電子書籍には興味を持っていた。これまでの読書体験を超える何かがあるなら、それを試してみたいからだ。果たしてGALAPAGOSホームモデルはそんな期待に応えてくれる製品となっているのだろうか? 元編集者として紙出版を熟知し、現在はフリーの編集・ライターとして活躍する池田氏がGALAPAGOSホームモデルに触れてみた。
シャープがクラウドメディア事業「GALAPAGOS」を発表したのが2010年9月。その1年半前には光センサー液晶を搭載したネットブック「Mebius PC-NJ70A」を発表し、再びMebiusブランドで巻き返しを図ると筆者は思っていたが、同社はPC事業からの撤退を選択した。そうした意味では、GALAPAGOSの発表は残念でもあり、反面、期待する部分も大きい。あえてガラパゴスを名乗る度胸にも興味があった。
そうした中、12月10日には実機が発売され、PCとの同期やデータ取り込み処理を担う連携アプリケーション「GALAPAGOS Station」も12月20日にリリースされた。
今回は、10.8型液晶ディスプレイ(タッチパネル)を装備したタブレット型の「GALAPAGOS 10.8型ホームモデル(EB-WX1GJ-B)」について、ハード/ソフト面の使い心地を前後編の2回にわたってレビューしたい。まずはパッケージ形態から見ていこう。
現時点でGALAPAGOSホームモデルを入手しようとすれば、シャープのWebサイト「シャープメディアタブレットストア」に、メールアドレスを始め、住所・氏名・性別・生年月日・電話番号などの詳細な個人情報を入力した上でアカウントを作成しなければならず、1アカウントで購入できるのは本体1台のみという制限がかかっている。GALAPAGOSの購入に関する詳細記事として「シャープの『GALAPAGOS』を実際に買ってみた」も参照していただきたい。
出荷時には本体1台ごとに固有のユーザーIDなどが割り当てられており、商品到着後にそれらを用いての端末登録が必須となる。電子書籍のオンライン購入には再度の個人情報・クレジットカード番号の入力による登録……という、かなり煩雑な手続きが必要だが、これは電子書籍データのDRM(著作権管理)機能と密接に関係しているためだ。事実上、登録後の本体譲渡などは不可能となるが、それだけに“店頭で実機に触れられない”販売形態には疑問を覚えるのも事実で、レビューアの重責を感じる。
シンプルな白い紙箱には、“メディアタブレット”の呼称と、“進化するGALAPAGOS”の文字が記されている。現状では電子書籍ビューアとしての存在だが、本体アプリケーションの更新などで動画や音声などメディア全般を扱えるタブレット端末に進化していく! というコンセプトを示すものなのだろう。
箱を開けると、いきなりメディアタブレット(以降、GALAPAGOSホームモデルあるいはホームモデルと表記)本体が見え、その下に、付属の充電用ACアダプタ、USB接続ケーブル、容量8GバイトのmicroSDHCカードが同こんされている。マニュアルなどは特に見当たらないが、製品版では電源の入れ方や初期登録手順などが書かれたガイドシートや保証書が同梱されていると想像できる。
箱から取り出してみよう。GALAPAGOSホームモデルは、タブレットの名にふさわしいスレート(石版)状のデザインを採用しており、カラーリングは、液晶画面(タッチパネル)周辺が光沢ブラック、本体周囲がシルバーで縁取られ、裏面はつや消しの黒となっている。なお、5.5型液晶を採用したモバイルモデルでは、縁取り部分が赤あるいはシルバーの2モデルが用意されているが、ホームモデルでは型番末尾が-Bのブラック系のみとなる。
本体サイズは、幅が177ミリ、高さが286ミリ、奥行き(厚み)が14.7ミリと、B5版用紙を少し縦長に引っ張った感じ。質量はカタログ値・実測ともに765グラム。手に持った感じでは、A4版のパソコン誌月刊誌1冊分といったところであろう。端末を手に取ってみると、手触りは悪くないが、本体部分はアルミ合金のようで、かなり冷たさを感じる。
筆者が所有するモバイルPCのThinkPad X100e(11.6型ワイド液晶を搭載)と比較して見たものが上図の写真である。画面サイズがほぼ等しいため(対角で20ミリほど程度の差)、ソフトケースなどを流用できるかもしれない。
重量バランスは全体的に整っており、どこを持っても安定している。堅牢さも高く少々力を加えてもゆがむようなことはない。その分、手からすべり落ちたときの衝撃が心配である。扱うときにはしっかりつかむようにしたい。
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