さらに進化した“サクサク感” カシオ「EX-ZR1000」(2/2 ページ)
ブランド10周年を迎えた“EXILIM”の最上位モデル「EX-ZR1000」を試用した。定評ある“サクサク感”を継承しながら、自分撮り液晶などのギミックも多く、楽しめるカメラだ。
撮像素子は1/2.3型 有効1610万画素CMOSセンサーで、レンズには35ミリ換算24〜300ミリ相当の光学12.5倍ズームレンズを組み合わせる。この組み合わせはEX-ZR300と同様だが、画像処理エンジンがより処理速度の向上した「EXILIM エンジン HS3」となっている。公称値では起動時間0.99秒、レリーズタイムラグ0.016秒、AF合焦時間0.15秒、撮影間隔0.26秒をうたっており、実際にカメラを手にしても起動から終了まで、その軽快さは持続する。
特にAF合焦速度は非常に高速で、一般的なスナップならばシャッターボタンの半押しを意識させないほど、連続してシャッターを切れる。望遠端でもそれなりに速度は保たれており、ピント合わせにストレスを感じることはない。常に動きのある、子どもや動物といった被写体についても、液晶が可動するのでカメラをウエストレベルに構えることで快適に撮影が楽しめる。
また、ベストショットに用意されている「スナップ撮影」ならば、利用出来る焦点距離が24ミリ〜50ミリ相当の範囲に限定され、ピントは固定されるかわりに、半押しだけでシャッターが切れるため、撮影テンポはさらに上げられる。
HDR撮影やHDRアート、手持ち夜景など連写合成系の撮影機能も相変わらず豊富。HDRアートは1シャッターで適用/非適用の2枚を保存でき、また、解像感を高めた設定「エクストラ」も新たに用意された。HDRアートの効果は3段階、エクストラにも2段階の効果調整が可能で、この調整はファンクションリングからも行える。ただ、HDRアートに限らず、連写合成系の撮影機能は本体での処理とカードへの記録に若干の時間がかかり、通常撮影時ほどの連続撮影は行えない。
ただ、EX-ZR200/300ではできなかった、アートショット、いわゆるデジタルフィルターのライブビュー画面反映が可能となっており、小さいところかもしれないが、既存モデルからの改良が行われているところには好感が持てる。ただ、アートショットの種類選択画面はライブビュー画面とのオーバーレイになっておらず、効果の種類を切り替える際には種類選択画面に戻る必要がある。効果の強弱はファンクションリングから行えるが、種類の切り替えもファンクションリングに割り当て可能ならば、より利便性が高かったように感じる。
RAW(DNG形式)での撮影にも対応する。RAW撮影は画像サイズなどを指定する設定メニューからの設定ではなく、ベストショットの「RAW+」を選択するのにはやや戸惑ったが、RAW撮影を念頭に据えるモデルではなく、あくまでも撮影オプションのひとつとしてRAW撮影をとらえるならばこうした考え方もアリだろう。なお、RAW撮影時にも処理速度は高速で、カードへの書き込み中(ランプ点滅中)でも、次々にシャッターを切れる。これは快適だ。
EX-ZR1000は最上位機らしく、「HI-SPEED EXILIM」シリーズ製品が搭載するさまざまな撮影機能をほぼすべて搭載しつつ、なおかつ、操作に対する反応は非常に機敏であり、利用していてストレスを感じることはない。加えて、バッテリーの保ちも非常によく(CIPA基準で撮影可能枚数は約470枚)、軽快さとバッテリーライフにこだわるEXILIMらしい製品だといえる。
欲を言えば、チルト式液晶の搭載で厚みを増してしまったボディはもう少しスリムな方がありがたい。12.5倍の高倍率ズームレンズにチルト液晶を搭載してこの厚み(36.7ミリ、突起部のぞくでは28ミリ)は開発陣が相当な努力を重ねたと推測できるが、動作の軽快さとボディの大きさは、アンバランスであるように感じてしまう。
ただしEX-ZR1000の高速なAFとチルト式液晶は相性がいい。カメラを眼前に構えずとも、素早く写真が撮れる快適さは一度味わうとなかなか抜け出せない魅力があることも確かなので、チルト液晶や各種の撮影機能を踏襲しながら、光学8倍ズーム機「EX-ZR20」と同様のボディサイズとしたモデルの登場を期待したいところだ。
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