業務負担が軽減されるはずが、かえって“煩雑”に? 帳票の電子化が注目される今こそ考えたい、請求書業務のデジタル活用紙が残る過渡期

» 2024年02月28日 10時00分 公開
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 インボイス制度や改正電子帳簿保存法(改正電帳法)への対応により請求書業務が大きく変化し、経理部門の業務負担が増加している。2024年も引き続き、法制度を基点とした「帳票の電子化」は経理部門の大きな課題になりそうだ。

 帳票の電子化によって印刷や保管にかかるコストを削減できる他、人的ミスやトラブルの防止が期待できる。その一方、ウイングアーク1stの福田陽平氏(BD事業戦略部 invoiceAgent戦略営業G)は、「電子化の普及により、各企業において新たな課題が生まれている」と話す。新たな課題が「業務の煩雑化と負荷の拡大を生み出している」というのだ。

 本記事では、福田氏が登壇したITmedia ビジネスオンライン、ITmedia NEWS主催のオンラインイベント「デジタル戦略EXPO」(24年1月30日〜2月25日)のセッション「帳票電子化から始めるDX――紙が残る過渡期〜Peppol対応」から、帳票の電子化の広がりによって生まれた課題とその解決策を紹介する。

各部門の個別最適で電子化ツールが散在

ウイングアーク1st 福田陽平氏(BD事業戦略部 invoiceAgent戦略営業G)。IT・OA機器業界で営業業務に従事し、前職ではベストセールス賞を受賞。ウイングアーク1stに入社後、クラウド製品のダイレクトセールスを経験。現職ではあらゆる文書を電子化・流通・管理するinvoiceAgentの営業企画および直需営業を担当する。

 新たな課題として福田氏は「電子化ツールの散在」を挙げる。経理担当者の多くは、生産性の向上や内部統制の強化を目的に1つのツールで管理したいと考えるはず。しかし、各事業部門が個別にシステムを導入したり、受領や配信においては取引先に指定ツールの使用を求められたりした結果、要件に応じて異なる電子化ツールを使わざるを得ないという課題に直面している。

 ウイングアーク1stが23年に実施した調査でも、その傾向が大きく表れている。

 同社が、売り上げ100億円以上の企業に所属する請求書関連の担当者531人に、企業間取引の電子化に関する調査を実施したところ、社外取引で複数サービスを使用していると答えた人は68.5%で、22年の調査と比べて18.9ポイント増加している。このうち55.5%(前年比22.0ポイント増)が「電子帳票の保管・管理と受け取りは異なるツールを利用している」と回答した。

 その結果、90.8%が効率の低下を実感し、76.6%が情報漏えいリスクの高まりに懸念を抱く結果となった。

保管や管理と受け取りのツール使い分けで、9割以上が効率の低下、7割以上が情報漏えいリスクの高まりを実感している

 今後もDX推進に向けて多くの企業が多様なツールを導入すると推測できるが、福田氏は「個別最適で電子化ツールを導入したことで、かえって業務の煩雑化と負荷の拡大を生み出している」と指摘する。その上で「業務プロセスや部門ごとにデジタル化を進めるのではなく、全体最適の視点でデジタル化を進めることが必要です」と話す。

バックオフィスの業務を軽減するには

 電子化ツールの散在を解消する手段の一つとして福田氏が紹介するのが、「Peppol(ペポル)」だ。Peppolとは、電子文書をネットワークでやりとりするための国際的な規格で、欧州を中心に世界30カ国以上で利用が進んでいる。日本でもインボイス制度の導入と並行して整備されてきた。

 Peppolに対応することで商習慣がどう変わるのか。福田氏は「2つの標準化を実現する」と説明する。

 1つがデータの標準化だ。紙やPDFなどでやりとりされている現在の請求書からデータを取得するには、受け取り側が目検で転記したりコストをかけてOCR処理やBPOサービスに外注したりする必要がある。既にEDI(電子データ交換)を利用している場合は構造化されたデータを取得できるが、あくまで特定の業界間で使われるデータ項目であるため標準化されているとまでは言えないのが現状だ。

 「Peppolでは、全ての取引先が適格請求書の要件に基づいた日本独自規格の『JP PINT』に沿った形でやりとりします。そのため、受領後の煩雑なチェック作業を大幅に軽減できます」

 2つ目に挙げるのはネットワークの標準化だ。取引先ごとに異なるサービス間でも相互にやりとりが可能なため、帳票の電子化に伴って発生していたツールの散在を解決する手段として期待されている。

