施設や店舗のWi-Fiにアクセスすると、そこでしか読めない電子マガジンがスマホやPCで楽しめる――そんなサービス「チェックインマガジン」を大日本印刷が開始する。まずは空港で利用が始まるという。
店舗や施設に入ると、そこでしか読めない電子マガジンがスマートフォンやタブレットで楽しめる――電子書籍サービスやソリューションの展示会「第16回国際電子出版EXPO」で、大日本印刷(DNP)がそんな新サービス「チェックインマガジン」を発表した。商用化も決定しており、空港でのサービスを夏に開始予定という。
DNPは、電子書籍やオンライン書店のサービスとリアル書店を連携させた総合書店サービス「honto」をNTTドコモらと展開し、6月27日にはNFCとFacebookを使ったリアル店舗向けO2Oサービスを発表するなど、リアルとネットの連携サービスを積極的に展開している。今回のチェックインマガジンも、そうしたものの1つだ。リアルな「場所」にデジタルコンテンツをひもづけ、店舗や施設の新たな付加価値を創出しようとしている。
同サービスはiOS端末やAndroid端末に加え、PCにも対応。専用のアプリケーションを通じて、電子マガジンを提供する。ユーザーが店舗や施設側が提供する無線LANにアクセスすることで、そのユーザーがその場所にいると見なし、コンテンツを提供する仕組み。そのため、基本的には無線LANを利用しないとコンテンツは閲覧できない。今後は、端末のGPS機能を使ってユーザーの位置情報を検出する手法なども検討していくという。
空港のラウンジ向けにサービスを提供することが決定しており、夏にもスタートする予定だ。パリ便のユーザーにはパリの街歩きに便利な本のコンテンツを提供するといったように、フライトの内容に応じたコンテンツの出し分けを想定しているという。電子ならではの特長として、タップすると音声で発音が確認できる外国語会話集など、画像やテキストに留まらないコンテンツ提供も可能となっている。また、ブースに展示されているデモンストレーション用アプリでは、気に入ったページなどをアプリに保存することもできた。これなら、空港を出たあとにも情報がチェックできて便利だろう。
チェックインマガジンは空港以外にも、スタジアム、電車、カフェといった場所での利用を想定している。電車向けのサービスのデモアプリでは、運行情報や中吊りの一覧といったコンテンツに加え、雑誌や漫画などをピックアップして配信していた。時間帯で配信するコンテンツを差し替えることも可能で、例えば朝はビジネス誌、夜はリラックスして読める漫画を提供するといったサービスイメージをDNPは描いている。
作品が読める場所を限定することで、電子雑誌や書籍のコンテンツが店舗や施設の付加サービスとなるチェックインマガジン。コンテンツが無料で閲覧できれば、ユーザーにとっては魅力的なサービスとなるだろう。
このほか、DNPのブースではhontoが大々的に紹介されており、「hontoポイントカード」が作れる出張書店もオープンしていた。
hontoはDNPとNTTドコモ、丸善CHIホールディングスが出資する合弁会社トゥ・ディファクトが運営する総合書店サービス。電子書籍販売とオンライン書店サービスをネット上で展開するほか、ジュンク堂、丸善、文教堂といったリアル書店との連携サービスを提供しているのが大きな特長だ。具体的にはポイントシステムを共通化しているのが主な連携の1つで、ネットだけでなくリアル書店でもポイントをためる、あるいは使うことができる(関連記事:「紙のリプレースではなく市場の拡大――ハイブリッド型総合書店「honto」が目指す先」)。
同サービスでは書店/オンライン書店/電子書籍ストアの購買情報を統合管理できる強みを生かし、ユーザーへの商品レコメンドサービスの充実などを図っていく考え。また、将来的にはユーザーの購買情報を統計データとして出版社に提供するといったマーケティングソリューションの提供も検討していくという。
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