長らく続いたコロナ禍によって、多くの企業はリモートワークの制度を整備・浸透させてきた。働く場所を自由に選べることで、一部の業務ではこれまで以上に効率的に働けるようになった。一方で、いまだに解決しにくい問題もある。その一つがコミュニケーションだ。
これまでリモートワーク一辺倒だった企業も、出社頻度を増やすなどオフィスワークを復活させる動きも出てきた。そこで、オフィスにいる人と自宅などでリモートワークをする人との間でコミュニケーションのギャップが生じている。
ITmedia ビジネスオンライン編集部もハイブリッドワークを実施している組織の一つ。毎週の編集部会議もハイブリッドで実施している。確かに、リモートで参加すると会議室参加者の雰囲気についていけなかったり投影資料が見にくかったりと、ちょっとしたモヤモヤを感じていた。
こうした課題の解決の一助になるのが、キヤノンマーケティングジャパンのビデオ会議ソリューション「AMLOS(アムロス)」だ。キヤノンUSAが開発し、米国では2022年11月に発売されて多くの企業から好評を得ている。日本国内での販売に向けて、現在テストマーケティングを実施している。
本記事では、日々のハイブリッド会議に課題を感じている編集部員がキヤノンマーケティングジャパンを訪れ、実際に使用したレポートをお届けする。
キヤノンマーケティングジャパンで業務用映像機器などのマーケティングを担当する齋博史氏(カメラ統括本部 カメラマーケティング部)は、多くの企業で生じているコミュニケーションの課題について次のように話す。
「コロナ禍以降、出社が当たり前ではなくなり、Web会議の回数が増えています。最近では、オフィスから参加する人と自宅から参加する人が混在するハイブリッド会議も増えました。特にリモートで参加する人から『会議室の空気が伝わらず疎外感がある』といった声をよく聞きます」
Web会議よりも直接集まって議論する方が効果的なテーマもあるだろう。アイデア出しやブレーンストーミングはその最たる例だ。せっかく効率的な働き方としてリモートワークをしているのに、非効率な会議になってしまってはもったいない。
実際に齋氏も、同様の課題に悩まされていたという。
「マーケティング部の会議では、たくさんの資料を用意してアイデア出しをすることがあります。一堂に会していれば、今どの資料について話しているのか、どんなアイデアを思い描いているのかを簡単に伝えられます。
Web会議の場合は、資料の写真を撮って送信しなければリモート参加者に詳細まで伝えられません。会議の場で生まれている『生の情報』をリモート参加者に伝えることが難しく、会議の流れを止めて情報を共有しなければいけないことが課題でした」
このようなオフィス側とリモート側の情報格差を解消し、会議の場で生まれている生の情報をストレスなく参加者全員で共有して議論できるビデオ会議ソリューションがAMLOSだ。
AMLOSは、一言で表現すれば「1台のカメラ映像によってハイブリッド会議を一変させるツール」だ。AMLOSを使って会議を開催することで、会議室内のさまざまな情報をリモート参加者にも伝えられるようになる。 AMLOSの特徴について、齋氏は3つのキーワードで紹介してくれた。
1つ目のキーワードは「シングル」だ。AMLOSを使うために準備が必要なのはカメラ1台だけ。このカメラで撮影された4K映像から複数のフルHD映像を生成する。
2つ目は「シンプル」。さまざまな機能がありながら、複雑な操作は必要ない点だ。齋氏も「操作が難しくて豊富な機能を生かしにくい業務用のカメラソリューションも少なくありません。その点、AMLOSは操作がシンプルです」と胸を張る。
最後のキーワードが「シームレス」だ。AMLOSはMicrosoft TeamsおよびMicrosoft Azureと連携しており、TeamsユーザーであればTeams会議内でAMLOSのシェアができる。音声のみをZoomなどの他ツールで聞き、映像はWebブラウザでAMLOSを開いて見る――といった方法も可能だ。今後はその他のビデオ会議ツールとの連携も進めるという。
「百聞は一見に如かず」だ。齋氏のレクチャーを受けながら、まずはリモート参加者としてAMLOSを経由した会議に参加してみよう。
会議への入室は、通常のWeb会議と大きな違いはない。特別なアプリのインストールは必要なく、会議主催者から送られてくるURLをクリックするだけだ。入室後、リモート参加者は「ミーティングルーム」「ホワイトボード」「プレゼンター」「スポットライト」「画像」などから最大3つ同時に自身の画面に投影できる。
従来のWeb会議は、会議室側が「見せたい」映像しか投影できなかった。AMLOSを使えば、1台のカメラを設置するだけでリモート参加者が見たい画面を選べる。斬新なWeb会議体験になりそうだ。
