会津若松にアクセンチュアのイノベーション創出拠点、なぜ? 現地で見えた「東京じゃ経験できない」地方ビジネスの“今”

» 2024年02月01日 10時00分 公開
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 IT企業やデジタル人材が「都心だけに集まる」――そんな常識が変わろうとしている。この数年で、ICTの活用がビジネスに根付いた。それによって全国どこにいても先進的なビジネスに関われるようになり、地方に拠点を構える企業も増えてきた。総合コンサルティングファームのアクセンチュアもその1つだ。

 アクセンチュアは北海道から熊本まで、全国に地域拠点を構えている。その中で地域貢献型ビジネスを構築しているのが、福島県会津若松市のアクセンチュア・イノベーションセンター福島(以下、AIF)だ。先進デジタル技術によって地域のスマートシティー化を担うとともに、中小製造業の生産性向上を目指すプロジェクトおよびプラットフォーム「Connected Manufacturing Enterprises」(以下、CMEs:シーエムイーズ)を開発している。

photo AIFの様子

 AIFでは地方だからこそ実現可能なビジネスに取り組めることに加えて、勤務するメンバーは自然豊かな環境の下でワークとライフの調和が取れた生活を送っているという。会津若松市への移住を希望し、2022年4月からCMEsプロジェクトのシニア・マネジャーを務める矢野日高さんに、アクセンチュアの地域貢献型ビジネスの詳細とAIFで働く魅力を聞いた。

AIFが進めるスマートシティーと中小製造業の生産性向上

 会津若松市の中心部に拠点を構えるAIF。東日本大震災の発生から5カ月後の2011年8月に、震災復興と全国の地方創生を支援する拠点として開設された。現在多くのエンジニアが所属している。

 ビジネスの柱は主に2つ。1つは行政のスマートシティー化だ。産官学民連携を通じて、会津若松市の行政や市民サービスのデジタル化を進めるとともに、そのノウハウを全国の自治体に展開している。

 そしてもう1つは、地元の中小製造業の生産性向上を実現する共通業務システムプラットフォームCMEsの提供。主に大企業が導入している会計や人事、生産、物流、販売などの業務を管理するERP(統合基幹業務システム)を、中小企業でも利用できるようにする取り組みだ。グローバルで多くの企業に導入されているSAP社のS/4HANAをベースとし、SAPジャパンと会津大学、地元企業などで構成する会津産業ネットワークフォーラムと共同で開発・運用している。

 CMEsは2021年から提供を開始している。プロジェクトを先導する矢野さんは、CMEsが始動した背景として中小企業が抱える課題を説く。

photo お話を聞いた矢野日高さん

 「大企業がERPを導入して業務の最適化を図っているのに対し、中小企業はIT投資がままならず、ここ30年でほとんどのプロセスが改善されていません。しかも日本では大企業の割合はわずか0.3%で、99.7%を中小企業が占めています。

 この状況を社会的な問題と捉えて、大企業と同等のシステムを中小企業でも低コストで導入し、使い続けられる環境を作る――これこそがCMEs推進の目的です。CMEsはアクセンチュアが大企業を顧客とする中で培った手法やノウハウを基に開発して導入支援を行っており、中小企業向けにサブスクリプションのクラウドサービスとして提供しています」(矢野さん)

 行政のスマートシティー化を進めても、産業が活性化しなければ「地域は衰退する」と矢野さん。CMEsによって中小企業の利益率を上げて、働く人の給与を向上するモデルを会津若松市で確立し、最終的には「全国に展開していきたい」(矢野さん)と力強く話す。

photo AIFの主な取り組み(同社提供資料より、以下同)

第1子誕生をきっかけに移住(異動)を決意

 矢野さんがAIFに赴任したのは2022年4月。それまではアクセンチュアの東京オフィスを拠点とし、大手メーカー企業を対象に15年にわたってERPの保守や運用、海外展開に従事してきた。

 「エンジニアとしてキャリアをスタートしました。徐々に担当業務が広がってジョブマネジャーまで担うようになり、運用や保守からファイナンスや契約まで一通り経験しています。企業が海外展開する拠点にSAPのERPシステムを導入する機会も多く、東南アジアへは頻繁に足を運びました。担当する企業やその産業の変遷を見ることができたのは、非常に勉強になりましたね」(矢野さん)

 東京に住んで国内外への出張を繰り返す生活をしていた矢野さんは、自らの希望でAIFに異動した。大きな理由は子育てだ。

 「2020年3月に第1子が誕生したことで、育児を最優先したいと考えるようになったのが大きな動機です。当時は都内に夫婦共働きで暮らしていて、子どもを保育園に預けながら時短勤務で育児と生活のバランスを取るつもりでした。ところが待機児童問題に直面してしまい、保育園がなかなか見つからない日々が続きました。2年間の育休期間が終わるタイミングになっても、状況は変わりそうにないなと感じたんです。

 そのときに思い付いたのが地方への移住です。きっかけは、妻が新潟県で里帰り出産をしたことでした。私も同行して一緒にリモートワークをしていたのですが、仕事の合間に豊かな自然や美しい夕焼けを目にしながら『こういう環境で育児をしたい』と思いました」(矢野さん)

 矢野さんは、アクセンチュアの地方拠点を探し始める。ERPに関する経験を生かすことができて、自然が豊かで充実した子育てができそうな場所を複合的に考えた結果、条件にぴったりとはまったのが会津若松市のAIFだった。

