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統合機でありフラッグシップ機――オリンパスに聞く「OM-D E-M1」E-5後継はなぜミラーレスなのか、ZUIKOレンズの今後は(1/2 ページ)

オリンパス「OLYMPUS OM-D E-M1」は“統合”のキーワードを掲げて登場するフラグシップであり、同社の大きな方針転換を示す1台でもある。同社開発本部長の要職にある杉田氏に話を聞いた。

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 オリンパス「OLYMPUS OM-D E-M1」は“統合”のキーワードを掲げて登場する、同社ハイエンド機だ。同社はこれまで一眼レフ「E-System」とミラーレス「PEN」「OM-D」と、3ラインでレンズ交換式デジタルカメラを投入してきたが、投入される新製品は複数存在するラインの頂点に立つモデルと位置づけられている。

 大きな役割を持って登場する新製品について、また、同社レンズ交換式デジタルカメラの今後について、オリンパスイメージング開発本部長の杉田幸彦氏に話を聞いた。

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「OLYMPUS OM-D E-M1」

フラグシップ機であり、新たな課題の解決を提示するOM-D E-M1

杉田氏: OM-D E-M1の開発を進めるにあたって念頭にあったのが、「フラグシップ機を作ること」です。小型で持ち歩けて、高画質。そして防じん防滴性。オリンパスのフラグシップ機はこの要件を満たすことを条件とします。

 これまでのフラグシップであるE-5の後継をどうするかの検討を進める上で、フォーサーズ規格のレンズをマイクロフォーサーズのボディにつけた際、レンズ性能を最大限に引き出すことができないという課題にも同時に取り組んでいました。その課題への挑戦を進めてきた結果、フラグシップ機としてのOM-D E-M1が誕生することとなったのです。

――2013年のCP+開幕時に行ったプレゼンテーションでは、次世代技術の投入によって「NEXT E」「NEXT OM-D」「NEXT PEN」を作り出すとしていました。正直、E-Systemの次世代機が統合機として登場したことは驚きでした。

杉田氏: 2010年ごろからE-5の後継をどうするかという検討に入っていましたし、そこではさまざまな可能性を検討しました。ですが、フラグシップたる3要件「小型軽量」「高画質」「防じん防滴」を満たしつつ、フォーサーズ規格レンズの能力を引き出すことまで考えた結果、OM-D E-M1の形となったのです。

 統合機という結論に至るには、フォーサーズ/マイクロフォーサーズを問わずに性能を引き出す「DUAL FAST AF」技術の確立、それに高性能EVFをフラッグ機としてのレベルに引き上げることにメドがついたことが大きな要因として挙げられます。フラグシップを作るという目標に「統合」という要素が加わったのは、こうした技術の進歩があったことがその要因です。

 ファインダーには本当にこだわりました。大きくて見やすく、プロの要求に応えるファインダーを小型機に搭載することは本当に困難で、その両立が難しかったことも、EVFの採用、ひいてはミラーレス機をフラグシップ機とすることにもつながっています。

 言い方を変えての繰り返しになりますが、フラグシップ機がミラーのある一眼レフである必要はないのです。ミラーのあるフラグシップ機とミラーレスのフラグシップ機、ふたつのフラグシップ機を出すという判断もあり得たかもしれませんが、ひとつに集中した方がよい結果を生むだろうと考えました。

 OM-D E-M1の投入で、ファインダーをのぞいてみるスタイルがOM-D、カジュアルに撮るのはPENという提案になります。弊社ではPENの投入でカメラ市場に女性や若年層を取り込めたと自負していますし、今後もその取り組みは継続します。加えて、ファインダーをのぞいて撮影する、より本格的な指向を持った層も、OM-Dで取り込んでいきたいと考えています。そのため、OM-Dがさらなるシリーズ展開をしていくことが必要になると思っています。

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オリンパスイメージング開発本部長の杉田幸彦氏
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