第151回 動物園とシャッターチャンスの関係:今日から始めるデジカメ撮影術(3/3 ページ)
動物園は大人が行っても楽しい。動物を見るのも楽しいけれど、撮るのもまた楽しい。ミラーレス一眼で、動物の決定的瞬間を撮るコツを考えよう。
リス園は楽しい
井の頭自然文化園のもうひとつのおすすめはリス。リス園。広いケージの中にリスが放し飼いになってるのだ。リスが放し飼いになってるところに人が入り込むのである。そして中のリスは人を怖がらないので、こんなこともおきる。
この突然リスに登られてしまった子、びっくりして飛び上がるでも逃げるでもなく、必死にレンズを向けようとしてるところが立派すぎ。でもリスに指をかまれたらとっても痛いので気をつけること。わたしは以前、町田リス園でリスを撮ってて、ちょっと油断してたらガブリとやられました。
そんなところなので、至近距離をリスが走り回ってるのだ。望遠レンズがなくても撮れるのだ。これが楽しい。それにケージに邪魔されることもなくきれいに撮れる。
楽しいのだけど、難しい。リスときたら、動きがちょこまかと超高速な上に、猿以上に次の動きが予測不能なのだ。わたしの動体視力では無理、って感じ。だからこそついつい長居しちゃうのだね。
リスの動きはどのくらい速いか。1/1000秒でこれである。
超高速回転。
ただ、被写体ブレって一概に悪じゃない。ブレずに止まっているべきところはぴたりと止まり、ブレてていいところはほどよくブレているというのが理想的だったりする。ややこしいけど。
たとえば、リスがクルミの殻をかじってるとき、完全に止まっているよりは、クルミやクルミを持つ手だけがちょっとブレて写ってる方が動きが出る。
望遠レンズで遠くからそっと狙ってみた。
こうしてみると、1/500秒で撮ったものの方が手がブレてる分、臨場感がありません? ちなみにこの後、他のリスが邪魔しに来たので、このリスはクルミをくわえて別の場所に移動したのでした。その瞬間の顔があまりにおかしかったので、のせちゃいます。
リスはクルミのカラをかじるって開くというけど、実際にどんな風にかじってるのか。それは撮ってみたら一発で分かる。
きれいに、前歯の幅だけカラが削られてるのが分かるのだ。クルミのカラってけっこう分厚いから、たぶん、時間をかけてこうして削っていって、パカンと外れるのを待つんだろう。
このように止まって何かをかじっているところを狙うのもいいが、それではワンパターンになるので、ある程度動きを予測しつついろんなシーンを狙ってみるべし。猿もそうだったけど、1匹より2匹。絡み合ったり対面したり、そんな瞬間が狙い目。
エサ台に上ったら先客がいて、「お、すまんすまん」って感じの図。2匹いると物語性が出てくるってもんです。
曇天っぽい写真が続いたので、最後は陽射しが出たときのものを。
やっぱ陽射しはあった方がいい。背景に日が差していると明るく爽やかくっきりと、となる。髭に陽射しが反射したりするとよりきれいに撮れる。その上、近づいても逃げない場所にいてくれたら最高である。
リスの顔はかなり立体的なので、正面から撮るときはピントのヤマをどこに持ってくるかが大事。「顔にピント」とばかり考えてると、鼻先にあっちゃう。
それはそれで口元がよく見えていいのだが、目にピントを合わせた方がいい。
やはり生きもの(人間を含む)を撮るときは目にピントが基本だね。
そんなわけで、珍しい動物がいるでかい動物園もいいけど、猿やリスといったお馴染みの動物とのんびり戯れるのもよいものだと思うですよ。じっくり観察してる方がいろんな発見があって楽しいし。
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