第7回 明るい広角レンズで撮る春の旅スナップ――オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0」:デジタル一眼レンズの楽しみ
やや高価だけれど、写りは絶品。描写力の高さと開放値の明るさ、携帯性のよさを兼ね備え、標準ズームとはひと味違った写真が撮れる。そんなレンズを紹介します。
オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0」は、マイクロフォーサーズシステムに準拠した単焦点のワイドレンズです。35ミリ換算の画角は24ミリ相当。広がりのある構図で風景をとらえたり、対象物に一歩踏み込んだ距離感でスナップを撮るのに最適な画角といえます。
このレンズのいちばんの特長は、全長43ミリ、質量130グラムという小型軽量でありながら、開放値F2.0の明るさを実現していること。室内や夜間などの薄暗いシーンでも、その場の自然光を生かしつつ、感度をあまり高めることなく撮影できます。
操作面では「スナップショットフォーカス」と呼ばれる機構がユニークです。これはフォーカスリングを手前に引き出すと距離目盛りが現れ、マニュアルフォーカスが可能になる仕掛け。ピントを固定して、パンフォーカスでスナップを撮る際などに役立ちます。適度なトルクのあるフォーカスリングの感触は良好。ほぼ無音でスピーディに作動するAFについても快適です。
最短の撮影距離は20センチで、最大撮影倍率は0.08倍。特に接写に強いというほどではありませんが、近接撮影での写りは絶品。合焦部分はきっちりと解像し、そこから前後に向かってスムーズなボケが徐々に生じていきます。奥行きを感じる立体的な描写であり、ソフトでしっとりとした風合いが漂っています。下の1枚目は大船植物園のラナンキュラス。2枚目は多摩動物公園昆虫園のオオゴマダラ。どちらも開放値を選び、最短撮影距離付近で撮影したものです。
非常にコンパクトなので、ズームレンズに追加してカバンに入れても大きな負担にはなりません。以下は、西伊豆で撮影した旅のスナップショットです。あいにくの曇天でしたが、だからこそ暗いズームレンズではなく、明るい本レンズが活躍しました。動植物の接写から、町並みや自然、夜景、室内スナップまで幅広いシーンに役立つレンズといえます。
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