BOOKSCANは大和印刷が提供するスキャン代行サービスで、同サービスの元祖に当たるもの。所在地は東京都世田谷区。基本料金は1冊100円で、ファイル名変更とOCRは別料金。表紙スキャンは非対応で、書籍の返却にも対応しない。なお、裁断済みの本は再流通している本の可能性があるため、受け付けていない。
他社にないサービスとして、進ちょく状況が分かるマイページが利用できるほか、iPadやiPhone、Kindleなど各端末に合わせてPDFを最適化する「チューニングラボ」サービスを無料で利用できる。また、PDFをJPEGに変換してZIP圧縮を行うサービスも提供している。
目安となる納期についてはトップページに明示されておらず、会員登録後のマイページではじめて表示される。ちなみに料金は今回試用した中で唯一の「外税」表記であるため、他社と比較する際は5%を上乗せする必要がある。
なお、当初このBOOKSCANについては納期の関係で評価対象に入っていなかったが、初回の記事掲載後に先方から連絡があり、特別に納期を繰り上げてもらうことで追加評価を実施した。納期の繰り上げ以外は通常対応だが、通常とは異なるプロセスで評価を行っていることから、まったくバイアスがかかっていないほかの代行業者と比べて少なからず差し引く要素はあっておかしくないので、その点は差し引いてご覧いただきたい。
利用にあたっては会員登録が必要となる。サイト上には納期は明示されておらず、会員登録を行うとログイン可能になるマイページの「スキャン依頼&支払い」をクリックすると、ここで初めて「スキャン開始予定日」が明示される。問題がなければそのまま冊数、オプションの有無などを選択して依頼を行う。
依頼が完了するとマイページ上にステータスが表示され、決済および進ちょくなどが表示されるようになる。マイページはメニューの数も多く操作に戸惑うが、しばらく使えば慣れるレベル。なお納期(正確にはスキャン開始日)については本稿執筆時点で3カ月後の日付が表示されるようになっている。
表紙スキャン、書籍の返却
他社に比べて黒がしっかりと出ているが、その分カラーの鮮やかさに欠けており、好き嫌いが分かれるところ。カラーモードは本ごとに統一されており、例えば他社でカラーモードが混在しがちだった単行本はカラーモードで固定、またマンガ単行本は表紙がカラーで本文がグレー固定であるなど、自動読み取りにありがちなカラーモードの混在がないことからストレスなく読める。
他社にない傾向として、ページの裁断した側に必ずといっていいほど影があり、読書中に気になってしまう。傾きはあるが許容できるレベル。ページの折れは修正されている。白紙ページはすべてそのまま。ただし、この問題はスキャナーの仕様に依存したもので、同社は独自ファームウェアの開発をスキャナーの提供元に依頼、このファームを適用したことで、2011年初旬からこの問題は解消しているという。
スキャンに用いている機材の違いか、他社とはまったく傾向が異なる。カラーモードがバラバラということがなく、ページの折れが修正されているなど、きちんと中身を見て対応している印象だ。
ただしページの破れはチェックをすり抜けてそのまま読み取られており、個別連絡もなかった。全体的に黒が強調された色合いについては好き嫌いが分かれるところで、ページの裁断面に影が表示されるという特殊な傾向も併せて考えると、プラス面とマイナス面が相殺し合っている印象を受けた。
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