広角側の特徴
デジタル一眼カメラのレンズキットを購入するとたいてい、「標準ズーム」とよばれるレンズが付属します。人気のデジタル一眼レフ「EOS kiss X7」のレンズキットならば、付属している「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM」がいわゆる標準ズームです。
非常に便利なレンズですが、そのズームを「被写体の大きさを変える」ためだけに使うのは少々もったいないのです。そんなお話の3回目です。
・基本の一本! 標準ズームレンズの使いこなし 「広角」「望遠」の違いを知る
こうした標準ズームレンズの焦点距離は「18〜55mm」程度となっていることが多く、この場合、最も広角側である「18mm」のポジションでは、肉眼よりも広い範囲を1枚の写真に収めることが可能となります。
つまり「広角」はその名の通り広く写せるのが最大の特徴となりますが、広く写すために、1カ所を注視する望遠側と違って、遠近感が強調された1枚にもなります。この特徴を簡単にまとめると下のようになります。
- 写る範囲が広いので、眼前の景色などワイドな空間を収めることができる
- 遠近感(パース)を強調した写真が撮れる
広角側で撮ると肉眼で見るよりもはるかに広い空間を写せるので、風景や街並みなどの撮影にオススメです。また、遠近感を強調した写真になるので、とてもダイナミックで印象的な1枚に仕上げることもできます。
カメラの設定
- 1 カメラのモードを「A」または「Av」といった、絞り優先モードに設定します。絞りはF8〜F11にセット
- 2 レンズの焦点距離を「18mm」など一番数字の小さいところにセットします(デジタル一眼レフ「EOS kiss X7」のレンズキットに付属する標準ズームレンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM」ならば「18mm」の位置が最も広角の写りとなります)
上記の設定にすることで、標準ズームレンズでもっとも広く写すことができるうえに、写真全体にピントをしっかり合わせることができます。カメラとレンズを設定したら、あとは被写体を探して構図を決めましょう。この際、望遠編と同じく、ズームリングを回さずに、自分が移動して構図を決めることが重要です。
遠近感を効果的に使うのが広角側のポイント
ここで遠近感を強調して迫力のある写真を撮るポイントを2つご紹介しましょう。
- 1 道や建物など被写体の真ん中に立ち、カメラを水平に構えます。そうすることで、写真中央に吸い込まれるような迫力のある写真が撮影できます。
- 2 カメラを水平からずらして見上げたりすることを「あおる」と表現するのですが、このあおりを使うことで建物や道路などのラインを強調することができ、人間の目で見るのとは異なる写真ならではの表現が可能になります。
以上のように広角側では、「レンズ最大限の広角」+「撮影位置」+「あおり」を組み合わせることで、迫力のある写真を撮影することができます。
撮影前に「どう撮りたいか」意識する
今回は3回にわたり標準ズームレンズの基本的な使い方をご紹介させていただきました。
印象的な写真を撮る上で重要なのは、「広角の写真で迫力をつけるか」「望遠で背景を整理してインパクトを出すか」を事前に考えて、レンズの望遠側と広角側を使い分けることです。
身近なものでいいので、上記を意識して色々なものを撮影してみましょう。フツーだと思っていた標準ズームレンズが面白く感じるはずです。
撮影者プロフィール
MAKOTO TSURUTA(つるた まこと)
元『週刊ゴング』カメラマン。スポーツで写真を学び、その後メーカー担当として首都圏量販店に常勤し、一眼レフカメラの販売を担当。現在Webプロモーションを得意とする活動の傍ら、写真をさらに楽しむコンテンツサイト「PHOTOWORK」http://photowork.jp/を運営中。個人サイトはhttp://one-cut.net/
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