかもしれません(笑)」

photo 資生堂インタラクティブビューティーの高橋鉄平氏(IT本部デジタルプラットフォーム部)。手に持っているのがビューティー・タブレットだ

1万人弱にMicrosoft Teams導入 円滑に進める工夫の数々

 最初に導入したのがMicrosoft TeamsとOutlookだ。これまでPBPは個別のメールアドレスを持っていなかった。約1万人弱に円滑に展開するために、まずはリーダー層に使ってもらって普及を目指した。その際に「3Sのスローガン」――「シンプル」「ショート」「ストレート」を掲げて指針にすることで、軸をぶれさせずにプロジェクト推進をできたと高橋氏は説明する。

 先行導入したリーダー層から使い勝手などのフィードバックをもらいつつ、横展開するときの味方にすることでMicrosoft 365の現場適用がスムーズに進んだ。ITリテラシーのレベルを問わずPBP全員が使えるように、1スライドを1アクションに絞った「考える必要のないマニュアル」を作って配る工夫が効果的だったと高橋氏は紹介した。

photo 資生堂が実施したコミュニケーション基盤の改革。業務利用するITツールをMicrosoft 365に統一した(高橋氏の講演資料より)

 さらに、PBPだけでなく事業部門それぞれが自分ごと化できるように進捗(しんちょく)状況を「ハッピーシナリオ」「ワーストシナリオ」として共有。スケジュールやコストなどについて、「計画通りにいけばこうなる」「最悪の場合はここに着地する」などと提示することで従業員自身の業務にどう影響するかを説明して理解を得ていった。

 Microsoft TeamsやOutlookの機能でカバーできないPBP用ツールは、アプリ構築を支援する「Microsoft Power Platform」で内製した。スローガンにのっとり、Microsoft製品で統一するなどシンプルな構成にこだわった。

 こうした現場DXを通して、店舗スタッフであるPBPの業務を効率化できた。PBPのほぼ全員が会場に集まっていた定期会議をWeb会議にシフトして移動時間や出張費を大幅に削減。店舗を抜ける時間を減らせた他、大規模な研修の開催も可能になった。

 Microsoft 365を使った業務改革によって、ITの力で事業構造を変えられると実感できたと高橋氏は笑顔を見せた。今後はMicrosoft Teamsのチャネルや投稿された情報の整流化に注力してDXを進めていくと結んだ。

AIで現場DXを加速 「Copilot for Microsoft 365」でできること

 リコーと資生堂は、Microsoft 365の機能をフル活用して現場DXを進めていた。リコーの中島氏がセッションの最後に「大変ワクワクする、DXを次のステージに引き上げるネタ」として挙げたのが生成AIだった。

 すでにMicrosoftは、生成AIを活用したアシスタント機能「Copilot」をMicrosoft 365に組み込んでいる。同社が提唱するCopilotは「副操縦士」を意味し、あくまでも主役はユーザー本人だという思想で提供している。日々の業務を忠実にサポートしてくれるのがCopilotというわけだ。

 生成AIサービスは有償無償を問わず世の中にあふれている。その中でも「Copilot for Microsoft 365」はWordやExcelなど日常的に使うツールと連携できる点が大きな強みだ。自然言語で指示した内容に沿ってWordで資料を作る、文書をPowerPointでスライド化する、Outlookの長文メールを要約する、過去のやりとりを踏まえてメールの下書きを作るなどの要望にも応えてくれる。

 「顧客向けの挨拶メールや資料、ビジネス文書を作成するとき、昔は『人に頼らずに自分でやれ』と言っていましたが、今はAIにまずやらせたり、アドバイスをもらう方が圧倒的に効率が良いと思います」と日本マイクロソフトの塚本浩徳氏は説明する。

 誰かに相談するにしても、Copilotに「このプロジェクトに詳しい人を教えて」、「顧客に製品のメリットと利用シーンを伝える資料を教えて」と聞けば、メールや予定表、チャット、個人ストレージ、共有ストレージ、社内ディレクトリ等を横ぐしに検索して、必要な情報を教えてくれる。

photo 日本マイクロソフトの塚本浩徳氏(クラウド & AI ソリューション事業本部 モダンワークビジネス本部 テクノロジースペシャリスト マネージャー)/Microsoftは本イベント終了後の2023年11月に、「Microsoft 365 Copilot」の正式名称をCopilot for Microsoft 365に変更した

 他にも、TeamsのCopilotを使って、出席できなかったWeb会議の内容をキャッチアップできる。議事録の作成や重要な会議内容の要約をCopilotに任せることで、浮いた時間を効率的に利用するなど、ちょっとした働き方改革ができる。会議内容を把握する際には、発表者別の発言量や、会議が円滑に進んだのか険悪な空気だったのかなど雰囲気まで確認可能だ。

 Copilot for Microsoft 365は企業向けに特化しているのもポイントだ。「Microsoft Entra ID」での認証によるセキュリティの確保、不適切な内容の生成物を回避するコンプライアンスへの配慮をはじめ、「責任あるAI」を掲げてユーザーのデータをAIモデルの学習に利用しないなどビジネス利用に適したサービスにしている。

 「生成AIを活用して生産性を上げていくなら、生成AIをフル活用できる人材や組織になることが重要です。生成AIに仕事を任せる働き方を組織全体で目指し、従業員一人一人が生成AIをCopilot(副操縦士)として活用できる組織ほど生産性の向上が自発的に進むでしょう。その土台を醸成する意味でも、全従業員が簡単にすぐ利用できるCopilot for Microsoft 365が適しています。業務一つ一つが生成AIで楽になっていく世界を実感していただけるはずです」(塚本氏)

photo Copilot for Microsoft 365を社内展開する際の進行イメージ(一部機能は旧名称/塚本氏の講演資料より)

Microsoft 365で進める業務改革 さあ、あなたの会社でも!

 イベントを振り返ると、Microsoft 365はビジネス利用にフォーカスしたツールだからこそ、現場の課題解決からDXまで幅広く役に立つのだとよく分かる。それはオフィスだけでなく、工場や店舗など非デスクワークも同様だ。そこにAIが加われば、高い次元で業務の効率化が期待できるだろう。

 今回のイベントは参加者を約70人に絞った小規模なものだったが、各セッションの質疑応答では活発に意見交換がなされるなど、ビジネスに課題を持つ企業がいかに多いかが伝わってきた。これを機に、Microsoft 365とCopilotのさらなる活用を検討してみてはいかがだろうか。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2023年12月24日