本格派にも納得の仕上がり これまでの“J”とはちょっと違う「Nikon 1 J5」(3/3 ページ)
コンパクトなボディと高速連写が身上の「Nikon 1」の中でも、Jシリーズは比較的エントリー向けという印象だった。しかし、J5はこれまでのJとは違う。Vシリーズのテイストも持った高機能モデルに生まれ変わっている。
「ぼかして撮る」を知ることはできた?
さて「ぼかして撮る」ってことで、18.5mm F1.8のレンズ(いわゆる、50ミリ相当の標準レンズ)を付けて撮ってみた。
このとおり、標準ズームレンズに比べるとはるかに背景はボケて印象的な写真になる。
ただ、画角と絞り値が同じなら、センサーサイズが大きい方がボケは大きい。Nikon 1はセンサーサイズが1インチと小さいので、どうしてもAPS-Cサイズやフルサイズのカメラと比べると、ボケ具合の大きさ勝負では勝てない。
もちろんNikon 1はそんな勝負を仕掛けたいわけじゃなくて、50ミリ相当でF1.8と、標準ズームに比べて明るいレンズをキットに入れることで、標準ズームに比べると背景をぼかした印象的な写真を撮れるんだよということを見せたいんだろう。
背景がふわっとボケた写真を撮りたいけど、どうすればいいか分からないという人は多く、分かっても交換レンズ追加購入のハードルは高いと聞くので、キットにすることに意味があるのだ。それに1インチセンサーならF1.8のレンズでもボケすぎなくて扱いやすいのもいい。
はじめてレンズ交換式カメラを使う人に対して、標準ズームと明るい標準単焦点レンズという組み合わせはアリだと思う。レンズを別途買うより安いし、18.5mmF1.8だけを付けて撮影散歩しても楽しい。
F1.8だと多少暗い場所でも撮れるので室内撮影が多い人に使いやすいのもメリットだ。
J5はイメージセンサーが新しくなって画質が全体に好ましい感じになり、モニターが本格的なチルト式になり、J4までに比べると撮影モードや操作系も充実して、ワンランク上のカメラになった。
J4までのシンプルかつミニマムなカジュアル路線から、カメラ入門機的なテイストの路線に変わったと思っていい。
細かい使い勝手や拡張性では、上位モデルのV3に及ばないが(だから個人的にはこのセンサーを使ったV4を出してほしい)、コストパフォーマンスを考えれば、ハイエンドコンデジ的な感覚で手を出しても悪くない。ボディもレンズも小型軽量コンパクトで、他のレンズ交換式カメラに比べると大仰さがまったくないのだ。
Nikon 1 J5の作例
オートモードで猫。標準ズームの望遠端。モニタがチルトするのでカメラを地面ギリギリに置き、上を向けたモニタをみながら撮影。こういうときチルト式モニタが欠かせない。オートモード(F5.6、1/125秒)、ISO560
ISO感度をISO400から上限まで変えながら撮影ISO6400とISO12800については「NR」版も撮影した。6400 NRと12800 NRは連写+合成によってノイズを減らすモード。確かにノイズは減って滑らかになっている。
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