15年の経験を生かせた「CMEsアカデミア」の開発

 矢野さんは異動後すぐに、CMEsの運営や導入チームの育成などを全般的に見るマネジャーの立場になった。ただ、このときCMEsは課題を抱えていた。当時、地元の製造業2社がすでにCMEsを利用していたものの、導入・定着化までには多くの期間がかかっていた。矢野さんは「展開のスピードを上げることが急務でした」と振り返る。

 「CMEsは地元の中小企業のためのプロジェクトとして始めた一方で、将来的には日本全体の中小企業の生産性向上を目的にしています。しかし、1年で数社しか導入できないのでは、10年かけても数十社程度にしか広がりません。この課題を解決するために開発したのが『CMEsアカデミア』です」(矢野さん)

 CMEsアカデミアは、テキストと動画コンテンツによってCMEsによる業務や実機の操作が学べるほか、導入までの準備をシミュレーションできる自学自習プログラムだ。架空の中小企業に体験入社して全ての機能を経験する「基礎理解編」と、自社での導入を想定した業務方針の検討とデータ整備を行う「適用編」で構成されている。

 企業はCMEsアカデミアを事前に受講することで、CMEsを短期で導入できるようになる。また、従来のERPの導入では準備段階から業務の分野ごとにコンサルタントが伴走するが、受講によって伴走期間や人数を縮小できる。そのため、低コストでの導入も実現するという。

photo CMEs導入前後のイメージ図

 CMEsアカデミアの構築には、矢野さんの知見が十分に生かされた。

 「自学自習をするときに内容がつまらないと、誰も取り組みたくないし知識やスキルが身に付かないですよね。CMEsアカデミアは無味乾燥な説明にならないように構成するとともに、私自身が見聞きしてきた『ERPを導入した企業に実際に起きたエピソード』などを盛り込み“自分ごと化”して取り組みやすいよう設計しました」(矢野さん)

 在庫管理一つをとっても、例えば大雨で浸水被害が発生したときのCMEs導入企業の実話を題材にしている等、生きた素材を使い物語性を持たせた説明を意識している。矢野さんは「受講企業からは『楽しい』と好評です」と笑顔を見せる。

 「CMEsアカデミアは、CMEsを担当するメンバーへの社内教育としても活用しています。AIFメンバーはもちろん、他の地方拠点からCMEsを学びに来ているメンバーや協力会社など、SAPの知見がないメンバーのリスキルにも役立っています」(矢野さん)

 このような形でCMEsアカデミアを構築できたのは「15年間、ERPの導入や運用のあらゆるシチュエーションを経験してきたからだ」と矢野さんは考えている。

 「海外出張も含めて、東京オフィスでの仕事は私にとって刺激的でした。AIFへの異動は育児がきっかけだったので、ライフの充実とワークの刺激、ある程度のトレードオフは見込んでいました。しかし、実際にAIFで働いてみると過去の経験を生かせる新しい刺激が待っていました。子育てに集中できるだけではなく、仕事でも今までとは違った充実感を得られる――このことはうれしい誤算でしたし、AIFだから得られた環境だと思っています」(矢野さん)

会津若松市から全国に大きなインパクトを

 矢野さんは移住によって思い描いた通りの生活を送っている。住居と職場、それに子どもの保育園は全て徒歩圏内。大きな病院も複数あるなどコンパクトにまとまっている会津若松市での暮らしが気に入っていると笑顔で話す。

 「東京で働いているときはワークとライフが分断されて、そのゆがみとしてライフ側に影響が出ることもありました。今はワークとライフが物理的にもつながって、バランスよく調和しています」(矢野さん)

 また、異動してから気付いたのは、AIFのメンバー同士の人間関係の濃さだ。拠点での懇親会では同僚の家族が集まって、みんなで料理や食事を楽しむ。各家庭の子どもたちは、「次はいつ会社に行けるの?」と楽しみにしているという。オフィスで家族ぐるみの付き合いをするのは、東京ではなかった経験だ。AIFで「仕事と家庭の両立」におけるロールモデルを見て学ぶ、若手の単身者も多い。

 他にも毎年9月に開催される会津まつりでは、武者姿で市内を練り歩く会津藩公行列にAIFとして参加する。社内には多数の部活動もあり、矢野さんは農業部に入って野菜作りを楽しんでいる。そういった社内活動を通して「将来はAIFが持つノウハウと技術で農業分野に革命を起こしたい」と考えるメンバーもいるというから、モチベーション高くさまざまな分野で地域貢献、地方創生を検討する人材が多く在籍していることが伝わる。

ALTALT 左:会津まつりの様子。向かって左端が矢野さん/右:農業部などの社内活動も活発

 「CMEsはコストや利益を考える意味で経営にもつながるので、AIFで新しいことにチャレンジするためにもまずCMEsを学んでみると視野が広がるのではないかと思いますね。

 もともとAIFは行政のスマートシティー化とCMEsに加えて、第3の柱を作ることも常に模索しており、活気に満ちています。地方で充実した生活を送りながら地域貢献型ビジネスに取り組みたい人にとって、AIFは最高のフィールドではないでしょうか」(矢野さん)

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提供:アクセンチュア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2024年2月7日

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