「FUJIFILM X10」第5回――機能アップの新ファームウェアを試用する:長期試用リポート
「FUJIFILM X10」に適用することで、デジタルフィルターとクイックメニューが利用できる機能拡張ファームウェアを導入した。娯楽性と操作性が向上するが、注意点もある。
レンズ交換式の「FUJIFILM X-E1」が発表され、海外ではよりスリムさを強調したプレミアムコンパクト「FUJIFILM XF-1」も発表されるなど拡張を続けるFUJIFILM Xシリーズだが、X10にも機能拡張ファームウェアが10月5日より提供開始された。長期試用リポートの第5回はこちらの導入記である。
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- レビュー:アナログとデジタルの融合したプレミアムコンパクト――「FUJIFILM X10」
新たに提供開始されたファームウェアのバージョンナンバーは「2.00」で、これまでのファームアップのように不具合対応や調整は含まれておらず、純粋に機能拡張ファームウェアとなる。後述するが一部については「拡張」ではなく「変更」となるカ所もある。
ではそのファームウェア2.00だが、機能拡張が行われるのは2カ所でひとつはデジタルフィルター機能「アドバンストフィルター」の追加、もうひとつが「RAW」ボタンの「Q(クイック)メニュー」化だ。
X10には同社銀塩フィルムの名称を冠した「PROVIA」「Velvia」「ASTIA」などのフィルムシミュレーションを備えている。ただ、フィルムシミュレーションの名前通り、基本的には銀塩フィルムのニュアンスを再現するもので、「トイカメラ」や「ミニチュア」など派手目な効果は用意されていなかった。これがファームウェア2.00の適用によって「アドバンストフィルター」から利用できる。
用意されているのはポップカラー、ハイキー、トイカメラ、ミニチュア、ダイナミックトーン、パートカラー(赤/橙/黄/緑/青/紫)の6種類11パターンで、利用に際しては撮影モードダイヤルの「Adv」から選択する。いずれのフィルターも常時効果を確認しながらの適用が可能だが、撮影はフルオートとなり基本的に露出補正以外の調整は行えなくなる(画像サイズや画質モードなどは変更可能)。
その効果は文字通りで、フィルムシミュレーションよりもハッキリとした分かりやすいものとなっている。フィルムシミュレーションで微妙なニュアンスの違いを楽しむのもいいが、ハッキリクッキリのエフェクトが欲しいというときにはこちらを利用することになるだろう。
もうひとつの「Q」メニューの導入は、行うことで操作性が変わる。これまで「RAW」ボタンにはRAW撮影/現像と、Fnボタンの機能割り当てを行えたが、新ファームウェアを適用することでISO感度やホワイトバランス、AFモード、フィルムシミュレーション、画像サイズ、セルフタイマー、液晶輝度など15の撮影設定へワンプッシュでアクセスできる。十時キーで変更したい値へカーソルを合わせ、背面電子ダイヤル(コマンドダイヤル)を回すと値が変更される。
ファームウェア2.00を導入すると、RAWボタンを押すことで「Q(クイック)」メニューが表示される。15の設定項目へ素早くアクセスできる(同社最上位モデル「X-Pro1」にも同様のUIが導入されている)が、RAW/JPEG撮影の切り替えはこちらからできなくなるので要注意
ただ、RAW/JEGP記録の切り替えはこのQメニューからは行えず、セットアップメニューからたどる事になってしまう。ISO感度やメニュー画面の2画面目に入っているハイライト/シャドートーンなどの調整がより素早く行えるので、利便性が向上すると感じる人は多いと思われるが、RAW/JEGP撮影を頻繁に行うスタイルの人にとっては歓迎できないかもしれない。自分の撮影スタイルに合わせて導入するかしないかを判断して欲しい。
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