EDIの電帳法対応をプロが徹底解説 電子取引データ保存の義務化にスムーズに対応するポイント

» 2024年04月04日 10時00分 公開
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 2024年1月から本格的に対応が義務化された改正電子帳簿保存法(以下、改正電帳法)。見積書や注文書、納品書、請求書などに相当する電子取引データ(EDIデータ含む)は、「電子取引データ保存」の要件に従って電子データの状態で保存する必要がある。

 しかし、電子取引データ保存への対応は一筋縄ではいかない。単純に電子データをそのまま保存すればよいわけではなく、さまざまな法要件を満たした上で保存する必要があるためだ。特に「見読性の確保」「検索性の確保」という2つの要件については、技術的な実現難易度が高いとされている。EDIで受注や発注、請求に関する取引情報をやりとりしている場合、既存のEDIの仕様が電帳法の要件にうまく対応できないケースも多い。

 本記事では、ITmedia ビジネスオンライン主催のオンラインセミナー「Accounting Day 2024冬」(2024年3月5日配信)に登壇したJSOL 香坂真人氏の講演から、EDIの電帳法対応のポイントを解説する。

そもそも電子帳簿保存法とは

photo 講演を行った香坂真人氏(JSOL ソーシャルトランスフォーメーション事業本部 JSOL認定プロフェッショナル ITアーキテクト)

 香坂氏は、JSOLで認定プロフェッショナル ITアーキテクト(ITサービスマネジャー)を務める。JSOLは1983年、日本情報サービス時代に民間企業として全国で初めて社外向けVANサービスを開始した。同氏は2003年に同社の前身となる日本総合研究所に入社後、一貫して「JSOL-EDIサービス」に携わってきた、EDIのプロフェッショナルだ。基盤構築や運営、コンテンツ拡張などのサービスマネジメント業務や、顧客導入案件におけるプロジェクトマネジメントを担当する。

※『コンピュータ白書(1984-85)』(発行:財団法人 日本情報処理開発協会)等に基づく。

 電帳法は、国税関係帳簿書類の電子データによる保存を認めた法律である。1998年、当時は紙書類が当たり前であった時代に、紙媒体での保存は納税者にとって負担が大きかったことを背景に制定された。その後電子化が進み、現在は保存対象によって「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つに分類されている。

 改正電帳法で大きく変わったのが、EDIに関連する電子取引データ保存だ。2024年1月以降、見積書や注文書、納品書、請求書などに相当する電子取引データ(EDIデータ)を電子データの状態で保存することが義務化されている。23年12月までは宥恕(ゆうじょ)措置が認められていたが、宥恕期間が終了した現在、ほぼ全ての企業が電子取引データへ対応する必要がある。しかし、企業のEDIシステムの実情に詳しい香坂氏は、「今回の法要件を満たすには技術的なハードルが高い」と指摘する。

EDIに関連する「電子取引データ保存」への対応ポイント

 電帳法の改正により、電子取引データの保存時には次の4つの法要件を満たす必要がある。

 1つ目は「長期保存」。通常時は7年間、欠損金繰越控除時は10年間の保存が義務付けられている。

 2つ目は「真実性の確保」。データの改ざんや削除ができないよう対応することが求められ、「データ受領後2カ月以内に認定タイムスタンプを付与する」「書類の発行者側で認定タイムスタンプを付与する」「データを改ざん、削除できないシステム等を利用する」「改ざん防止等のための事務処理規定を作成し運用する」という4項目のいずれかを満たす必要がある。

 3つ目は「見読性の確保」。見読性とは視認性とも換言できるが、保存したデータの内容を必要に応じて人間の目で読める状態にできることを指す。

 4つ目は「検索性の確保」。保存したデータを次の4つの条件で検索できる状態にしておく必要がある。「取引日付、取引金額、取引先名で検索できること」「日付または金額の指定範囲によって検索できること」「2つ以上の任意の検索項目を組み合わせてAND検索ができること」「検索項目について記録事項がない電子的記録を検索できるブランク検索ができること」だ。

EDIデータ特有の課題 「見読性の確保」と「検索性の確保」

 香坂氏は、長期保存と真実性の確保については、実現難易度はそう高くはないと話す。「一般企業において、事業継続性のあるオンラインストレージを採用すれば10年程度の保存は実現可能です。また、オンラインストレージの削除防止機能を利用すれば、真実性の確保も難しくはないでしょう」(香坂氏)

