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「LBM」でも「ABM」でもない、B2Bマーケにありがちな“リードのジレンマ”を乗り越える第3の選択肢「BBM」とは何か「量か質か」の二者択一から、営業とマーケ部門を解き放つ

獲得したリードの「質」に営業が不満を漏らす一方、質を重視すれば量が減る――。多くのB2Bマーケターが陥るこのジレンマをどう解消すべきか。量を重視するLBMと質を重視するABMの課題を乗り越え、得られる“果実”の最大化を狙う概念「BBM」(バランスベースドマーケティング)を提唱するALUHAの荻野永策社長に、実践のポイントを聞いた。

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多くの企業が直面するB2Bマーケティングの「量と質のジレンマ」とは?

 多くのリードを獲得すると「質が低くて商談につながらない」と営業から文句を言われ、質を重視したリードを狙おうとすると量(件数)が少なくなる――。そんなジレンマに悩むB2Bマーケターは多いだろう。

 そもそもマーケティング部門はリードをいかに獲得できたかという「量」を評価されがちな傾向にある。背景にはリードの「質」を客観的に評価することが難しいという問題と、マーケティング部門だけでは売り上げまで完結できないため量でしか評価がしにくいという問題があると荻野氏は指摘する。

 反対に営業部門は、当然だが「商談化」や「成約」につながりやすいリード、つまり質を重視する。いくらマーケティング部門が大量のリードを獲得しても、KPIが量にのみおかれているのであれば、営業から見ると「役に立たないリード」が増えているだけになってしまう。こうなると不信感が高まって連携をとりにくくなってしまう。

 その結果、本来は一気通貫でモニタリングしながらPDCAサイクルを回すべきマーケティングと営業部門が空中分解し、施策の費用対効果を測れずB2Bマーケティングが機能不全に陥るわけだ。

コロナ禍明けごろから、多くの企業が「リードの質」を気にするように

 B2Bマーケティングを取り巻くこうした課題感や各社の状況を長年見てきたのがALUHAだ。

 同社の創立は2003年。もともとはシステム開発が主力事業だったが、従業員数が少ないこともあって「いかに営業をせずにデジタル経由で案件を取るか」を目標に営業を展開してきたと荻野氏は語る。こうして培った知見を基に、B2Bマーケティング領域のコンサルティング事業を2008年にスタートさせた。


ALUHAの荻野永策社長(提供:ALUHA)

 20年近くB2Bマーケティングを見てきた中で、荻野氏はコロナ禍明けごろからリードとの向き合い方に変化が出てきたと振り返る。

 「コロナ禍明けか、早い企業ではもう少し前のタイミングから『大量にリードを取っているけど、結局それが売り上げにつながっているの?』と問題視されるようになってきたように感じます」

 それまでは、オンラインやオフラインといったチャネル問わず「リード獲得数が全て」といったトレンドだった。特にコロナ禍ではリアル営業ができず、展示会も軒並み中止になったことから「量重視」がさらに加速した。とはいえマーケティング施策には相応のコストがかかる。コロナ禍の混乱が収まった辺りから、費用対効果にあらためて目を向ける企業が増えてきたわけだ。

 「多くの企業で明らかになったのは『大量のリードがあっても、なかなか商談に至らない質の悪いリードであふれかえっている』という現実でした」

 質の悪いリードで営業がフォローし切れず、マーケティングチームとの溝が深くなる中で注目されたのがABMだ。特定の企業群(ターゲットアカウント)と深い信頼関係を築き、長期的な取引を展開してLTVの最大化を目指す手法を指す。ターゲットアカウントにマーケティングと営業のリソースを集中させることで効率的に売り上げを伸ばせるのがメリットだが、もちろんデメリットもある。特定顧客への依存度が高くなってしまうことだ。

 依存度が高くなると、何かのきっかけで契約打ち切りとなった際にその穴をすぐに埋めるのが難しい。相手先の意思決定権者が変わった途端に契約解消となって慌てる企業もあるという。相手先だけでなく、昨今は転職が当たり前となったことで「エース社員」が抜けて顧客にそっぽを向かれるケースもある。

 B2Bマーケティングでリードの量ではなく質へと視点が移りつつある中、いまだ見つかったとは言い切れない“最適解”に対して、荻野氏は「どちらかに偏るのではなく、KPIを見ながら利益を最大化するために量と質のバランスを取ることが重要です」と提言する。それこそが、ALUHAの提唱する概念「BBM」だ。

「量」と「質」のバランスを取る「BBM」とは?

