フィルムカメラ風の高級コンパクト機――富士フイルム「FinePix X100」(2/4 ページ)
富士フイルム「FinePix X100」は、明るい単焦点レンズを搭載した高級コンパクト機だ。光学式と電子式が融合した新発想のファインダーや、レンズに合わせて最適設計されたAPS-CサイズのCMOSなど見どころは盛りだくさん。
ダイヤルによるアナログ感覚の操作系
撮影モードは、プログラムAE、絞り優先AE、シャッター優先AE、マニュアル露出に対応する。絞りリングとシャッタースピードダイヤルの両方を「A」の位置にセットした場合はプログラムAEになり、どちらかを「A」以外の位置にずらすと絞り優先AE、またはシャッター優先AEになる。
絞り値はレンズ部のリング操作で、シャッター速度は天面のダイヤル操作でそれぞれ切り替える。どちらも1EVステップでの切り替えだが、マニュアル露出モードの際は、背面のコマンドレバーによって絞り値を、コマンドダイヤルによってシャッター速度を、それぞれ1/3EVステップで微調整することもできる。
シャッターは、一眼レフのようなフォーカルプレーン式ではなく、レンズシャッター式となる。シャッター音は非常に小さく、レリーズ時の振動もほとんどない。本機は手ブレ補正機構を搭載していないが、慎重にシャッターを押せば1/15秒や1/8秒を手持ちでブレさせずに撮ることも可能だ。また、すべてのシャッター速度でストロボが同調することは、レンズシャッターの利点といえる。
ワンプッシュAFやNDフィルターを搭載
AFは、コンパクトデジカメで標準的なコントラスト検出方式を採用する。AFスピードはまずまず速く、スナップなどの一般用途では大きなストレスは感じない。フォーカスモードは、シングルAF(AF-S)、コンティニュアスAF(AF-C)、マニュアルフォーカス(MF)の3モードから選択でき、AFエリアは49点に対応。背面のAFボタンを押しながら十字キーを押すことで、AFエリアの選択ができる。
マニュアルフォーカスを選んだ場合は、鏡胴部のフォーカスリングを回してピント合わせを行う。リングの感触がゆるく、操作感が悪いのは残念なところ。そのかわり、MFの際に、AFL/AELボタンを押してAFを一時的に作動させるワンプッシュAF機能は便利だ。コマンドレバーによるEVF/LCDの拡大表示機能と合わせて利用することで、マニュアルフォーカスの使い勝手を高めることができる。
またマニュアルフォーカスの際に、選択中の絞り値に応じた被写界深度の範囲を、OVFやEVF/LCDに表示することもできる。置きピンによるスナップ撮影などで役立つだろう。
そのほかには、3段分の光量を下げるNDフィルターや、カメラの傾きを知らせる電子水準器、カメラを動かすだけで撮影可能なパノラマモード、1280×720ピクセルのHD動画機能、シャッター音やAF補助光などを一括オフにできるマナーモードなどの機能を搭載する。
気になったのは、メニュー回りの操作性だ。メニュー構成のカスタマイズができず、使いたい項目を素早く呼び出せない点はもどかしい。例えばNDフィルターを設定するにはボタンを10回も押す必要がある。ボタン類についても、割り当て機能の変更ができるのはFnボタンのみ、というのがもの足りない。また、マクロモードやブラケティング機能を利用する際、撮影モードから再生モードに切り替えるたびに、マクロやブラケティングがリセットされる仕様には疑問が残る。
レスポンスについてはJPEG撮影では大きな不満はないが、RAWやJPEG+RAWを使うと、画像の書き込みに少々待たされる。例えば画像3枚の書き込みにかかる時間は、JPEGのFINEで約3.8秒、RAWで約7秒、FINE+RAWで約10秒となる(スピードクラス10のSDHCカードを使用した際の実測値)。書き込み中にさらに続けて撮ることは可能だが、各種の設定を変更することはできない。
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