Lightroomでクリエイティブな写真編集――Adobeのエバンジェリストが教えるテクニック(2/2 ページ)
米アドビシステムズでシニアエバンジェリストとして活動するJulieanne Kost(ジュリアン・コスト)氏が来日した。Lightroomのメリットと使いこなしについて話を聞く機会を得たので、お届けする。
コスト氏の写真補正と管理テクニック
コスト氏はどのようにLightroomを活用しているのだろうか。コスト氏は大前提として撮影の際に極力、露出ブラケットを使って複数の写真を同時に撮影しているという。「本当は露出を変えて7コマ撮影したいが、長くなってしまうので3コマのことも多い」そうで、特にコントラスト差が激しいシーンではブラケット撮影を多用するという。
その後は、Photoshopの機能を使ってHDR合成するが、「HDRにしなくても、ブラケットで撮ればどれかがシャープに撮れている」という保険の意味もあるようだ。またPhotoshopのHDR合成がここまで強力になると想像できず、「今まで撮ってきたの中で、なぜブラケット撮影をしたなかったのか」という写真があり、いつもブラケット撮影をするようになったという。ただ、むやみにブラケット撮影をするわけではなく、いつブラケット撮影が必要かを吟味しながら撮影しているそうだ。
今回の日本出張のような場合、まず新しいカタログを作成し、カタログも1つのフォルダに保存しておく。撮影後にはLightroomで画像を読み込み、大まかなキーワードを登録。レーティングをしたり、コレクションを作成したりしておく。
自宅には、マスターとなるカタログがあるので、自宅に帰るとそのマスターカタログで「別のカタログから読み込み」の機能を使ってインポートする。これによって旅先で編集した補正などもすべて反映した形でマスターに保存される。「旅先で撮った写真は、自宅に帰ったときにはすべて編集済み、というのが理想的なワークフロー」だという。
Lightroomで補正する場合は、まず「自動補正」を使用して明るさを調整する。ただ、自動補正では「写真が明るくなりすぎる場合がある」ので、ヒストグラムを見ながら、シャドウやハイライトを補正する。続いて、HSLで彩度を調整する。ポイントツールを写真の任意の場所に移動させ、上下に動かすことで、そのポイントの彩度を変更する。
このポイントツールを使うと、複数の色が混在したポイントでも、自動で判断して補正してくれる。コスト氏は、このHSLを使った彩度の調整を好んで行うそうだ。その上で、「より高度なトーンカーブの使い方がある」とコスト氏は明かす。Lightroomのトーンカーブでは、ポイントカーブ機能を使うことで、RGBのチャンネルごとにトーンカーブを操作できるようになる。ここで各チャンネルの色を調整することができる。
だいたいの調整をしたら、「円形フィルタ」や「段階フィルタ」で調整をする。ここで周辺光量やぼかしの設定を行っていく。「アマチュアはグローバルツールに頼りがちだが、プロは円形フィルタや段階フィルタ、補正ブラシといったツールを組み合わせて丁寧に作るのが違いです」
このように細かな仕上がりの調整を、簡単な操作で行えるのがLightroomの大きな魅力となっている。「しかし、それ以上にLightroomは使っていて楽しい。それが一番大きい」とコスト氏は強く強調、Lightroomを使ったクリエイティブな写真の編集の良さ、楽しさをアピールした。
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