第162回 桜花と風景と陰影とマクロの関係:今日から始めるデジカメ撮影術(3/3 ページ)
寒さがゆるんでくると待ち遠しいのが桜の開花。今回は、桜花と都市の景観、桜花と陰影、桜花とマクロ、3テーマでお送りします。
桜の花びらをマクロで撮る
桜のアップ系写真が続いたところで、さらに推し進めてマクロである。マクロレンズを使って桜の花びらにギリギリまで寄って撮ってみるべし。いい感じに光が当たってるきれいな花びらを見つけたら、ぐぐっと寄って撮る。
マクロ撮影の敵は2つ。ひとつは風、ひとつは手ブレ。
写真って、被写体との距離が近づけば近づくほど、被写界深度が浅くなる(=ピントの合う範囲が狭くなる)のだ。レンズの焦点距離や絞り値も影響してくるのでひとことではいえないけど、設定によってはピントの合う範囲が前後数ミリくらい。ピントが合ってから撮影するまでのわずかな間にちょっと風が吹いて花びらが動いちゃうとピントが派手にズレるのだ。
どちらも同じところにピントを合わせて撮ってるのだが、ちょっと風が吹いただけで1枚目の方は後ろの花びらにピントがあっちゃってる。2枚目の方は狙い通り。
カメラを持つ手が微妙に動いてピントがズレるのは三脚を使ったりすればなんとかなるが、風はなんともしょうがない。春の嵐が吹き荒れる日は諦める。でなければ、じーっと風が止まる瞬間を待つ、あるいは大量に連写しておく。
いずれにせよ、1枚撮ってOKってしないで何枚も撮ったり、その場で拡大表示してチェックすること。ピントは中央のめしべ、あるいは手前側のおしべを中心に考えるといい。
ちなみに、上の2枚はわざと暗い背景で淡い色の花を撮ってるので、-1.3の補正をかけております。おしべだけじゃなくて、もうちょっと広い範囲にピントを合わせてしゃきっとさせたい、というときは絞る。絞り優先AEにして思い切り絞る。
F6とF13で撮り比べてみた。
上の2枚はマイクロフォーサーズ機で撮ったので、APS-Cサイズの一眼レフになるともうちょっと大きくぼけるのでそれも考慮したい。
花をほわっと撮りたいときは絞りを開いて撮りたいところ以外はボカし、しゃきっと撮りたいときはギリギリまで絞って広い範囲にピントを合わせる。
その使い分けが大事。ただ、絞りを開くとちょっとした揺れでピントがズレるのでたくさん撮っておくこと。絞ったときはその分シャッタースピードが遅くなるので、手ブレ被写体ブレに注意すること。難しいときはISO感度を少し上げる。
あとは明るさ。
きりっとした感じで撮りたい時、または花びらに光が当たっている順光あるいはそれに近い状態なら暗めの背景で撮る。自分やカメラの影が花びらに落ちないよう注意して。
ほわっと撮りたい時、曇天下や逆光気味の時は、絞りは開いて思い切りプラスの補正をかけて撮る。
そんなわけで、遠くから望遠で狙ったり近くから広角で狙ったりマクロでぐぐっと寄ったりといろんな桜をお楽しみください。
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