カシオの“ある意味、9眼”「EX-10」で遊ぼう(2/2 ページ)
カシオ計算機の“EXILIM”「EX-10」はスペックだけを抜き出せば、いわゆる高級コンパクトに属するが、「こんな写真を撮りたい」と考える撮影者のアシストをデジタル技術で行う製品だ。
搭載する撮像素子は1/1.7型 有効1210万画素 裏面照射型CMOSセンサーで、ここに35ミリ換算28〜112ミリ相当(光学4倍) F1.8-F2.5の明るいレンズを組み合わせる。1/1.7型/有効1210万画素といえば、スペックだけで言えばキヤノンの「PowerShot G16」などと同等で、レンズはオリンパスの「STYLUS XZ-2」と同スペック。描写についてはこれら高級コンパクトに比肩すると考えていい。
ボディは180度上方まで展開するチルト式液晶の搭載もあってか、光学4倍ズームモデルとしてはやや厚め。重さはさほどではないが、レンズ一体型のコンパクトデジカメというよりも、ミラーレスカメラにパンケーキレンズをつけた感じに近いサイズとなっている。レンズバリアは内蔵しないが、自動開閉式のレンズキャップが付属するのでそちらを装着しておけばいい。
大振りなボディではあるが、操作インタフェースはシンプル。上面には撮影モードダイヤルと電源、ズームレバー一体型のシャッターボタン。背面には再生ボタンや録画ボタンが用意されている。鏡胴周りに各種の値を構えたままで操作するコントロールリングが用意されているのも、この価格帯の製品として標準的な装備といえよう。
前面に配置されているボタンはサブシャッターで、単純なシャッターボタンとしてはもちろん、連写やセルフタイマーなどの機能を割り当てることもできる。ただ、割り当て可能なのはシャッターに関する機能のみで、いわゆるマルチ機能ファンクションボタン的には利用できない。
背面液晶は3.5型(92万画素)と大きく、スマートフォンで写真を見るような感覚で撮った写真の閲覧を楽しめる。タッチパネルには非搭載。画面が大きいだけに撮影・再生のいずれにおいてもタッチ操作は有効と思うので、ここはちょっと残念だ。Wi-Fiも搭載しており、アプリ「EXILIM Remote」をインストールしたスマートフォンへの画像転送やリモート撮影に対応している。
撮影機能としては基本的にEXILIMシリーズを踏襲しており、フルオートの「プレミアムオートPRO」は快適に利用でき、デジタルフィルタ(本製品での表記は「アートショット」)の数も多い。新たに搭載したフィルタ「宙玉」では宙に浮かぶ球体に周りを写し込ませたような写真を撮れる。
光学4倍ズームのコンパクトデジカメとしてボディが大柄なのはマイナスと言わざるを得ないが、プレミアムブラケティングは使っていて面白い。ただ、ブラケティングの組み合わせによっては効果の幅がやや地味に感じられるのも事実。もっと派手な効果となるブラケティング設定が用意されていてもよかったように思える。
とはいえ、デジタル処理によるバリエーション増ではなく、あくまでも写真的なニュアンスが異なる写真を撮れることから、写真表現の奥深さを知るきっかけにもなることは間違いない。「シャッター1発で高画質」ではなく、「シャッター1発で好画質」を目指したという、同社の新たな取り組みの今後に期待したいと思わせる製品だ。
関連記事
- カシオ「EX-10」は“好画質”を簡単に撮れるカメラを目指した
カシオ計算機が発表した「EX-10」は、デジタル処理での違いではなく“写真的に異なる”最大9枚を、1ショットで撮影する。狙いは高画質ではなく「好画質」だ。 - 大型センサーにF1.8レンズ、独自のブラケティング機能も搭載した“EXILIM ”「EX-10」
カシオ計算機が“EXILIM”の最上位機「EX-10」を発売する。大型センサーに開放F1.8の明るいレンズを組み合わせ、表現が異なる写真を9枚同時撮影する「プレミアムブラケティング」など独自の撮影機能も搭載した。 - 自分撮りデジカメ「EX-TR15」が追加販売
カシオ計算機は自分撮りデジカメ「EX-TR15」の追加販売を決定したと発表した。3000台が10月18日より追加販売される。 - 「全焦点マクロ」「高速連写」「タイムラプス」――「EX-ZR1100」のユニーク機能で遊ぶ
カシオ計算機「EX-ZR1100」は手ブレ補正を強化した12.5倍ズームのコンパクトデジカメだが、同社の得意とするデジタル処理を利用した撮影機能にも注目したい。 - 手ブレ補正をさらに強化 チルト液晶でアングルも自在な「EX-ZR1100」
カシオが“ハイスピードエクシリム”「EX-ZR1100」を発売する。「タイムラグゼロ、ピンボケゼロ、手ブレゼロ」の“トリプルゼロ”のZR1000をベースに、さらに手ブレ防止を強化した。 - 5軸補正でさらにブレない カシオ「EX-ZR800」
カシオ計算機“EXILIM”の新製品“EXILIM”「EX-ZR800」は、光学18倍ズームレンズに5軸ブレ補正を搭載。「手ブレゼロ」を追求した。 - カシオ自分撮りデジカメ「EX-TR15」、予定数に達し販売終了
カシオの台数限定自分撮りデジカメ「EXILIM EX-TR15」が販売開始から2週間を待たずに、予定数を販売し終えた。同社では追加販売も検討。 - 台数限定の自分撮りデジカメ「EX-TR15」 ファーストインプレッション
レンズと液晶が回転することから「自分撮りデジカメ」としてアジア圏でヒットした、カシオ「EX-TR」の最新モデルが「EX-TR15」。日本国内では3000台限定販売となる新モデルをチェックした。 - カシオの自分撮りデジカメ最新作、「EXILIM EX-TR15」台数限定で販売
カシオ計算機は可動フレームを備えた自分撮りデジカメ、「EXILIM TR」シリーズの新モデル「EX-TR15」を台数限定で発売する。スマホ対応でより自分撮りとSNSへのアップが簡単になった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.