“Auto110デジタル”じゃダメだ――「PENTAX Q」誕生秘話(2/2 ページ)
世界最小最軽量を実現したレンズ交換式カメラ「PENTAX Q」。画質や操作性などにも興味は尽きないが、そもそも、なぜ「PENTAX Q」という新システムの開発に踏み切ったのかも興味深い。
――PENTAX Qの魅力のひとつは、手のひらにのるほど小さくも、カメラらしさを感じさせるデザインにあると思います。このサイズとデザインはどのような経緯で決定したのでしょう。また、カラーはブラックとホワイトの2色ですが、K-rのようなカラーバリエーションは用意しないのでしょうか。
若代氏: デザインはサイズ決めとも密接に関連するので、相当数のモックアップを作りました。その中にはビューファインダーを搭載したAuto110のようなデザインも含まれていたのですが、最終的には液晶の大きさ(3型)が決め手になりました。液晶は大きく、カメラは小さくという理想を求めた結果、たどり着いたのがこのボディサイズなのです。
まずはデバイスとして優先度を高く位置づけた「撮像素子」「液晶」のサイズを決め、その後に、“一眼の魅力”としての「撮影しやすさ」を実感していただくために電子ダイヤルの搭載を決めました。いわゆるエントリーモデルですと操作性を考慮してボタンは減らす方向にありますが、あえて、“デジタル一眼レフらしい”操作性は残すことにしました。
デザインについては、操作性のためのダイヤルをはじめとした必要要素を組み込んでいった結果ですね。クラシカルというか、懐古的なデザインにしようとした訳ではありません。実際にはさらにシンプルなのものやクラシカルなものなど、さまざまな案がありましたが、最終的にはトラディショナルかつ、一眼っぽさを感じさせる現在のデザインに決定しました。
カラーリングについて、K-rは「本格的なカメラをカジュアルに」がコンセプトなので、カジュアル感の演出のため多色展開を行いましたが、PENTAX Qは「本物感」がコンセプトなので、そこへ通じるシンプルさ、質実剛健さを重視して、ブラックとホワイトの2色としています。
――試行錯誤の結果、最終的にはレンズ交換式ながら、約98(幅)×57.5(高さ)×31(奥行き)ミリ、200グラム(バッテリー、SDメモリーカード含む)という大きさを実現するに至りましたが、製品化に至る際にはどのような苦労があったのでしょう。
若代氏: 「小さい本格派」というコンセプトはブレませんでしたが、苦労は多すぎてどこが苦労だったのか……。“小さいセンサーにしましょう”というところまでは早かったのですが、実際のサイズが決定するまでに相当の時間がかかりましたし、液晶サイズを決めるにも数ヶ月の時間がかかっています。どこまで小さくするか、には相当もめましたね。
――製品発表会で紹介されたシステム図では、「高性能望遠レンズ」の登場が予告されていました。アクセサリを含めた、今後のシステム展開はどのように行うイメージでしょうか
若代氏: まずレンズについては発表の通り、「高性能シリーズ」「ユニークシリーズ」を平行してリリースしていきます。ホットシューはKや645といった既存製品と共通なので、「ペンタックス製品用アクセサリ」というカテゴリで、PENTAX Qを買った人がKや645へステップアップしてくれればという思いもあります。ただ、ストロボについてはPENTAX Qのサイズにあった超小型のものを専用で投入するかもしれません。
――7月9日と10日には体験イベントが行われましたが、そこでの反応はいかがでしたか。
若代氏: 7月上旬に行われた体験イベントでは、実寸台のパンフレットを受け取った人から「本当にこのサイズ?」といううれしい反応を頂きましたし、女性から「高級感」という言葉でほめてもらったことはちょっとした驚きでした。
PENTAX Qはさまざまな楽しみ方を提供できるカメラだと自負しています。一眼レフ機を使っている人がサブカメラとして使いたいという人もいらっしゃるでしょうし、ハイエンドコンパクトとして使いたいという人もいらっしゃるでしょう。どちらにお使い頂いても要望に応えられると思いますし、これから本格的なカメラへチャレンジしたいと考える人にも最適なカメラだと思っています。
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