それぞれの画面を詳しく見ていこう。ミーティングルームは会議室全体の映像だ。主催者側が、会議室内にあるホワイトボードを事前に「ホワイトボード」として設定しておけば、カメラから見て斜めの位置にあっても独自の技術で補正をかけ、正面から見ているかのように投影可能だ。
ホワイトボードの画像には透過処理が施されるため、ボードの前に人が立って議事録やメモを記入していても、書かれている内容を確認できる。ホワイトボードの画像はリモート参加者側で拡大や縮小、保存も可能だ。
プレゼンターとは、あらかじめオフィス側で設定した人物にクローズアップして投影できる機能だ。対象の人物が会議室内で動くとカメラが自動で追跡するため、その人がどんな表情で話をしたり聞いたりしているかを見られる。
プレゼンター画面を投影すると、設定された人物の動きをカメラが追尾する。まるで自分が会議室にいるかのように視点をストレスなく移動できる。
AMLOSの利点は、リモート参加者だけのものではない。ホスト側である会議室からの参加者にも便利な機能を搭載している。ここからは会議室側の参加者としてAMLOSを体験してみた。
会議のセットアップに必要なのは、キヤノン製リモートカメラCR-N500、CR-N300、CR-N100のいずれかとAMLOSのホストPCだけ。後は、設定画面でホワイトボードの位置の指定などを済ませれば大まかな設定は完了だ。
会議室からハイブリッド会議に参加する場合、「この文字見えますか?」とホワイトボードを指さしたり、資料をカメラの近くに持っていたりすることがある。AMLOSならばそのような作業をしなくて済む。会議室側では「ハンドジェスチャー」を使ったカメラ操作が可能なのだ。
リモート参加者に注目してほしいエリアを投影する「スポットライト」機能は、ハンドジェスチャーで設定できる。注目してもらいたいものの前に立ち、ハンドジェスチャーをカメラに向けて行うことで、その場所をカメラがズーム撮影する。
スポットライトで撮影したキャプチャー画像は4K画質なので、画像を拡大しても細かい文字までしっかり読める。画像が斜めになっていても、リモート参加者側で自由に補正をかけられる。もちろんローカルに保存も可能だ。ホワイトボード以外の資料などにスポットライトを設定するとよいだろう。リモート参加者側は、会議室全体の画面と一緒に映るようにしておけば、プレゼンターが今どの部分を指しながら話しているかが分かりやすい。
ホワイトボードを簡単にキャプチャーできるハンドジェスチャーもある。画像はクラウド上に保存され、簡単にダウンロードできる。これまでは、ホワイトボードの内容を消すたびに会議室側の人がスマホなどで撮影して参加者に送信――という作業が必要だったが、大幅に簡略化できる。
このように、多機能ながらシンプルな操作性で多くの企業の課題を解消できるAMLOS。ハイテク見本市「CES 2023」で最優秀賞に該当する「ベスト・オブ・イノベーション賞」を受賞するなど、先行発売した米国での評価も高い。
米国では既に日系大手や製薬系企業、医療機器系企業などさまざまな領域で導入が進んでいる。齋氏によると、米国にはクリエイティブなテーマを扱う会議の場合、全員がオフィスで参加することを重視する傾向があるという。そのため多くの企業がリモートワークを導入しているが会議だけは出社するというケースも散見された。AMLOSの活用によって、そうしたリモートワークならではの難点が解決しつつあるという。
国内では、23年11月に通信・放送関連の国際展示会「Inter BEE」にAMLOSを初出展。これまでキヤノンマーケティングジャパンが得意だった映像系の企業だけでなく、多拠点を有する幅広い業種から引き合いがあるという。
齋氏は今後について「映像系以外の一般企業における会議でもご活用いただきたく、幅広い展示会に出展予定です」と話す。その他、教育業界での導入にも期待を見せる。従来のビデオ会議ソリューションでは1つのものしか投影できなかったが、AMLOSは最大3つの画面を投影できるため、さまざまな業種で導入が進みそうだ。
国内ではまだテストマーケティング段階という位置付けだが、これから日本でどう広がっていくのか楽しみだ。「会議のために出社しなければいけない」「ハイブリッド会議だとなかなか議論が活発化しない」――こうした課題に多くの企業が悩んでいるはず。AMLOSは今回紹介できなかった機能も数多く搭載している。ハイブリッド会議に課題を感じているビジネスパーソンの一助になるはずだ。
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提供:キヤノンマーケティングジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2023年12月28日