Peppolを活用することでデータ、ネットワークの標準化を実現する

 一方で福田氏は、Peppolの導入には「一定の課題もある」と解説する。

 「取引先のPeppol対応が必須である他、既存の業務システムでPeppolを取り入れる場合はシステムを改修しなければならず、一定のコストが発生します。Peppolの利用に必要なPeppolIDは法人番号にひも付く形で付与されるので、法人で1つしか取得できません。そのため部門ごとに業務システムが異なる場合は個別での対応が必要です」

Peppol×invoiceAgentの価値

 Peppol対応の課題を解消して電子化を円滑に進める製品が、ウイングアーク1stの電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent」だ。Peppolの送受信だけでなく、取引の電子化に必要なサービスを統合的に提供している。

 invoiceAgentはPeppol導入時の課題をどう補うのか。福田氏は6つのメリットを紹介した。

 1つ目は、企業間取引で発生する全ての帳票を送受信できる点だ。24年2月時点で、Peppolは請求書と仕入れ明細書の送受信のみが対象となっているが、invoiceAgentは見積書や受発注の支払いなど、業務フロー全体で発生する帳票のやりとりをカバーできる。商取引全体の電子化やPeppolの普及率が低い段階でも高い導入効果を得られるのだ。

 2つ目のメリットは、取引先がPeppolに対応していなくても送受信できる点だ。「取引先に無料の私書箱を提供することで、Peppolの送受信を実現します。取引先がPeppolに対応していなくても、相手に負担をかけずに送受信できます」

 3つ目が、幅広いシステムに柔軟に対応することだ。invoiceAgentは、業務システムが出力するCSVをPeppolに変換できるため、システムの改修コストを抑えられる点も魅力の一つだ。

 4つ目は、電帳法に対応した保管領域をサポートしている点だ。Peppolのやりとりは「電子取引」に該当するため、電帳法に準拠した帳票保管が求められる。しかしPeppolネットワークにはデータの保管機能が存在しないため、別途保管の仕組みを導入する必要がある。invoiceAgentであれば、新たな仕組みを導入しなくてもやりとりしたデータを電帳法に準拠した形で保管できる。

 5つ目は、PDF請求書への変換やプレビューができる点だ。「PeppolでやりとりされるデータはXML形式のため視認性が低く、そのままでは内容の判別が困難です。invoiceAgentは受け取ったデータをPDFの請求書に変換でき、業務担当者が請求の内容を容易に確認できます」

 最後のメリットが、受け取ったデータを適切な部門や担当者に振り分けて通知する機能を備えている点だ。

 現状では、部門ごとに請求を受け取って処理するのが一般的だ。だが先に述べたようにPeppolIDは法人ごとに1つしか取得できないため、部門ごとに業務システムが異なる場合は個別で対応する必要がある。「invoiceAgentは、受け取ったデータを適切な部門や担当者に振り分けて通知する機能を提供しています。社内の基盤としてご活用いただけます」

invoiceAgentのPeppolサービスにおけるメリット

invoiceAgentを使って電子化に取り組む

 invoiceAgentを活用して請求や支払い業務の電子化に成功した企業も多く存在する。福田氏は最後に、三井住友ファイナンス&リース(以下、SMFL)の事例を紹介した。

 総合リース企業であるSMFLは、顧客への請求業務の他、メーカーや販売会社への支払い業務を紙ベースで行っており、毎月大量の請求書や支払通知書を印刷して郵送していた。しかし郵送ではタイムラグが多い上、印刷や発送にかかるコストは膨大で、その解消が急務だった。これらの作業はリモートワーク推進の妨げにもなっていたため、invoiceAgentを使って電子化した。

 その結果、約1200件の取引先が電子に切り替え、支払通知書や請求書などの電子化や配信が可能になったという。SDGs経営の取り組みとしても効果を発揮し、自社だけでなく取引先のリモートワーク対応や業務効率化、ペーパーレス化にも貢献できた。

 「invoiceAgentは、帳票の生成や保管データの送受信によって法対応しながら各種システムと連携し、お客さまの業務のさらなる効率化を実現します。紙でやりとりしてきた商取引全体を電子化し、データに価値を与えることで、お客さまのイノベーションに寄与できればと考えています」

 深刻な労働力不足が叫ばれる中、現場の業務負担軽減を目指すデジタル化は、企業にとって避けては通れない道だ。ただし、それによって業務の煩雑化と負荷の拡大を生み出してしまっては元も子もない。

 帳票の流通と保管に一気通貫で対応し、豊富な採用実績を誇るinvoiceAgentの導入は、自社のみならず取引先の負担軽減にも貢献する有効な手段と言える。

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