 だが、EDIを導入している企業にとって見読性の確保と検索性の確保の実現は難しいという。

 というのも、EDIデータの多くはEBCDIC(エビシディック)というホストコンピュータでよく使われる文字コードで表現されたり、固定長と呼ばれる文字の羅列で区切り位置が分かりにくかったりなど、人間の目ではすぐに読み取ることができない。そのため、受信したデータを単純に保存するだけでは見読性を確保することができない。

 また、EDIのデータにはインデックスが付いていないため、データを検索できるようにするには検索情報を抽出する処理が必要となる。

JSOLの技術でデータを見やすく、検索も容易に

 JSOLは「税務調査対応に堪えうる見やすさ」に徹底的にこだわっているという。企業は税務調査対応時に、電子取引の取引情報を整然とした形式および明瞭な状態で速やかに出力することが求められる。しかし、前述の通りEDIデータにはさまざまな特性があるため、単純にデータを保存するだけでは法要件を満たすことはできない。JSOLでは、EBCDICのデータであっても、長年のEDI業務で培った文字コードの変換処理を実行して「人間が読める文字」に変換する。さらに、項目ごとにカンマで区切ったり、項目名を1行目に追加したりすることで「誰が見ても分かる電子データとして保存できます」(香坂氏)

 また、検索性を確保するには文字コードの変換だけでは十分ではない。香坂氏は「取引日付や取引金額はデータのどこかに格納されていますが、その場所はデータのレイアウトごとに異なります。そのため、データの中から取引日付や取引金額を抽出する作業が必要となります。また、データのレイアウトごとに抽出する場所が異なります」と話し、検索性の確保を実現する難しさを説く。データを検索できる状態にするために、データのレイアウトごとに取引日付や取引金額といった検索情報を抽出するのは非常に手間のかかる作業だ。

 JSOLでは、このEDI特有の課題への解決策も用意している。検索項目を丁寧に抜き取り、データベースに格納するという。

 下図のような3つの電子取引データがある場合、ここから検索情報を抽出して検索情報に特化したデータベースに格納する。電子取引データの受注日をデータベースの取引日付に、得意先をデータベースの取引先に、売価をデータベースの取引金額にそれぞれ格納する。

 これにより、検索条件による絞り込みや欲しいデータのダウンロードがWebブラウザから簡単にできるという。例えば、取引日付での単一検索や、取引日付と取引先名でのAND検索、取引金額での範囲検索などが可能だ。香坂氏は「JSOLは電帳法の電子取引データ保存というカテゴリーに対応したベストソリューションをご提供します」と自信を見せる。

photo Webブラウザから、取引日付での単一検索や、取引日付と取引先名などによるAND検索のほか、取引金額での範囲検索も可能。欲しいデータのダウンロードもできる(同社講演資料より抜粋)

オールインワンで解決する「JSOL-EDI電子取引データ保存サービス」

 このように、電帳法の電子取引データ保存の法要件を満たすだけでなく、見読性や検索性に徹底的にこだわった機能を提供するのがJSOLの「JSOL-EDI電子取引データ保存サービス」だ。

 法要件である7〜10年という長期保存を実現するのはもちろんのこと、長期保存可能なストレージを堅牢なデータセンターに設置して、冗長書き込みを実施する。

photo JSOL-EDIサービスの概要(同社提供資料より)

 真実性の確保についても万全だ。データ保存処理を実行するシステムアカウントやサービス提供者(JSOL)が通常のオペレーションで利用するアカウントは、変更権限や削除権限を有しない。これによってデータを改ざん、削除できないシステムを実現している。

 見読性の確保や検索性の確保については、前述の通り税務調査対応に堪えうる見やすさを実現しており、さまざまな条件での検索が可能だ。利用者はWebブラウザさえあれば、いつでもどこでも保存したデータを検索したりダウンロードしたりできる。

photo 比較:JSOL-EDI電子取引データ保存サービスを利用する場合と自社でシステムを構築、運用する場合(同社提供資料より)

 講演ではJSOL-EDI電子取引データ保存サービスのデモも行われ、多様な条件で検索ができ、データを見やすい状態で出力できることが紹介された。

 最後に香坂氏は「EDIの電帳法対応はJSOL-EDIにお任せください」と力強く述べ、講演を締めくくった。流通業や製造業では特に普及が進んでいるEDIによる商取引。電帳法にどう対応すればよいか悩んでいる企業は、EDIの実績が豊富なJSOLに相談してみるのがいいだろう。

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