第60回 iOS 8の新機能、「タイムラプス」を撮ってみよう:荻窪圭のiPhoneカメラ講座
時間をかけて連続撮影した写真を、動画のように高速再生すると、とても面白くなる「タイムラプス」。これがiOS 8のカメラアプリには標準搭載されている。どういう仕組みになっているのかの検証も含めて、その楽しみ方を紹介しよう。
なんだか、数年前から「タイムラプス動画」が巷で流行っているようで、最近のデジカメはたいてい「タイムラプス動画」(インターバル撮影、あるいはインターバル動画とか微速度撮影といわれたりもする)機能を備えている。スローモーション動画の真逆の機能と思っていい。
長時間撮影した動画を高速に再生すると、長い時間をぐっと短くできるというもので、1時間の様子を1分に縮めたりとか、そういうもの。
iOS8でとうとうその「タイムラプス動画」が標準機能になった。
この「タイムラプス」機能がいいのである。めちゃ簡単なのだ。今回はその「iOS8のタイムラプス機能の仕組み」に迫ってみた。
台風一過の瞬間の空をタイムラプスで撮る!
まずは、ベーシックなタイムラプス動画ってことで、雲の様子を撮ってみる。
とある台風一過の日、窓の外を見ると雨はもう小ぶりで、上空を灰色の低い雲が蓋をしていて、西を見ると富士山がうっすらと顔を出してる。お、これはタイムラプスで撮ったら雲の動きがきれいに録れるんじゃないかと、挑戦してみたのだ。
まあざっくりと、これが撮影風景であります。
iPhone 6 Plusを支えてるのが、「Bluevision SuperMount F」という三脚用マウント。これならiPhone 6 Plusがデカくても大丈夫だから。タイムラプス動画はiOS 8の機能なので、iPhone 5でもiPhone 5sでも問題なく使える。
まあ、もし三脚が風で倒れたらどうしようと思うくらいにはヘタレなので、十分風が弱まってから撮影しております。
撮影時間はだいたい1時間弱。それが29秒の動画になった。タイムラプスモードにして録画をスタートさせてベランダに放置したのだ。
東京都内でカメラを南に向けて撮影しており、右端に小さく富士山が写ってる。雲が東に流れていきながら空が晴れていく様子と、富士山に雲がぶつかる様子をお楽しみ下さいませ。
途中でカメラがちょっと揺れてるのは……風のせいかも。まあ、ボタンを押して放置するだけという超簡単な撮影でこんなのが撮れるのであった。
iOS 8のタイムラプス動画はどんな仕組みで撮影されてるか調べてみた
で、簡単すぎてあれこれと疑問が湧いてくる。
例えば、「TimeLapse」というアプリでタイムラプス動画を撮ろうとすると、まずこの画面にぶちあたる。
これは1時間の録画で30秒の動画を作ってね、という設定画面。
そうすると、撮影間隔は4秒(つまり1秒に1回撮影しますよ、ということ)になる。あらかじめこれを設定しておかないといけないのだ。特に撮影間隔は重要で、最終的にどのくらいの長さ(あるいは速さ)の映像にしたいかでここが変わってくるのである。
でもiOS 8のタイムラプス動画にはこれがない。
勝手に撮影ボタンを押すと勝手に撮って勝手にタイムラプス動画にしてくれる。上記の台風一過ラプス動画は1時間弱くらい撮影したものが、29秒の動画になってる。
ってことはiOS 8のタイムラプスは4秒に1回撮影するの? ってことは数分しか録らなかったら、一瞬で終わっちゃう動画になるの?
実はそうじゃないのである。
走る車の中から手持ちで撮影したタイムラプスはこちらだが、このときはせいぜい数分しか録っていなかった。4秒に1回の撮影だとしたら、2分録ってやっと1秒分じゃないか。
それが8秒の動画になってた。ってことはこのときは撮影間隔がもっと短い。
いったい何が起きてるのか。
たぶん、撮影時間によって撮影間隔を変えてるのだ。最初は短めに撮影していって、撮影時間が長くなるにつれ間隔を空けていってるのだと思う。
試しに、1分、5分、10分、30分、1時間でタイマー画面をタイムラプスして検証してみた。
こうして撮影時間を変えつつタイプラプス動画を撮影した結果はどうだったか。
- 1分間撮影したところ4秒の動画ができた→撮影間隔は0.5秒
- 5分間撮影したところ20秒の動画ができた→撮影間隔は0.5秒
- 10分間撮影したところ20秒の動画ができた→撮影間隔は1秒
- 30分間撮影したところ30秒の動画ができた→撮影間隔は2秒
- 60分間撮影したところ30秒の動画ができた→撮影間隔は4秒
ということになったのである。
これ以上長い撮影は試していないけど(というか、普段使ってるiPhoneを1時間以上撮影専用にするってのもアレだし)、傾向としては、以下の通りかと思う。
- 撮影間隔は最短で0.5秒
- 短い撮影時間の時は最終的に生成する動画が20秒前後になるよう自動調整
- 長めの撮影時間の時は最終的に生成する動画が30秒前後になるよう自動調整
つまり、細かい事考えずに撮ればよいということですな。いやあ面白い。「ややこしいことはおれ(iPhone)がやるから、きみらはただ撮影ボタンを押したまえ」的な感じがたまらん。
録画ボタンを押すときは「よきにはからえ」って心の中でつぶやくとよいかと思う。カメラ機能もそうだけど、「ややこしいことはこっちでやってあげます」的なところがアップルらしいところなのだ。
逆に、きっちり「2時間の移り変わりの様子を1分の動画にまとめたい」と思ったら、「TimeLapse」などのサードパーティのタイムラプスアプリを使いましょう、もっと短時間でタイムラプスっぽい動画を撮りたいと思ったら、Instagramの「Hyperlapse by Instagram」を使いましょうってことだ。
最後はお手軽手持ち撮影をしよう、ってことで、電車の先頭車両から撮ったタイムラプス動画を。
ブレないようにiPhone 6 Plusのカメラをガラスに押しつけるように持ち、各駅停車3駅分頑張ってみた。
駅間が超短いので、時間でいえば3分少々くらいだけど、15秒の動画になってくれていい感じ。このくらいなら三脚なしでもいける。
三脚とかそういうややこしいものは持ってない、って人も、まあこういうので長時間放置するんじゃなければ大丈夫だろうから、お暇な方もお暇がない方もぜひ挑戦を。
そうだな、空のようなゆったり変化するものを録っても面白いし、街の様子を遠景で撮って人々の様子を30秒に凝縮しても面白いし、花が咲く瞬間とか、虫がさなぎから孵る瞬間とか、いろいろあるけれども、「その発想はなかった」的なタイムラプス動画も見てみたい今日この頃であります。
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