“触れれば分かる”高級コンパクト、オリンパス「XZ-2」その魅力(2/2 ページ)
明るいレンズとコンパクトデジカメとは思えない画質で世間を驚かせた「XZ-1」に続く、新モデル“STYLUS”「XZ-2」。どのようなコンセプトで登場したのか、詳細をオリンパスに聞いた。
操作系の質感と画質 XZ-2のコダワリ
━━XZ-1とXZ-2では、撮像素子を初めとした内部がかなり違いますが、一番苦労された部分とかどういったところでしょうか?
吉田氏: ひとつは操作系の質感を出すこと、もうひとつは、新しい撮像素子を採用した事による絵作りですね。「i.ZUIKO DIGITAL」レンズの良さは分かっていますから、レンズに負けないよう、画質を作り込んでいくことに時間を費やしました。
(カットモデルを見ながら)こうやって見ると、XZ-2のかなりの部分をレンズが占めていることが分かると思います。最近は明るいレンズを搭載した製品が増えましたが、レンズの大きさを確保しないと、テレ側で解像感が大きく落ち込むなど、どこかに無理が出るものです。
XZ-2が搭載する「i.ZUIKO DIGITAL」レンズは、DSA(大偏肉両面非球面)レンズやEDA(特殊低分散非球面)レンズなど特殊なレンズを多く使っており、とあるレンズは工場から「こんなの作れるか!」と怒鳴られたこともありました(笑)
鳥居氏(広報担当): B0版やA3版でプリントした作品を見ていただいたこともあるのですが、ここまでできるのですかとお褒めいただきました。画質に対しては絶対の自信を持っています。PENユーザーが「こんなに写ると困る!」という声もありましたね(笑)
(一同爆笑)
━━XZ-2開発にあたって、センサーサイズを変更するという選択肢もあったかと思うのですが、なぜ、XZ-1と同じ1/1.7型を採用したのでしょうか。
吉田氏: まず前提として、同様の光学性能を出すためには、センサーサイズを大きくすると、その分だけレンズユニットは大きくなります。レンズユニットの大きさを維持するためには、デジタルでの画像処理やテレ側を暗くするといった対処方法がありますが、やはり光学メーカーとしてちゃんとしたレンズを載せたカメラを作ろうとなると、この1/1.7型というのがバランスの取れた大きさだという判断です。
━━レンズ一体型はどうバランスを取るかが設計段階での課題になると思いますが、製品の性格を考えると、このレンズとセンサーを組み合わせようというのは割と早い段階で決まったのでしょうか。
吉田氏: XZ-2の企画をスタートした早い段階で、それは決まりました。もちろん、ほかの光学系とかセンサーサイズも検討しましたが、このレンズはお客様から好評を得ていましたのでこれを使おうと。
━━iHSテクノロジー(同社デジタル一眼用画像処理エンジン「TurePic」と高感度CMOSセンサーの組み合わせを指す)がXZ-2にも搭載されていますが、これを搭載したことで得られるメリットはなんでしょう。
吉田氏: いくつかありますが、まずはレスポンス性の向上が挙げられますね。撮りたいと思った時にすぐ撮れる機敏さと短い撮影間隔、高速なAFスピードは確保されていないとストレスになりますしね。
iHSによって全体の速度を高めるというアプローチは弊社コンパクトデジカメ全般で行われていますが、ただ速ければいいというものではありませんので、全体のバランスを取りながらのチューニングを施しています。AFが合ったフリして実際には合ってないというのは困りますので(笑)
━━最新の画像処理エンジンである「TruePic VI」を搭載することでAFの精度向上も図られたと言うことでしょうか。
吉田氏: OM-D、E-P3で培った技術をそのまま移植していくという形で進めてきました。
吉田氏: 最近はスマートフォンのカメラ機能も進歩してきましたが、やはりきちんとしたカメラで撮ると言うことには違った価値があると思います。そうした“カメラ”というジャンルの中で比べてみても、XZ-2は画質・機能面で優れ、さらにアートフィルターによる個性的な表現能力を持ちます。モノとしての価値を高めた作りの良さもありますので、持って自慢したくなる存在ではないかと思います。
同社コンパクトデジカメのフラグシップモデルであるXZ-2は、XZ-1で培われたノウハウを元にユーザーからの要望をふんだんに取り入れ、さらなる進化を遂げた。特に操作面に関しては随所に工夫が見られ、XZシリーズに期待するユーザーへの開発陣からの回答がそこには示されている。試作を繰り返して作り上げられたデザインや質感からも、「最上のモノを持つ喜びを味わえるように」というカメラメーカーとしてのプライドが感じられる。
インタビュー中にも吉田氏が何度も言われていたが、「触れば必ずその良さが分かるカメラ」というのがXZ-2を言い表していると思う。興味を持たれたら、一度は店頭やショールームで触ってもらいたいカメラである。
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