「au PAY ふるさと納税」が後発参入でも成功した納得の理由とは

» 2024年03月28日 10時00分 公開
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 あなたは「ふるさと納税」をしていますか?――いま、ふるさと納税が“アツい”。ふるさと納税は都市と地方の地域間格差の解消や、過疎などによる税収の減少への対応を目的に2008年に始まった制度だ。故郷の振興や旅行先の応援、被災地の復興支援など、納税者が寄付先や寄付金の使い道を選べる。

 ふるさと納税の寄付総額は制度開始時から大幅に増加しており、22年度には9654億円となって3年連続で最高額を更新した。その勢いのまま23年度は1兆円を超える可能性が高い。

 こうしたふるさと納税の人気を支えているのが、インターネットで簡単に寄付ができるポータルサイトだ。「ふるさとチョイス」などのサービスを耳にした、あるいは使ったことがある人も多いだろう。ポータルサイトは寄付者と地域を結ぶ重要な存在になっている。

 「地域共創」を掲げて、このふるさと納税事業に参入したのがKDDIだ。ポータルサイト「au PAY ふるさと納税」を18年にオープン。後発ながら、業界の中でも歴史のあるふるさとチョイスとタッグを組むことで地域の課題を継続的に解決している。その狙いをKDDIグループでふるさと納税事業を展開するauコマース&ライフの高山光平氏(事業推進本部 副本部長)と、ふるさとチョイスを運営するトラストバンクの森杉育生氏(ふるさとチョイス事業部 パートナーサービス統括部 統括部長)に聞いた。

auコマース&ライフの高山氏(左)とトラストバンクの森杉氏(右)

14年で寄付額119倍 KDDIがふるさと納税に参入したワケ

 ふるさと納税は自分が選んだ自治体に寄付ができる制度で、多くの自治体は寄付者への感謝の意味を込めて返礼品としてその地域の名産品を届けている。自治体にとっては名産品や地場産業を全国の人に知ってもらえる貴重な機会だ。

ふるさとチョイス

 制度が始まった08年度の寄付額は全国で81.4億円だった。当初は寄付額がなかなか増えなかったが、15年ごろから大きく伸び始め、22年度には最高額を記録している。成長の要因が、ポータルサイトの存在だ。現在はサイト数が増えたこともあり、ふるさと納税自体も定着しつつある。

 ポータルサイトの後発でありながら、寄付額が急増しているのがKDDIグループのau PAY ふるさと納税だ。高山氏は、通信大手のKDDIがふるさと納税事業に取り組む大きな目的に地域共創を挙げた。

 「最大の目的は地方を応援することです。KDDIは通信がメインの事業で、都市部だけでなく山間部や沿岸部など日本の全ての地域をカバーしていることから、地方の課題解決を応援して地域を元気にする地域共創をテーマに掲げています。その一環としてふるさと納税に取り組んでいます。

 KDDIグループが提携するポイントサービス『Ponta』による“Ponta経済圏”の強化も目的の一つです。au PAY ふるさと納税を利用することでPontaポイントがたまり、ふるさと納税や総合ショッピングサイト『au PAY マーケット』でお得にポイントを利用できます。ポイントを楽しく使える場所を増やして、KDDIのサービス全体を成長させようとしています」(高山氏)

「返礼品が少な過ぎる」 au PAY ふるさと納税が直面した“新規参入の難しさ”

 au PAY ふるさと納税がオープンしたのは18年10月。参入当初は寄付額がなかなか増えず、大きな障壁を感じていたと高山氏は話す。

 「サービスを始めても、ポータルサイトに掲載する自治体や返礼品の数が増えませんでした。立ち上げ時に約100自治体が参加して、3年後には300自治体くらいになったものの、全国に自治体が1700以上あることを考えると全然足りません。アンケートでも返礼品が少ないという声が半数を超える状況でした。

 返礼品が増えなかったのは、業務負担の増加が理由で自治体に掲載を断られてしまっていたためです。自治体にとっては、利用するポータルサイトが増えるほど契約の締結やポータルサイトの運営、在庫や寄付金の管理などが煩雑になるため『2つか3つのサイトに掲載していれば十分』と言われることが多く、なかなか承諾を得られませんでした」(高山氏)

 そこでKDDIが手を組んだのが、ふるさとチョイスを運営するトラストバンクだ。ふるさとチョイスは12年9月に開設されたふるさと納税のサイトで、全国の自治体の約95%が利用している。返礼品数は55万品を超える規模を誇る。

 「当社は人・モノ・お金を地域に集めて循環させることによる持続可能な地域の実現を目指しており、地域外からお金を持ってくる役割を担うのがふるさと納税だと考えています。経済循環をいろいろな地域に広げていく私たちのミッションと、KDDIさんが掲げる地域共創が合致したことで連携の形が出来上がりました」(森杉氏)

