EXILIM10周年、キーマンに聞くコンパクトデジカメの今後(2/2 ページ)
カシオ計算機のデジカメブランド「EXILIM」が10周年を迎えた。コンパクトデジカメといえば一部の高級志向製品を除いてスマホとの競争にさらされ、その行く先を悲観する声もあるが、QV-10よりカメラ事業に携わるキーマンの表情は明るい。
――コンパクトデジカメはこれまで、高画素化、レンズの広角化、手ブレ補正の搭載、ハイビジョン動画撮影への対応など、さまざまなトレンドを経てきました。今後やってくるトレンドにはどのようなものがあると予想されますか。また、ミラーレスタイプのカメラに対してはどのように思われますか。
中山氏: コンパクトデジカメでもこれからはレンズの明るさやセンサーのサイズなどが重視され、いままで高級コンパクトといわれていた製品の備えるスペックが一般的になるのではと思います。近年大きな躍進を遂げたミラーレスタイプですが、ジャンルとしての成長はそう継続しないのではないでしょうか。デジタルで写真を撮るツールとしては、スマートフォン/コンパクトデジカメ/デジタル一眼レフという3カテゴリへ集約されていくような気がします。
――携帯電話にカメラが搭載されたころ、コンパクトデジカメがピンチになると言われ、いまではスマートフォンの普及で写真加工までも携帯電話で容易に行えるようになりました。そうした状況に危機感は。
中山氏: 携帯電話にカメラが搭載されてきたころ、ウエアラブルカメラという概念は携帯電話が担うことになるという気がしました。ですが、同時に携帯電話のカメラ機能がコンパクトデジカメの撮影機能へ追いつくまでにはまだまだ時間がかかるとも思いました。ですから「デジタルで写真を撮ると」いう文化が根付いてくれれば、そうしたユーザーがデジタルカメラを手にしてくれると考えました。ただ、スマートフォンが急速に普及する昨今、スマホアプリによる画像処理がここまで普及するとは想像していませんでしたね。
スマートフォンでできることの範囲は広がっていますが、基本的なカメラ性能については差別化できると思うので、旅行などイベントにはカメラを持っていくという需要はなくならないと思います。つまり、コンパクトデジカメは、高機能・高性能・スモールサイズのバランスをとる方向に進化していくのではと思います。私どもにとって、その基盤となる技術が構想処理可能な画像処理エンジンを核にしたハイスピード技術です。
――高速処理可能な画像処理エンジン「EXILIMエンジン HS」を中核とした技術の総称として「ハイスピード」という言葉を使っていますが、これは連写が速いだけと受け止められてしまいませんか。
中山氏: 「ハイスピード」という言葉でコミュニケーションしていくかという議論はもちろんありました。ですが、いまは技術、概念のひとつとして訴求するようにしていますし、「ハイスピードはカシオ」と言い続けているという事実もあります。カシオとしてデジタル技術で「何ができるか」を伝えていくことが大切だと思っています。
10周年を迎えたEXILIMの最新モデル「EX-ZR300」
「EX-ZR300」は高倍率ズームレンズを搭載した最上位機種で、高速連写と重ね合わせ処理でISO12800レベルの高感度撮影を行う「HSナイトショット」や個性的な写真を手軽に撮れる「アートショット」など同社の誇るハイスピード技術を利用した機能を多数搭載する。ハードウェア的には既存「EX-ZR200」とほぼ同じだが、複数光源下での自然な肌色再現を行うべく、ソフト面での改良も施されている。また、ホワイトバランス検出の精度も向上している。
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