「編集部でも使える」――手軽なEPUB3コミック制作ツール「GT-MangaAuthor」を見るe-Book Expo Tokyo 2012 Report

富士フイルムの「GT-MangaAuthor」は、画像をEPUB3コンテンツとして出力できる電子コミック向けオーサリングツール。シンプルで分かりやすいUIを採用したほか、ファイル容量を指定した出力にも対応するなど、制作現場で重宝しそうな各種機能を備えている。

» 2012年07月05日 16時45分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo 作成したEPUB3ファイルをiBooksで表示したところ

 7月4日に開幕した「第16回国際電子出版EXPO」で、富士フイルムは新開発の電子コミック制作・編集ツール「GT-MangaAuthor」を展示している。複数の画像をまとめてEPUB3ファイルとして出力できるもので、GUIによる分かりやすい操作性や、容量を指定したファイル出力ができることなどが特長。同社独自の画像技術「GT-Quality」とも連携し、画像の美しさを保ちながらファイル容量を簡単に小さくできるのも魅力だ。GT-MangaAuthorの販売は秋を予定しており、価格は未定。

 GT-MangaAuthorはTIFFおよびJPEGの画像ファイルを、フィックス型のEPUB3ファイルとして出力できるオーサリングツールだ。作成したコンテンツは、iBooksをはじめとするEPUB3対応ビューワで閲覧できる。主な機能として、書誌データ入力、綴じ方向の指定、見開き指定などに加え、目次設定(ナブゲーション方式、クリッカブルマップ方式)やWebページへのリンクを画像内に指定する機能を搭載。ドラッグ操作で画像上にリンクのエリアを指定すれば、簡単にリンクが設定できる。

photophoto 操作画面は作業手順がアイコン化されており、順々に操作していけばファイルが完成する(写真=左)。プレビューとサムネイルで制作状況が分かりやすいページ編集画面(写真=右)

 アイコンを多用したGUIで、操作を簡単で分かりやすくしているのが特長の1つ。「制作会社のみならず出版社の編集部でも使えるような分かりやすいUIを目指した」(説明員)。操作画面上部には「プロジェクト」「ページ編集」「出力」などのアイコンが並び、それらを順々に操作していけば、ファイルが完成するようになっている。画像のプレビューやサムネイルの表示機能により、画像の順番や編集の結果が見た目で分かりやすいようにした。また、出力作業の効率化を図るため、出力画像サイズをあらかじめ複数登録する機能も備えている。

 オプション機能として「出力時容量指定」機能を持っているのも同ツールの強みだ。ファイルの総容量を「◯MB以下」といった形で指定すれば、自動的に最適な圧縮がかかってファイルが出力される。画像品質を保ちながら画像サイズやコンテンツ容量を減らせるGT-Qualityの技術により、「Photoshopの熟練者が手作業で調整した」ような軽量化が自動で行えると説明員はアピールする。

photo GT-Qualityによる画像最適化の例

 このほか、コマ自動検出ソフトウエア「GT-Scan」との組み合わせによりコマの順番を自動登録することも可能だ。登録結果の手動調整にも対応する。GT-MangaAuthorと同時発表の電子書籍ビューワエンジン「GT-MangaViewerEngine」に対応するビューワでは、GT-MangaAuthorで指定したコマ割りに合わせて画面が移動する「トレース表示」が利用できる。画面の小ささがネックになるスマートフォンなどで、こうした機能は便利に活用できるだろう。

photophoto 目次の設定画面(写真=左)。コマの設定をすれば、「GT-MangaViewerEngine」対応ビューワで「トレース表示」が可能になる(写真=右)
photophoto トレース表示では、画像の表示位置がタップ操作でコマの進行に合わせて移動する

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