契約自治体1700超、返礼品55万品を“自社サイト”にも――その仕組みとは

 両社の連携方法が、トラストバンクが提供する「OEMサービス」だ。OEM(Original Equipment Manufacturing)は製品やサービスの製造を他社に委託する仕組みを指す。トラストバンクはふるさとチョイスの独自アセットと運営ノウハウをOEMとして提供している。

 「ふるさと納税の自治体担当者は少人数で、他の業務と併せて担当していることがほとんどです。担当者が1人しかいない自治体も少なくありません。新たなポータルサイトへの掲載は、新たなシステムの導入が必要で業務も増えるので受け入れにくいのが現状です。そこで私たちは、自治体とビジネスパートナー両方の役に立てる方法としてOEMを考えました」(森杉氏)

 トラストバンクのOEMサービスを活用することで、自治体側は連携するポータルサイトが増えてもふるさとチョイスのシステム1つで管理でき、担当者の負担を大幅に削減できる。企業側にとっては、各自治体との契約や送金などはトラストバンクが行うため事務処理を削減できるというメリットがある。掲載したい品や自治体を自由に選ぶことも可能だ。連携の仕組みもトラストバンクが用意しているため、ポータルサイトの新規立ち上げや既存のECサイトとの連携も簡単だ。

 OEMによる初の事業連携がau PAY ふるさと納税だった。会員情報や決済はKDDI側で管理し、トラストバンクが自治体と返礼品の情報を提供する連携方法を採用した。

寄付額が大幅UP、SEO効果あり……ふるさと納税OEMで生まれたメリット

 22年7月に連携を開始すると、au PAY ふるさと納税の寄付額は大きく増加した。高山氏は「寄付額の伸び率はふるさと納税全体の伸び率を上回る勢い」だと話す。

au PAY ふるさと納税

 「連携によって返礼品が豊富になったことで多くの方がポータルサイトに訪れるようになり、寄付額も大きく増えました。

 SEO対策もトラストバンクさんにサポートしていただき、Google検索などで上位に表示されるようになりました。以前は『ふるさと納税』というワードで検索すると8ページ目に表示されていましたが、いまでは1ページ目に表示されています。

 トラストバンクさんとは定期的にコミュニケーションを取って、市場動向などの情報交換をしています。システムの連携だけでなく、事業運営やマーケティングの観点から支援してもらえることも連携によるメリットです」(高山氏)

 トラストバンクは、OEMサービスの提供を通してふるさと納税の価値を広げたいと考えている。それが持続可能な地域の実現につながるからだ。

 「企業によってふるさと納税に取り組む目的や背景が異なるので、画一的な提案にならないように意識しています。パートナー企業の強みが最も出る部分で連携して、一緒にその部分を強化したいと考えています。

 KDDIさんはau PAYの基盤があるので、その強みを打ち出したマーケティングを提案しました。au PAY マーケットとの相互送客などにより、私たちだけではできないふるさと納税の拡大を大きな規模で実現されています」(森杉氏)

税金の使い道を“チョイス”する ふるさと納税は「民意を反映できる制度」

 トラストバンクは、ふるさとチョイスを通じて「ガバメントクラウドファンディング®」と災害支援にも取り組んでいる。ガバメントクラウドファンディング®は、政府や自治体によるクラウドファンディングだ。沖縄県が焼失した首里城の復興を目的にふるさとチョイスで寄付を募ったところ、約9億4000万円が集まった。

 災害支援では災害発生後すぐに寄付の受け入れ窓口を立ち上げて、手数料を取らずに寄付金を全額自治体に渡している。24年の元日に発生した能登半島地震では、翌日には寄付のページを立ち上げた他、KDDIも4日には支援ページを立ち上げて、ふるさと納税の仕組みを通じた復興支援に取り組んでいる。

ふるさとチョイス災害支援

 共感が高まることで寄付金が集まるガバメントクラウドファンディング®や災害復興支援も、ふるさと納税の持つ社会的な意義と言える。森杉氏はこうした活動をもっと広げていきたいと話す。

 「ふるさと納税は“官製ネットショッピング”と批判されることもあります。しかし、本来は税金の使い道を自分で選択できる、民意を反映できる制度です。誤解を受けたままで使われる形にはしたくないので、本来の意義を体現しているKDDIさんと一緒にふるさと納税を進化させていきたいですね」(森杉氏)

 KDDIはauショップなど市民と直接接点を持てる場でふるさと納税の紹介や魅力の認知拡大に取り組んでいる。高山氏はこうした寄付者との接点を活用しながら今後も地域共創を広げていく考えだ。

 「ふるさと納税の22年度の利用率は対象となる国民の17.8%で、20%にも届いていません。ふるさと納税をもっと身近に感じてもらうと同時に、自治体のさまざまなチャレンジを応援できるように、これからもKDDIグループ全体で取り組んでいきたいです」(高山氏)

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