第171回 夜景とイルミネーションと雰囲気の関係:今日から始めるデジカメ撮影術(4/4 ページ)
日が落ちるのが早くなったら、イルミネーションと夜景の季節。カメラの進歩で楽に撮れるようになったけれど、オートでは雰囲気のある写真が撮りにくい。夜景を雰囲気たっぷりに撮る方法を考えよう。
長秒時露光を極めよう
最後にまた夜景の話。
夜景をきれいに撮るには、ISO感度はぎりぎりまで下げて、絞りはぎゅっとF8とかF16とかに絞って、というのが基本なのだけど、そうするとシャッタースピードは5秒とか10秒とか20秒となる。
そうなると、三脚の出番である。もし頑丈でしっかりとした三脚を持っており、風がなく、足場もしっかりしていたら、撮る時に手ブレ補正はオフにすること。逆に、携帯性優先の三脚だったり風が強かったりしたら、手ブレ補正はオンのままでいい。ちょっとしたブレが発生しやすいから。
そしてシャッターは指で押さないこと。
指で押したときの震動でぶれることがあるから。一番簡単なのが「2秒のセルフタイマー」だ。たいていのカメラが持ってる。2秒なら待ち時間も長く感じないし、シビアなシャッターチャンスが必要な撮影でもないからそれでOK。
Wi-Fi対応のカメラなら、スマホをリモコンとして撮影するのもいい。その場合、カメラのセッティングをしたら自分は「寒いよぉ」といいながらコートにくるまって風が当たらないところに隠れてても撮れる。
長秒時露光にはもうひとつメリットがある。車が邪魔にならないことだ。冒頭の夜景写真、手前にいる車がすげー邪魔だったはず。じゃあ3枚目の写真に車は写ってないかというと、実は写ってるのである。よく見ると流れていくライトが写ってる。
シャッタースピードが何秒にもなると、車は動いちゃうのでライトの跡しか写らないのだ。車が写ると邪魔だからと、写らない瞬間を狙って絞りを開いて撮るとこんな写真になる。
これだけ道路がはっきり写ってるのに車がいないと閑散とした街みたいでちょっと寂しい。それに手前のもわっと光る街灯が気になる。そういうときは長秒時露光の出番である。絞りをF16まで絞り、シャッタースピードを5秒にして、車が通り過ぎる瞬間を狙って撮ってみた。
そうすると街灯は光芒が出ていいアクセントになり(ついでに月も変な感じに光ってしまったけれど)、手前の道路に車の光跡がかぶることでちょっと賑やかになった。
じゃあせっかくなので、車の光跡を追求してみよう。
道路を見下ろせる場所を陣取って、光跡を撮る。夜景写真としてありがちなヤツですな。普通に撮るとこんな感じになる。
同じ位置でF22まで絞り、長時間露光で撮ってみる。
いい感じに軌跡が撮れました。ただ、撮るタイミングがよくなかった。
交通量がさほど多くない場所では、どのタイミングで撮るかで派手さが全然違うのだ。ここは交差点の上なので一方向の車だけでは面白くない。信号が変わるタイミングをうまくいれるともっと派手になるはずだ。というわけで、タイミングを少し変えるだけでいろんな方向の光跡が撮れってみる。
だいたい、 F22で40〜60秒くらい(ISO感度はISO100)。途中でタクシーが止まってたりすると、他の車がそれを避けるので少し光の流れが変わって変化が出たりする。
もうひとつポイントは、道が緩やかにカーブしている場所を狙うこと。そうすると光がいい感じに斜めに消えていってくれる。東京駅の駅前なんかは道路が複雑できれいな写真を撮れる。かなり露出オーバー目の「明るい夜景」にして都会のまぶしさも一緒にいれてみた。ビル街だとその方が派手でいい。
都会っぽさを出したいときは、このくらい明るく撮った方がまぶしくていいってもんだ。ちなみにこのとき、本格的な夜景を撮る予定じゃなかったので「ミニ三脚」しか持っておらず、それを手すりの上にかぶせて手で押しつけて撮った。それは緊急避難措置ということで、夜景を撮るなら、ほどよい携帯性とほどよい安定性を持つほどよい三脚をひとつ用意しておくべし。
ではみなさま、風邪やインフルエンザに気をつけつつ、寒くて楽しい夜景撮影をお楽しみ下さい。
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