20年前に流行した「オールインワンERP」に再び脚光 令和になぜ? 「mitoco ERP」で考える“全体最適化”のインパクト

» 2024年01月19日 10時00分 公開
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 ビジネス環境が目まぐるしく変化するなか、企業にはデジタルを活用した業務効率化や新規ビジネスの創出、リソースの最適化など、スピード感を持った変革が求められている。そこで今改めて注目を集めているのがERPだ。

 「経営資源の管理はERPが有効」といわれて久しく、“あって当たり前”の一般的なITシステムと思われがちだ。しかし、事業の根幹を支えるERPのトレンドの移り変わりは意外にも激しい。ERPの開発に25年以上携わってきたテラスカイの山田誠氏(取締役 専務執行役員 製品事業ユニット長)はその歴史をこう振り返る。

 「2000年代初期には、大規模なオールインワン型のERPをオンプレミスに導入するのが流行しました。その後、Web版やクライアント/サーバ型などの流行を経て、10年代からはさまざまなSaaSが台頭しました。勤怠システムやタレントマネジメントといった人事系、給与や会計系など、細かくエッジの効いた細分化されたソリューションがたくさん生まれています」(山田氏)

ALT テラスカイの山田誠氏(取締役 専務執行役員 製品事業ユニット長)

 個別業務に特化したSaaSは、企業規模を問わず部分的に導入できるという柔軟性やコストメリットがある。しかし、各部門の担当者が自分たちにとって使いやすいツールを思い思いに導入した結果、社内にさまざまなツールが乱立してシステムとしての全体最適化を阻んでいる危険性があると山田氏は指摘する。

ALT ERPの変遷

 「社内に複数のSaaSを導入したことで、多くの企業がマスターもデータもオペレーションもバラバラになっています。その結果、経営の三大資源であるヒト・モノ・カネの情報が分断され、本来の目的であった情報の集約やスピーディーな意思決定がしにくくなりました。各現場の使い勝手は良くても、企業全体のデータを統合して戦略立案や経営判断の材料にするなど、当初やりたかったことが全くできていない状況にあります」(山田氏)

 そんな今こそ、社内に散らばった情報を「統合」するERPが必要だと山田氏は述べる。そう、約20年前に流行ったオールインワン型のERPが再び脚光を浴びるというわけだ。

 そこでテラスカイが2023年9月に提供を開始したのが、オールインワン型のクラウドERP「mitoco ERP」だ。Salesforceのプラットフォーム上で運用するERPで、Salesforceの商談管理やマーケティングなど営業支援機能を軸に、勤怠管理や経費精算、カレンダーといった全社共通の機能から販売管理や在庫管理、会計までまさに“全部入り”で提供する。

ALT mitoco ERPの全体像

 しかし、オールインワン型のERPを提供する企業は他にもある。なぜこのタイミングで新たなERPをリリースしたのか。

 「全社共通の機能や経理・人事領域ぐらいまでカバーしているERPはありますが、実は商談管理などの営業支援機能まで搭載しているものはほぼありません。しかし営業はどの会社にもあります。そこで柔軟性に長けたSalesforceを軸にしたオールインワンのソリューションとしてmitoco ERPをリリースしました。営業支援ツール『Sales Cloud』で商談管理をしながら、同じプラットフォームでシームレスに、スケジュールを共有するためのカレンダー、勤怠管理、経費精算、電子契約書の発行、販売管理および在庫管理などの機能が使えます」(山田氏)

 mitoco ERPを開発したのは、Salesforceを導入したものの、活用しきれていない企業の「もっと使い倒したい」という声に応えた結果なのだという。

 「中堅・中小企業の場合、リソースを考えるとERPとSalesforceの両方を入れることは困難です。そのため、業務と情報をSalesforceに集約して業務効率化や迅速な経営判断の材料にしていきたいというニーズがあります。そうしたお客さまのために、パッケージ化されたオールインワンのERPを提供すべきだろうと考えました」(山田氏)

 mitoco ERPが活躍するのは中堅・中小企業にとどまらない。大手企業の拠点や部門単位でもフィットするとテラスカイの足立直人氏(執行役員 クラウドインテグレーション営業本部 副本部長)は説明する。

 「もちろん大手企業にもご利用いただけます。例えば外国の本社やグローバル拠点に他社製ERPがすでに入っている場合、そこに日本固有の機能を組み込んでもらうのはものすごくハードルが高いものです。しかしSalesforceと連携しているサービスは多いので、日本拠点にmitoco ERPを導入していただければ日本固有の業務をここで処理して、必要な情報だけグローバルの他社ERPに連携することもできます。そのため、日本拠点だけあるいは一事業部門だけ使う、という場面では大手企業との相性も非常に良好です」

ALT 足立直人氏(執行役員 クラウドインテグレーション営業本部 副本部長)