 BBMは「量か質か」の二者択一ではなく、B2Bマーケティングのプロセスにおいて、各段階で量と質のバランスを可視化しながらマーケティング施策を展開し、利益の最大化とリソース活用の最適化を狙う手法である。


BBMのファネル(提供:ALUHA)《クリックで拡大》

 BBMでバランスを可視化するために用いるKPIが「ICP率」だ。

 ICPとは「Ideal Customer Profile=理想的な顧客像」という意味で、自社事業との相性が良く、受注に至れば高いLTVが期待できるリードを指す。具体的には売れた場合に高いLTVをもたらす可能性がある「LTV条件」、比較的短期間で受注につながる可能性が高い「確度条件」、自社商品やサービスとリードが持つ課題との相性が良い「相性条件」の3つを満たすものが該当する。

 もちろん、最初から3つの条件を満たすケースはそうそうない。そのためBBMでは、マーケティング・営業のフェーズごとにICPの条件を細かく定義し、各フェーズで抱えている件数のうちICPに該当するリードがどれくらい存在しているのかを確認する。そして、ICPの該当数や、市場動向や営業の意向、リソースの状況などを判断軸にして、あるときは量、あるときは質を重視して施策を展開する。


BBMのバランスのイメージ(提供:ALUHA)《クリックで拡大》

重要指標の「ICP率」を見ながらバランスを最適化していく

 BBMでまず着手すべきは、マーケティングチームと営業チームが協力して自社のICPを定義することだ。

 ここでのポイントは、それぞれが「理想の顧客像」を勝手に定義するのではなく、過去の実績値を見ながらエビデンスベースでICPを定義することだと荻野氏は語る。エビデンスに基づくことでICPの具体的な姿を捉えやすくなる。

 ICPを定義するに当たって参考にすべきと荻野氏が挙げるのが、売り上げの大半は少数の顧客によってもたらされるという「パレートの法則」だ。いたずらに量を追ってリソースを空費するのではなく、しっかり注力すべきリードに向き合うという意味で、自社に多くの売り上げをもたらしている少数の優良顧客をこれまでのデータから特定し、優良顧客の「業種」や「社員数」などの条件を分析してICPを決めていくと良い。

 この際、マーケティングと営業部門の連携だけでなく技術部門と協力しながら過去の実績を基に顧客の悩みや課題を集約した「課題データベース」を作ることも荻野氏はおすすめする。これがあることによって、先述したICPの「相性条件」について、よりエビデンスをもって検討できるようになる。

 ICPを定義したら、各プロセスで保有しているリード件数とICP率を確認する。例えばWebで400件の見込み客のリードを獲得し、ICP該当リードが150件あればICP率は37.5%――といったように計算できる。


プロセスごとにICP率を確認しながら施策を進めていく(提供:ALUHA)《クリックで拡大》

 上記図のように、プロセスごとにICP率を可視化することで「質に偏っているのか、量に偏っているのか」を判断できるようになる。量に偏っている傾向がある場合は「受注件数の増加」が見込める反面、LTVが低くなる可能性がある。質に偏っている場合は、LTVが向上する反面、受注件数とともにシェアが落ち、特定の顧客に売り上げが依存する。

 このようにICP率や営業の意向、市場動向などをみながら、量を狙うか質を狙うかの施策の方針を決めて柔軟に対応していく。こうして営業・マーケティング施策をタイムリーにバランスよく展開していくのがBBMの大まかなフローだ。

BBMを「第3の選択肢」として、B2Bマーケティングを再構築しよう

 BBMのメリットは、マーケティングや営業施策の各段階で量と質のバランスを取りながらリードと向き合い、売り上げ・利益の最大化を狙える点にある。

 デメリットもある。ABMとLBMの両方の知見を必要とするので、慣れないうちは運用に苦労する可能性があることだ。また、戦略の設計段階でしっかりとエビデンスを基にICPを定義して社内の意思疎通を合わせておかないと「バランスを取る」ではなく「どっちつかず」となり迷走するリスクもあるという。

 それでも、リードの量を追い求めるLBMは金銭的コスト・人手の負担がかさみ、ABMでは一部顧客への過度な売り上げ依存がリスクになり得る。こうした課題を乗り越えるため、いずれかのみに取り組むのではなく双方のバランスに注目する「第3の選択肢」がALUHAの提唱しているBBMだ。荻野氏によると、直近では年商数千億規模の国内部品メーカーがBBMを取り入れ始めたという。

 LBMにABM、そして両者のバランスを取るBBM――本稿を参考に、あなたの会社もB2Bマーケティングを再構築してみてはいかがだろうか。

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提供:株式会社ALUHA
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2026年5月8日

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