新モデルといってもいいレベルに進化――「FUJIFILM X-T1」ファームウェアVer.4.00を試す:AF周りが大幅に改善(1/2 ページ)
富士フイルムのフラッグシップモデル「X-T1」に、新ファームウェアVer.4.00がリリースされた。AF周りを中心に、これまで不満だった部分が大幅に解消され、機能が向上している。
富士フイルムのフラッグシップカメラである「FUJIFILM X-T1」。発売は2014年2月。製品サイクル的にはまだ全然古くなってない。素晴らしいカメラである。
それが、ハードウエアはまったく変わってないのに「発売時点では最高1/4000秒だったシャッタースピードが、今は1/32000秒になってる」のだ。
何がおきたのか。
秘密は簡単で、2014年12月に出た「ファームウエア 3.0」で電子シャッターが使えるようになったからである。メカシャッターは1/4000秒までだが、電子シャッターに切り替えることで1/32000秒までいけるようになったのだ。
2014年12月の新ファームウェアでは、ほかにも操作系が大きく改善されてカスタマイズの幅も広がり、使い勝手がぐっとよくなった。ファームウエアアップグレードは各カメラメーカーが行っているが、多くは不具合の修正であり、これだけ積極的に機能を改善・追加してくれるメーカーは珍しい。
それから数カ月、また新しいファームウェアがやってきたのだ。それがVer.4.00。今度もまたすごかった。予想以上にすごかった。
X-T1のAFが大幅に改善されたVer.4.00
個人的にX-T1を使ってて不満だったのは、
・このクラスのカメラに「マクロモード」なんてあること
・ちょっと暗くなるとAFが遅くなったり不安定になったりすること
の2点。そのほかに、背面の十字キーでダイレクトにAFポイントを動かしたい(これはバージョン3で機能が追加されたのでよし)とか、タッチAFしたい(これはファームウェアでは無理)とか、考えてみたら、AF回りが多かった。
Ver.4.00ではそれらが一気に改善されたのである。
まず暗所でのAF。X-T1は像面位相差AFとコントラストAFの併用タイプで、明るい場所では像面位相差AFが快適に働いてくれたが、暗くなるとコントラストAFに切り替わって急にAFがもたついたりうまく合わなくなったりしてた。そこが改善された。
像面位相差AFの追従範囲が2.5EVから0.5EVに拡大
AF精度も高くなり、多少暗くてもすっとピントが合う。数字上だけじゃなく、明るくない室内でちょっと撮影してみると体感できるレベル。これはよい。
Ver.3.00では迷って迷って結局合わなかった、という暗いシーンでも、Ver.4.00ならほんのちょっと迷うだけでピントがきた。これは素晴らしい。
ろうそく一灯でブリキのオモチャを撮ってみた。Ver.3.00の頃はなかなかピントが合わなかったが、Ver.4.00なら問題なく合焦する。F4、1/2秒、+0.33EV、ISO1250、焦点距離:55mm
マクロモードがなくなった
続いて、マクロモードがなくなったのもポイントである。AF速度と精度の向上でマクロモードを別途用意する必要がなくなったのだろう。
ゾーンAF
もう1つ体感レベルで改善を味わえるのが「ゾーンAF」だ。
Ver.3.00までは「オートエリア」(要するにフォーカスポイントをカメラが勝手に決める)と「エリア選択」の2択で何かと不便だったのだが、新しく「ゾーンAF」が追加され、オートエリアのが「ワイド/トラッキング」に置き換わった。
ワイド/トラッキングはオートエリアと同じだが、AF-Cにすると捕まえた被写体を自動的に追尾してくれる。77点のAFエリアの中でピントが合ったエリアに緑色の枠がちょこまかと表示される様子はソニーのα6000に似てる。
「ゾーン」は「3×3」「5×3」「5×5」のそれぞれのサイズを選べる。で、ゾーンを指定してやるとその中で被写体を見つけて自動的にピントが合ってくれる。
常用するならこれ。とにもかくにも便利。オートエリアだとどうしても狙った被写体を外すことがあるし、シングルポイントはマメにポイントを動かさないとなかなか狙い通りに行かない。その点、ゾーンならアバウトに使えてポイントをあまり外さない。
Fnキーの1つを「AFモード設定」に割り当てておいて、シングルポイントとゾーンを切り替えられるようにするといいだろう。
さらに、AF-C時の追従性がよくなったので、AF-Cモードにしてゾーンに被写体を入れ続ければ半押しでフォーカスを合わせ続けてくれる。
今までAF-Cはなかなか使いどころが微妙だったんだけど、これは実用的だ。
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