商談管理から購買・在庫管理の連携をシームレスに

 では、mitoco ERPで具体的にどのような業務と情報の統合が実現するのか。

 mitoco ERPを構成するユニークなシステムの一つが、Salesforce上で販売、購買、在庫管理ができる「GLOVIA OM」だ。08年から富士通が提供しているソリューションで、テラスカイは11年から導入開発や支援事業を手掛けてきた。22年には国内独占販売に向けた基本方針を両社で合意し、新たな販売契約を締結した。

 「最大の特徴は、Salesforceネイティブだということです。GLOVIA OMによって販売、在庫、購買、生産などの基幹業務と、Salesforceが持つ顧客情報がシームレスに連携可能になります」(足立氏)

 GLOVIA OMを使うことで、 Sales Cloudで管理している顧客の商談から見積もりの作成、受注情報の入力、契約管理などがスムーズにできる。ポータル機能から代理店やパートナー企業への見積もりの送付や注文受け付け、管理、仕入れ先やメーカーへの手配、納期の連絡も可能だ。

 「部門ごとに違う販売管理システムやマスターがあり、全てを二重入力しているという企業は多いのです。mitoco ERPでは、それらをSalesforceプラットフォームの1つのデータベースで管理するので、ボタン1つで全ての情報が連携されます。不整合も二重入力もありません」(足立氏)

 Salesforceに集約された契約情報は、問い合わせ管理ツールの「Service Cloud」とも連携できる。顧客から契約に関する問い合わせなどがあった際に、担当者は該当部署に確認する必要がなく、ボタン1つで状況や更新情報の確認ができる。

 「つまりSalesforceの商談管理機能を軸に、取引先から契約内容、入出金情報まで一元管理が可能になるということです。日本のお客さまの業務プロセスからするとある意味分断されていたSalesforceの各機能が、GLOVIA OMによって一気通貫でつながるようになりました」(足立氏)

会計業務まで一気通貫 知りたい情報を迅速に把握

 さらに契約管理や支払請求書の発行、入金管理などのフェーズに進むと、会計システムである「mitoco 会計」が連動する。

 mitoco会計は財務・管理会計機能を提供しており、伝票管理や仕訳入力、総勘定元帳、予算管理、配賦処理、残高照会、外貨換算などができる。今後、債務管理や債権管理、固定資産・リース資産管理などを順次リリースする予定だ。

 これを使えば会計とSalesforceの情報を統合したレポートを簡単に作成でき、経営層が必要な情報を迅速に確認できる。もちろんインボイス制度や改正電子帳簿保存法にも対応している。

 AIチャットbotの「mitocoアシスタント」を使えば、会計レポートやSalesforceのレポートを自動で出力する。デジタルアダプションツールも搭載しているので、画面上に操作方法を表示したり画面にカーソルを重ねると簡単な説明文を表示したりしてくれる。これにより操作時間の短縮や入力ミスの削減が実現する。

“統合”の先に待っている、ERPのさらなる進化

 これらの機能をmitoco ERPとして提供し、Salesforce上に全ての情報を統合することで、各部門は連携しやすくなり、経営層は全体を俯瞰(ふかん)した情報を迅速に把握できる。

 山田氏はmitoco ERPが目指す未来として、統合の先に人の操作を必要としないシステムやAIとの共存を考えていると話す。

 「これまでの20年は、人間が道具で作業を効率化するコンピュータ時代でした。正確で迅速な計算処理ができるようになり、社員が1人1台スマホやPCを持つようになり、システムがクラウド化するなどテクノロジーは大きく進化しました。

 しかしプログラミング言語や仕組みが変わっても業務の本質は変わっておらず、5人いた経理の人の働き方が変わったかというとそうではありません。そこでERPの次の20年はAIとの共存になると思います。これまでは人間が扱うことが前提だったERPがAIと共存する時代になり、大きな産業革命が起こるのは間違いありません」(山田氏)

 現時点では、ERPにデータを統合したところまではいいものの、財務データの画面から売掛金が長期間滞留している顧客を抽出したり、今月の予算と実績を比較したりする場合は、いくつかの機能を使いこなして人力でレポートやダッシュボードを作成する必要がある。もちろん洗練された機能やUI(ユーザーインタフェース)が提供されていればそこまで難しい操作ではないが、ある程度の作業時間はかかってしまう。

 「そうした人間がやりたい操作について、一回一回面倒な操作をすることなく、AIが瞬時に応えてくれる機能を構想しています。これこそが、さらなるスピーディーな経営判断が求められる時代に不可欠な、新時代のERPの形だと考えています」(山田氏)

ALT

 労働人口の減少や先行きの見えないVUCAなど、経営者を悩ませるキーワードがちらつく時代に生き残るためには、これまで以上に、スピーディーかつ正確な経営判断が求められる。情報把握と業務効率化の両方の視点で有効な新時代のERPを使いこなすには、まずはそのベースをつくる必要がある。すなわち、情報を統合しない限り前には進めない。まずはmitoco ERPの導入から始めるべきではないだろうか。

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提供:株式会社テラスカイ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2024年1月25日

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