「FUJIFILM X-M1」第3回――旅カメラとしてX-M1を試用する:長期試用リポート
レンズ交換式FUJIFILM Xシリーズでは最も小型軽量なFUJIFILM X-M1だが、実際に1泊旅行に持ち出すとその使い勝手はどうなのか。
FUJIFILM X-M1の特徴はいくつか挙げられるが、そのひとつが上位機のX-Pro1やX-E1と同じX-Trans CMOSセンサーを搭載しながら、シリーズ中で最も小型軽量であることだろう。撮影目的でカメラを持ち出すならばとにかく、旅行に持っていくとなると重量はできる限り抑えたいし、サイズも可能な限り押さえたい。荷物を減らしたいのだから、できれば充電器を持っていくのも避けたい。そんなことを考えながら、一泊の旅行にX-M1を持ち出した。
結論から言えば、一泊とはいえ荷物を持ちながらの電車移動であったため、X-M1の軽さと小ささはありがたかった。普段はX-E1にXF35mmF1.4 Rを組み合わせているが、この組み合わせの重量は350グラム(ボディ)+187グラム(レンズ)の537グラム。X-M1にズームレンズ「XC16-50mmF3.5-5.6 OIS」を組み合わせると、330グラム(ボディ)+195グラム(レンズ)の525グラム。
重さでいえばほぼ同じだが、ボディサイズは一回り小さく、それでいてレンズはズームレンズ。旅行という状況においての取り回しはX-M1の方が軽快だ。ちなみにX-M1にXF27mmF2.8を組み合わせると330グラム(ボディ)+78グラム(レンズ)で408グラム。100グラムの差はわずかに思えるが、半日でも携行すれば明らかにカラダへの負担は変わってくるだろう。
キット設定のあるXF27mmF2.8かXC16-50mmF3.5-5.6 OIS、どちらのレンズを常用するかは撮影者の好みだが、個人的には“撮影旅行ではなく、旅行で使うカメラ”であることを重視するならば利便性の高いズームレンズを勧めたい。撮りたい物まで寄れない状況も多く発生するからだ。
X-E1やX-Pro1とは異なり、ダイヤルやボタン類をすべてカメラの右側に配置されているのもX-M1の特徴だが、こちらも旅先での使用には思いのほか便利に感じる機会が多かった。特にAFポイントやドライブ設定が右手でカメラをホールドしたまま利用できる(X-E1も最新ファームウェアの適用でほぼ同様のスタイルに変更できるが)のは非常に便利。チルト液晶が撮影の自由度を高めてくれることはいうまでもないだろう。
X-M1の撮影可能枚数(公称値)はXF35mmF1.4 R 使用時で約350枚。今回は1泊2日の間では約270枚を撮影し、バッテリー切れを起こすことはなかった。撮影枚数が公称値以下であったこと、バッテリーがほぼ新品であったことを勘案しても、かなり長い間電源スイッチをONに入れたままで携行し、必要に応じてスリープから復帰させつつの撮影であることを考えれば十分なスタミナ性能といえるだろう。
旅先ではなにより軽さに起因する携行性がありがたく、得られた画質にも満足できるのだが、今回のように好天であるとやはりファインダーが欲しくなる。背面液晶の視認性が悪いわけでないのだが、直射日光が厳しい野外だと反射による影響は避けられず、ピントや適正露出であるかどうかの判断も難しくなる。この部分を解消したいならば、ファインダー搭載のX-Pro1ないしX-E1を選択することになる。
X-E1/X-Pro1ユーザからすれば、利用頻度の低い機能であるように思えるフルオートの撮影モードも、旅行で使うカメラであることを重視するとその価値は高いものとなる。今回のような使い方では、旅行というイベントの瞬間を残す役目が第一であるので、顔検出やシーンモードなどといった、カメラ任せにできる機能がありがたい。
FUJIFILM X-Pro1、X-E1、X-M1はいずれも同一のセンサーとマウントを採用する兄弟機だが、一泊旅行を通じて感じたのは、撮影がメインならばX-E1/X-Po1、旅行がメインならばX-M1という使い分けでの共存が可能だということ。その逆として使うことももちろん問題ないのだが、軽快さを重視するならばシリーズ中でX-M1を第一の選択肢としたい。
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