さまざまな「写真展」を随時案内していく本コーナー。コニカミノルタプラザで、2015年4月1日から開催予定の大橋英児写真展「Roadside Light III」を案内する。
自販機は日本じゅう至る所にある。
都市はもちろん、誰が買うのと思えるような山間部や最果ての岬にも自販機はある。なにより特別特定の場所というのではなく、なんでもない道端から個人の家の軒先にまで自販機は置かれている。もはや自販機は日本という国を象徴する最もありふれた風景のひとつといっても過言ではないだろう。しかし、それが日本独特のものであることに気づいている人は意外と少ないのではないだろうか。
とはいえ、2011年の東日本大震災の時、原発事故が起こり、節電が叫ばれ、無駄なものとして一番先に挙げられたのが自販機だった。確かに自販機が無くても人間は生きてはいける。便利さに慣れすぎることへの懐疑だってある。だが、被災した岩手県や宮城県の現地では、津波で壊されたガレキの撤去が終わった後、一番始めに設置されたのは自販機であった。それはガレキ撤去などの復興を進める住民や作業の飲料水の補給のためであったと聞く。それとは対照的に福島県では今なお津波で被災した自販機が壊れたまま放置されている。それは自販機に限らず、福島第一原発の周辺では放射能の影響が残っているため普通の風景となっている。
人がいないどこにでもある普通の町並みに自販機がたたずんでいる。何とも怖い景色である。目に見えない放射能の恐怖をまざまざと見せつけられる。
東日本大震災から4年の月日が経過した。震災当時の衝撃的な映像は人々の目に焼き付き、悲しみや苦しみもある程度共有できたと思う。ただ時間が経過するに従いその記憶も薄れ忘れ去られようといているように感じる。しかしまだ復興はまだら模様で、進んでいるとはいえない状況だと聞いている。福島のようにまだ自宅に帰ることが出来ない地域もある。
このように時間が経過して見え辛くなっている被災地を、自販機を通して見てゆきたいと考えている。そのような意味でまだ通過点ではあるが、このような現実があることを知っていただきたいと思い写真展を開催しました。
写真展の詳細
名称 | 大橋英児写真展「Roadside Light III」 |
---|---|
開催期間 | 2015年4月1日(水)〜4月10日(金) |
開館時間 | 10時30分〜19時(最終日15時終了) |
定休日 | 期間内無休 |
入場 | 無料 |
会場 | コニカミノルタプラザ(ギャラリーB) |
関連記事
- ジョエル・サートレイ写真展「守るべき生命のポートレート」
- 特別企画展展「宇宙に挑む人類の“眼”アルマ望遠鏡プロジェクト展」
- さくら町一番地の記憶――コニカ「Digital Revio KD-310Z」
コニカが写真事業から撤退して久しいが、紛れもなくKD-310Zは「コニカのカメラ」である。コニカのカメラを手にすると、僕はさくら町一番地にあったコニカ社内の昭和とも表現できる、暖かい、やさしい空気を思い出す。 - 魅惑の高級レンズで楽しむスナップ&ポートレート――ソニー「Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM」
ソニー「Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM」は、フルサイズに対応した大口径の単焦点レンズだ。スペックは標準的だが、15万円を超える価格は立派。そんな高級志向の道楽レンズで、どんな写真が撮れるのか、試してみよう。 - これぞ、日本の奥ゆかしさ――「KLASSE」
PC USERのカメラマンとして活躍している矢野渉氏が、被写体への愛を120%語り尽くす連載「金属魂」。第14回は、同氏が“最も日本的な高級コンパクト”という一品だ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.