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» 2011年09月13日 10時00分 公開

この夏、電子書籍市場は燃えていたか?eBook Forecast(2/2 ページ)

[前島梓,ITmedia]
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Appleが訴えられる、エージェンシーモデル崩壊へのカウントダウンか?

 一方、米国ではAppleと出版社数社が訴えられるという出来事が起こりました。原告は、アンソニー・ペトル氏とマーカス・マティス氏で、訴状では、HarperCollins Publishers、Hachette Book Group、Macmillan Publishers、Penguin Group、Simon & Schusterなど大手出版社の名前が挙がっています。

 訴状の内容を分かりやすく意訳すると、「版元(出版社)が価格を決めるエージェンシーモデルのせいで、ホールセールモデルを取り入れていたAmazonまでエージェンシーモデルになってしまった。小売り側が価格を決めるホールセールモデルでやっていたころのAmazonは9.99ドルで販売していたのに、わたしたちはそれ以上の価格で購入せざるを得ない状況にある。だからその損害分を保証してほしい。また、エージェンシーモデルによる価格設定が違法だと司法に判断してほしい。さらに被告には責任として罰金を」といったところです。

 出版社だけでなくAppleがやり玉に挙げられているのは、かつてホールセールモデルでシェアを急速に拡大したAmazonへの対抗として、Appleがエージェンシーモデルを推進したことが出版社との蜜月になったのだという主張によるものです。米国らしい訴訟といえますが、この訴訟の結末によっては、Appleに巨額の賠償が命じられる可能性もありますし、電子書籍の価格破壊が再び起こるのかもしれません。

 ちなみに、日本においては電子書籍は再販制度の対象になっていないので、紙書籍の価格に無理に合わせる必要はないはずですが、現実には紙書籍と同じような価格に合わせられていたりして、少し残念なところです。

誰も教えてくれない「Kindle Storeは日本に来るのか」――答えはYes

 2011年も残り3カ月ほどとなり、電子書籍市場は1年前ほどの熱狂はないように思い増すが、それでも着実に成長している印象があります。幾つもの電子書籍ストアが立ち上がったわけですが、多くのユーザーが気になっているのは、「結局、AmazonやGoogle、Appleは国内の電子書籍市場に参入するのか」という点ではないでしょうか。

 Amazonが11月に発売を予定しているとされる「Kindle Tablet」など、海外での電子書籍に対する注目度はこれから年末にかけて高まっていくでしょうが、いまだに日本ではKindle Storeは開始されていません。

 このまま日本だけスルーされるのではないかという不安もありますが、聞こえてくるところでは、Amazonはすでに国内の出版社と契約を交わす段階にまで進んでいるようで、早ければ数カ月以内にもKindle Storeが国内でも開始されそうです。

 国内出版社の体制も考慮し、当面のフォーマットはEPUB 3ではなく、PDFに近い画像ベースのものになるといわれています。くしくもAmazonは、「Kindle Print Replica」と呼ばれる電子書籍フォーマットを新たに発表しています。これは、PDFをMOBIでラップしたような構造のフォーマットですが、これが応用されるかもしれません。

 また、上述した訴訟がらみの動きも考慮しているのか、ホールセールモデルで出版社と契約するのではないかと言われています。Amazonがほかの電子書籍ストアと大きく異なる値付けにすることは考えにくいですが、その可能性はあるというわけです。

 Kindle Storeが日本で正式にオープンすれば、相当のインパクトがあるのは想像に難くありません。そこで販売されるコンテンツは、Amazonがスマートフォンやタブレット向けに提供しているKindle Appからももちろん読むことができるでしょうし、そのタイミングでKindleやKindke Tabletの国内販売が開始されれば、しばらくはAmazon旋風が吹き荒れることになるでしょう。

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