進化し続ける“5”は「未来に生きるカメラ」へ ソニー「NEX-5R」(3/5 ページ)
ソニーのNEXがまた進化した。シリーズメイン機と呼べる「5」は3代目の「5R」となり、像面位相差AFやアプリ追加など先進的な強化が施された。今一番、「未来を生きている」ミラーレス一眼と言えよう。
Wi-Fiを使ったカメラアプリ機能で新世代カメラへ
最後にNEX-5Rでもっとも面白い機能を紹介するのだ。
NEX-5RはWi-Fiを搭載。スマホ(iOSもAndroidも可)用アプリ「PlayMemories Mobile」を使って写真をスマホに転送することができる。カメラ側で1枚だけ選んでもいいし、スマホ側にサムネイルを表示して転送する写真を選んでもいい。
それだけなら普通だが、さらにカメラアプリ機能が追加されたのだ。Wi-Fiを使ってアクセスポイント経由でインターネットにつなぐと、専用サーバからNEX用のカメラアプリをダウンロードできるのである(パソコン上で落としてからUSBで転送してもいい)。
メインメニューから「アプリケーション」を選ぶと、サーバー上のアプリを選んでインストール(有料の場合は購入)したり、インストールしたアプリを使える。スマホでアプリを購入する感覚と同じだ。
今(11月20日時点)のところ用意されているアプリのパターンは3つ。
ひとつはWi-Fiをより活用するもので、スマホをワイヤレスリモコンにする「スマートリモコン」(無料)や撮った写真をWi-Fi経由でアップロードできる「ダイレクトアップロード」(無料)。
アップロード時のテキスト入力に欠かせない日本語入力キーボード(POBox)も予定されているが配信日は未定(無料)。タッチパネルにて文字入力できるので、けっこう使えそうだ。
2番目は撮った写真を加工するアプリ。今のところトリミングしたり傾きを調整したり露出やコントラストをいじったりと基本的なレタッチを行える「フォトレタッチ」(無料)だけだが、このジャンルはもっと派手なフィルタや加工ができるアプリがどんどん出てきて欲しいところだ。
3番目は撮影機能を追加するもの。これが一番豊富。ピクチャーエフェクトを拡張する「ピクチャーエフェクト+」(無料)、各種ブラケット撮影ができる「ブラケットPro」(500円)、連写+合成でノイズを減らす「マルチショットNR」(500円)、タイムラプス撮影が可能な「タイムラプス」(価格・配信日未定)、動画と静止画を組み合わせた「シネマフォト」(価格・配信日未定)などがある。
αシリーズでは標準機能となっている「マルチショットNR」が有料だったり、同等機能を標準搭載してるカメラもある「ブラケットPro」が有料だったりと若干引っかかるところはあるが、カメラがアプリで進化するという今の時代に合わせた新機能はアグレッシブで評価したい。基本的なアプリの次には、スマホに負けないくらいユニークで常識にとらわれないアプリをどんどん出してもらいたい。そうすれば、NEXはどんどん唯一無二のカメラに進化していって面白くなるはずだ。
アプリを使うときは、メニューの「アプリケーション」から使いたいアプリを選び、アプリの利用から普通の撮影に戻る時はボタンを押してアプリモードから抜ける必要があるのだが、例えば撮影モードの中に「アプリモード」をいれてすぐアプリを呼び出せる(シーンモードからシーンを選ぶ感じでアプリを選べる感じ)など、ダウンロードしたアプリが既存機能と上手に一体化するデザインになるともっといいと思う。
とまあ、アプリ対応カメラなんてもの自体がはじめての試みで、まだ荒削りのところはあるけど、NEXがカメラのひとつの進化形を目指しているのは確かだ。
特にスマホなどカメラ搭載デジタルガジェットとカメラの境界線がどんどん溶けている今、Wi-Fiを備え、アプリを追加でき、microUSB端子を使ってUSB充電できるのは搭載してしかるべき機能ともいえるわけで、そんな現代にいちはやく対応したのは高く評価したい。
初代でボディを既存カメラのカテゴリから進化させ、3代目で中味を進化させたNEXは今一番「未来を生きている」ミラーレス一眼なのだ。この先もこの路線でガンガン攻めて欲しいと思う。そのアグレッシブさがNEXの一番いいところであり、面白いところなのだ。その上APS-Cサイズのセンサーを採用してて映りもいいというのだから、新時代のデジカメとしてたまらん存在である。
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