漫画作画のプロセスを時系列で見られる、うめ「デジタル原画展ver1.0」これがデジタル時代の“原画展”だ

ネームや下描き、ペン入れ、仕上げなど、漫画の作画の途中段階におけるデジタルデータを液晶ディスプレイを用いて“展示”するユニークな原画展が、リブロ西武池袋本店で開催中だ。

» 2012年07月12日 11時00分 公開
[山口真弘,ITmedia]

 「大東京トイボックス」「ちゃぶだいケンタ」などで知られる漫画家のうめ(小沢高広・妹尾朝子)氏のデジタル原画展が、リブロ西武池袋本店コミックフロア特設会場にて開催されている。

液晶ディスプレイを用いてのデジタル原画展は「おそらく世界初」(うめ・小沢氏)。会場内には計3台のディスプレイが用意され、作画途中のデジタル画像をスライドショーで見ることができる

作画の途中段階の「大東京トイボックス」第8巻(幻冬舎コミックス)の表紙絵。「ネームの段階からセリフやアングルが変わっているページも幾つかあるので、探してみてください」(うめ・小沢氏)

 一般的に漫画の原画展といえば、紙の原稿用紙に描かれた原画を並べることがほとんどだが、昨今ではデジタル作画が主流となりつつあるため、紙の原画がそもそも存在しないことも珍しくない。この原画展では「紙の原画展の生々しさをデジタルで再現したい」という思いの下、ネームや下描き、ペン入れ、仕上げなど、作画の途中段階におけるデジタルデータそのものを液晶ディスプレイを用いて“展示”している点が、従来の漫画の原画展との大きな違いだ。

 さらに、表紙のボツデザインや歴代初版本の帯なども展示されるほか、単行本の色校正見本など、制作のプロセスを知っている人ならばニヤリとさせられる展示物も多数。同氏の作品のファンはもちろん、デジタル作画に興味を持つ同業者やクリエイターにも興味深い展示であることは間違いない。

 開催は8月20日(月)まで、会場はリブロ池袋本店書籍館4階リブロコミックフロア特設会場となっている。入場は無料。なお同原画展の開催を記念して、8月5日(日)の14時より「デジタル漫画家サミット」と題して、うめ氏のほか、ひうらさとる氏と太田垣康男氏を招いてのトークイベントも開催される。申込方法などの詳細はリブロホームページで確認してほしい。

特設コーナーでは「大東京トイボックス」「ちゃぶだいケンタ」のほか、新刊「南国トムソーヤ」(新潮社)の単行本も販売。またサイン入りオリジナルポスターも限定販売される(写真=左)/歴代初版本の帯などマニアックな展示も多数(写真=右)

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