5と7を使い分けてこそ――ペンタックス「K-5」(2):矢野渉の「金属魂」的、デジカメ試用記
カメラマン・矢野渉氏が被写体への愛を120%語り尽くす連載「金属魂」。PENTAX「K-5」の第2回は作例中心に、K-7との最大の相違点、撮像素子について考える。
誤解を恐れずに言ってしまえば、僕は写真撮影をする時、カメラの機種はどれでもいいと思っている。写らないカメラなど存在しないし、そのカメラがそこに有るということは、何かしらの存在意義があることだからだ。
僕は、ある有名カメラマンがインタビューで語っていた「カメラは、どこか気に入った部分があって好きになれば、あとの部分はそのカメラに自分を合わせて行けばいい」という考え方が好きだ。カメラを自分流にカスタマイズするのではなく、自分がそのカメラなりのスタイルに合わせて行く、という感覚。どこか夫婦の関係にも似た、実に愛情あふれる言葉である。
そんな視線でK-5を眺めてみると、これはかなり心強い相棒である。どこに魅力を感じるかは人それぞれだが、僕は新型CMOSが気に入った。
K-7でブレイクして1628万画素にステップアップしたK-5は、K-7とはかなり違った描写を見せる。映像エンジンは同様のPRIME IIだから、新型CMOSのとらえる情報そのものが変わったようだ。パラメーターがまったくノーマルの状態で、K-7はどちらかと言えばフラットな、柔らかい描写だったものが、K-5では明らかにシャープネスと彩度がアップしている。画素数も増えているから、写真のリアリティが明らかに増しているのだ。
どの程度変化したのかは作例を見ていただくしか無いが、僕は別にK-7がもう過去の物だと言っている訳ではない。おそらくメニュー内の彩度、コントラスト、シャープネスなどを設定し直せばK-5の描写に近づけることは可能なのだ。だからすでにK-7を持っている人にはK-5との併用をお勧めする。K-7本来の描写は、逆にK-5では出せないと思われるからだ。
さて、今回お借りしたレンズは「DA 21mm F3.2 AL Limited」「D FA MACRO 100mm F2.8 WR」、あとはレンズキット「DA 18-55mm F3.5-5.6 AL WR」の3本である。
この3本のレンズで何が撮れるのか、と所沢の航空公園にぶらりと出かけた。
K-5のCMOSはかなりレベルが高い印象だ。歴代のPENTAXのデジタル一眼とは一線を画すほど派手な絵が撮れる。それが好きか嫌いかは別として、とりあえず手に入れて損はないカメラだ。
PENTAXファンの人たちはもうK-5を購入された方も多いかも知れないが、ぜひ、K-7と一緒に使ってほしい、というのが僕の願いだ。この2機種を使い分けられてこそ真のPENTAXファンと言えるのではないかと思う。
関連記事
- 矢野渉の「金属魂」的、デジカメ試用記:過去と未来への仕掛けを備えたカメラ――ペンタックス「K-5」(1)
カメラマン・矢野渉氏が被写体への愛を120%語り尽くす連載「金属魂」。PENTAX「K-5」は一見、K-7からの変化が少ないように見えるが、そこには過去と未来、双方に向けての「仕掛け」が施されている。 - ペンタックス、新センサー搭載のKシリーズ最上位「K-5」
ペンタックスより「K」シリーズの最上位機種として、新型センサーを搭載した「K-5」が登場。 - 矢野渉の「金属魂」的、デジカメ試用記:心を豊かにさせる“くすぐり”――ペンタックス「K-7」(2)
カメラマン・矢野渉氏が被写体への愛を120%語り尽くす連載「金属魂」。ペンタックス「K-7」を題材にした番外編の最終回となる今回は、各所に潜む“くすぐり”について。 - 矢野渉の「金属魂」的、デジカメ試用記:オールドファンのための奇跡のプロダクツ――ペンタックス「Limitedレンズ」
カメラマン・矢野渉氏が被写体への愛を120%語り尽くす連載「金属魂」。ペンタックス「K-7」を題材にした番外編その2は、「奇跡のプロダクツ」ことLimitedレンズをとりあげる。 - 矢野渉の「金属魂」的、デジカメ試用記:指2本で探る宝箱――ペンタックス「K-7」(1)
カメラマン・矢野渉氏が被写体への愛を120%語り尽くす連載「金属魂」。番外編の今回は、ペンタックス「K-7」をカメラマンの視線から愛でる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.