デジタルだからできること
「画像処理エンジンは100倍パワフルだっていい」――カシオ計算機(後編)(1/2 ページ)
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本連載「デジタルだからできること」では、旧来のカメラとは異なる進化の道を歩み始めたデジタルカメラの「デジタルならでは」を各社に尋ねる。
今回は最高60コマ/秒の高速連写&1200fpsの高速ムービーを実現した「HIGH-SPEED EXILIM」シリーズなど、デジタルカメラならではの処理を搭載した製品を多く送り出しているカシオ計算機のQV事業部 商品企画部 第2企画室の宮田陽氏と今村圭一氏に、同社の「デジタルならでは」を聞いた。(前編:「逆算モノづくり」へのシフト――カシオ計算機)
処理能力は足りているか
――高画素化が一段落した現在のデジタルカメラを見ていると、今後はますますデータをどう処理するか、つまり「デジタル処理の使い道」が問われていくように感じます。処理を実際に行うのは画像処理エンジンですが、その処理能力は足りているのでしょうか。
今村氏: やりたいことはたくさんあるので、それを考えるとまだまだ足りません。10倍、いや、100倍あっても足りないです(笑)。現在のEXILIMエンジンはマルチCPU構成となっていますが、マルチ構成とすることで撮影した画像から対象を切り出してカメラ内で合成する「ダイナミックフォト」が実用的な速度になったのです。それに、カメラとしての基本機能についてもまだまだ進化しなくてはなりません。そのひとつとして用意したのが、EX-Z550などで採用した「プレミアムオート」です。
これはいわゆるフルオート撮影ですが、「熟練者が現像してくれる機能」を内蔵したいという考えから実装しました。「作画」の域には達していませんが、8割の人がきれいだねといってくれる写真を作ることを目指したのです。
これまでのフルオート撮影モードでは、どんな場面でも撮影設定は一律でした。被写体などを分析して最適なモードを選択する「オートベストショット」でも、カメラが「風景」と判断すれば、どんな風景でも一定の条件を適用していました。ですが、プレミアムオートでは、もっと細やかに対象を解析して、多数の処理を同時に適用します。その解析パターンは数万通りにも上りますし、仕上がり例でいえばその数は膨大なものとなります。
「野外で逆光の中、人物が立っている」シーンがあるとしましょう。EXILIMエンジンは被写体解析も担当しますので、そのシーンに「人がいる」「逆光」「野外」などの解析を行い、人の顔へピントと露出を合わせます(人が主要被写体と見なされなければ、ほかの主要と見なされる被写体に合わせる)。加えて、逆光なので、フラッシュをたいて局所的にホワイトバランスを調整する「インテリジェントカラー」処理を行い、背景が青空ならば彩度調整も行い、顔を滑らかにする「ファンデーション」処理なども同時に行います。
宮田氏: 熟練の現像者が微妙な調整をしてくれるというイメージです。ですが、1枚の撮影に3秒ほどの時間がかかるなど処理としてかなり重いので、出荷時にはオフになっていて、ユーザーが利用かどうかを選択する形式をとっています。これは画像処理エンジンの能力がわたしたちの「やりたいこと」に追いついておらず、まだまだ改善できることがあるという例だと考えています。
EX-Z300(2008年8月発売)では肌をなめらかに/日差しによる影を和らげる/くすみやシワを目立たせないなどの処理で人物の顔をきれいに撮影する「メイクアップ」(“美人になる”デジカメを試す)を搭載しましたが、その評価はまっぷたつに分かれました。「よけいな処理をするな」という声もありましたし、「きれいに撮れてうれしい」という声もありました。面白いこともあるものだなぁと思いましたね。ちなみにプレミアムオートでも「メイクアップ」は行いますが、より厳密に識別処理を行うことで髪の毛に処理がかからないなど、細部はより進化しています。
今村氏: よりナチュラルに処理することが可能になって、“バレない”ようになりました(笑)。ですが、画像解析はまだまだ改善進化の余地が大いにあります。タングステン光(白熱電灯の光)による引き込み(注:ここでは白熱電球の光が多い室内などでフラッシュをたいて撮影すると、オートホワイトバランスが適切に働かない現象を指す)などについても今回は対処しましたが、それでもまだまだやることはたくさんあります。
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