今日から始めるミラーレス一眼(3)――「おまかせオート」を見比べる(2/2 ページ)
被写体や状況を認識してカメラが自動的に設定を行う、いわゆる「おまかせオート」は標準的な撮影機能となりました。今回は、身近な被写体でこの機能がどのように働くかチェックしてみました。
テスト1 色味と露出
それぞれの設定が終わってところでさっそく撮影をしてみましょう。まずは、強烈な影が出るほどに日差しが強く、さまざまな色がある花壇で、露出と色合いをチェックしました。
大理石のグレーや花壇の赤、薄紫、オレンジ、黄色など、さまざまな色のあるこのシーンでは、カメラは明るさをどのように合わせて、どのような色合いに設定したのかが分かります。
全体的に暗めに写ったのがNEX-F3とDMC-GF5ですが、黄色や白の明るい部分の階調が残っており写真素材としても使える安定感があります。色合いはNEX-F3が暖色系となっており、花を主題としてみると暖かみがあり見た目の印象は悪くありません。
一番明るく写ったのがPENTAX Q、次いでNikon 1 J1です。PENTAX Qは黄色の明るい部分が白飛びするなど、オーバー気味の露出となりました。やや寒色系の色となっていますが、5機種のなかで一番薄紫の発色がきれいです。
Nikon 1 J1は全体的に明るめですが、黄色や白の階調がなんとか残る範囲に収まっています。E-PL3は、コントラストが高めで白の階調がなくなっていますが、見た目の印象はこれぐらいのまぶしい日差しに近かった記憶があります。
テスト2 白いものを撮る
先のテストと同様に、NEX-F3とDMC-GF5、E-PL3が暗めで、Nikon 1 J1とPENTAX Qが明るめの露出となりました。見た目の明るさに近いのはPENTAX Qです。PENTAX Qは、一番明るく写っているにも関わらずハイライト部分の階調が残っており、コントラストを上手くコントロールしているようです。発色に関しては今回も寒色系の色となっています。
次に明るく写ったNikon 1 J1ですが、ハイライトの階調の粘りが足りないようです。左端に見える緑が明るく写っており、さわやかに見えます。NEX-F3とDMC-GF5、そしてE-PL3は、やや暗めの露出と全体的にマゼンタがかった色合いとなりました。空の色にPENTAX QやNikon 1 J1のような爽やかさが欲しいところです。
テスト3:青空は綺麗に撮れるか
このテストでは、E-PL3とNEX-F3の空の色が、まさに「風景モード」らしい濃いめの発色となっています。おまかせオートでこの色合いが出るのであれば風景写真の撮影が楽しくなると思います。DMC-GF5とNikon 1 J1、PENTAX Qは露出が明るめで、ややマゼンタがかった色合いとなりました。この3機種の中でNikon 1 J1のマゼンタが弱く、さわやかさを感じました。
テスト1に関しては、色には好みというものがありますので、どれが正解ということはありませんが、明るく写るカメラと暗く写るカメラがあると言うことが分かりました。テスト2では、それぞれの露出プログラムのクセを見ることができました。Nikon 1 J1とPENTAX Qは、基本的に中間調が持ち上がったような明るく写る傾向があるようです。ホワイトバランスを含めた色の違いも表れています。
テスト3は、おまかせオート「風景」がどのように絵作りするかを見ることできます。E-PL3は、テスト1とテスト2ではややマゼンタがかったような発色の傾向がありましたが、テスト3に関しては青に軸を置いた補正が掛かり、シーンに合わせて絵作りをしていることがわかります。
つまり「シーン認識をする」と一口に言っても、カメラごとにクセがあることが分かりました。これを踏まえて、次回はおまかせオートによる逆光補正や人物撮影をチェックしてみたいと思います。
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